2022/06/01

健康講座499  モデルナ・ファイザー社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの抗体

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。


 米モデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは、米ファイザー社製の同ワクチンよりもわずかに効果が高い可能性のあることが新たな研究で示されたようです。米食品医薬品局(FDA)により承認されている、モデルナ社製、ファイザー社製、および米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製ワクチンについて、接種後の抗体価の推移を調べたところ、ファイザー社製ワクチンはモデルナ社製ワクチンに比べて、抗体価の低下スピードの速いことが明らかになったということです。米バージニア大学(UVA)医学部のが実施した研究です。

 この研究では、上記3種類のいずれかのワクチン接種を完了した234人を対象に、ワクチン接種完了後の抗体(IgG抗体)量の推移を10カ月間追跡しました。対象者の内訳は、2回接種型のファイザー社製、またはモデルナ社製mRNAワクチン接種者がそれぞれ114人ずつ、1回接種型のJ&J社製ウイルスベクターワクチン接種者が6人であったようです。


 その結果、2回目接種後7〜20日の間では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の抗体価はほぼ同等であり(50〜100μg/mLかそれ以上)、J&J社製ワクチン接種群の抗体価(約2μg/mL未満)よりも約50倍高いことが明らかになりました。

 2回目接種から21日以降では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の両群で抗体価が減少し始めたが、減少スピードはファイザー社製ワクチン接種群の方が速かったようです。また、ワクチン接種から6カ月経過した時点でのファイザー社製ワクチン接種群の抗体価は、モデルナ社製ワクチン接種群、および6カ月前にCOVID-19により入院した人の抗体価よりも低かったようです。

 さらに、ファイザー社製ワクチン接種群では抗体価に年齢差が認められ、50歳以上の人では50歳未満の人に比べて、どの時点でも一貫して抗体価が低かったのです。モデルナ社製ワクチン群では、このような年齢による抗体価の違いは認められなかったとのことです。

 同じmRNAワクチンであるにもかかわらず、なぜこのような違いが現れたのか。ファイザー社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンは、仕組みは同じでも、ワクチンを構成する製剤とmRNAの量が違っているようです。

 ワクチン接種後に抗体価が下がるのは驚くべきことではないですが、mRNAワクチンでの抗体価低下の速さは予想以上だったかもしれません。この研究では、抗体反応はモデルナ社製ワクチン接種者の方が大きかったが、それが実際の防御効果の高さを意味するのかどうかはまた別の話です。とはいえ、徐々に明らかになりつつある、接種したワクチンによる感染率の違いを、今後の研究結果により説明できる可能性はありそうです。

原著

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