2022/05/09

健康講座489 初期起立性低血圧の簡便な対策

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 立ち上がったときに急激に生じる血圧低下を初期起立性低血圧というようです。初期起立性低血圧では、目まいやふらつき、目のかすみ、吐き気、意識の消失などが生じ、それが転倒につながることもあります。最大40%の人が初期起立性低血圧を経験するとされているにもかかわらず、初期起立性低血圧の発症機序や症状の管理、治療については不明点が多いのが実情でございます。そうした中、簡単に行える2つの対処法が初期起立性低血圧に有効であることが新たな研究で示されました。カルガリー大学(カナダ)カミング医学部によるこの研究結果です。


 起立性低血圧には、初期起立性低血圧をはじめさまざまな形態があるようです。典型的な起立性低血圧は、発症が起立後3分以内と緩やかで、持続時間も長く、糖尿病や心疾患のある高齢者によく生じるものです。これに対して、初期起立性低血圧は血圧低下が特に急激であり、起立後15~30秒以内に起こるが、45〜60秒以内に消失し、比較的若い人や健康な人に頻発するのです。起立した際に起きる下半身の血管の急激かつ過剰な膨張が、脳への血流の一時的な減少をもたらすと考えられているようです。

 今回の研究では、初期起立性低血圧に付随する症状を抑えるための対処法として、立ち上がる直前または直後に下半身の筋肉を動かすことの効果を検証しました。試験参加者は、起立直後の失神の既往歴を持ち、月に4回以上の失神、または失神性目まいを経験している女性24人(平均年齢32±8歳)。うち2人は、心拍数の記録が不十分であったため除外された。残りの22人には、対処法なし、起立前に大腿の筋肉を使って30秒ほど左右の膝を交互に繰り返し上げ下げする(PREACT策)、起立直後に脚を交差させて大腿と臀部の筋肉を緊張させる(TENSE策)の3パターンで座位から立位の姿勢を取ってもらった、とのことです。

 その結果、参加者全員に2つの対処法の効果が認められ、いずれかの対処法によって起立後の血圧低下が軽減するとともに、症状も緩和することが明らかになったのです。研究グループは、PREACT策は心拍出量(1回拍出量と1分間の拍動回数を掛けたもの)の増加、TENSE策は下半身の圧迫による1回拍出量(心臓が1回の拍動で送り出す血液の量)の増加により効果を発揮したものとの考えを示していました。

 この研究について、若い女性のみを対象とした小規模研究であり、高齢者の場合、この対処法自体が難しい場合があるりそうです。また、転倒防止のためには、カーペットの固定や手すりの設置などの対策も重要ですね。

 初期起立性低血圧の症状が比較的軽い人はこのような対処法を試すと良いかもしれません。しかし、症状が頻発している場合や重い場合には、自己判断せずに医師の診察を受けることをお勧めします。

参考にしてください。

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