2022/03/23

健康講座469 嗜好と遺伝子とカフェイン

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

  ブラックコーヒーやダークチョコレートを好む傾向は、遺伝子に組み込まれているようだとする研究結果が報告されました。このような傾向を持つ人は、実際にその味自体が好きなわけではなく、カフェインを素早く代謝できる遺伝子を持っており、苦味とカフェインにより得られる刺激を関連付けているのだということでございます。

 コーヒーの摂取に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)では、カフェインの代謝経路に関与するが味覚には関与しない遺伝子変異が特定されているようで。ただし、コーヒーの味は、ミルクや甘味料を加えることで変わるが、こうしたGWAS研究ではその点が考慮されていないということです。今回、味覚に関連する遺伝子変異は、ミルクや甘味料を加えたコーヒーの摂取よりもブラックコーヒーの摂取との関連の方が強く、また、カフェインの代謝経路に関連する遺伝子変異は、ブラックコーヒーかミルクや砂糖入りのコーヒーかなどの飲み方(カフェインの含有量に関わりなく)と特異的には関連しないとの仮説を立てたようです。そして、UKバイオバンクと米国の2つのコホート(Nurses’ Health Study;NHS、Health Professionals Follow-up study;HPFS)の遺伝子、食事と食物の好みに関するデータを用いて、この仮説を検証したのです。

 その結果、カフェインの代謝がより速くなる遺伝子変異を有する人では、コーヒーの味と香りに対する嗜好が強く、ブラックコーヒーを好む傾向があることが明らかになったのでございます。また、ミルクチョコレートよりも、より苦味の強いダークチョコレートを好む人でも、同じ遺伝子変異を有することも判明したのでございます。

 ブラックコーヒーを好む人で確認された遺伝子変異は、味ではなくカフェインの代謝の速さに関連しているということです。カフェインが急速に代謝されるため、その刺激作用もすぐに消失してしまい、コーヒーをもっと飲みたくなるのかもしれません。
 私もそうですが、こういう人はカフェインの自然の苦味を、精神刺激作用と同一視しているようです。苦味を、カフェインやそれによる高揚感に関連付けるようになっているのです。それゆえ、カフェインのことを考えると苦い味が連想されるため、ブラックコーヒーやダークチョコレートを好むようです。ただ、ダークチョコレートには少量のカフェインも含まれているが、苦みをもたらす成分は、主にカフェインに似た精神刺激物質であるテオブロミンであるそうです。

 参考までに。

原著

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