2022/06/17

健康講座506 糖尿病患者に効果のあるスタチン

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 英国・マンチェスター大学のはネットワークメタ解析の結果、中用量および高用量のロスバスタチン、ならびに高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが、糖尿病患者の非HDLコレステロール(非HDL-C)値を中等度低下させるのに最も有効であることを示しました。糖尿病患者における心血管疾患の1次予防および2次予防の基本はLDL-C値の低下であるが、非HDL-C値に対するスタチンの有効性を比較したエビデンスは不足していました。主要ターゲットとして非HDL-C値の低下を用いると心血管疾患の予測精度が向上する可能性があることから、今回の結果は、糖尿病患者において非HDL-C値の低下に最も有効なスタチンの種類と強度に関する指針に役立つと考えられます。


無作為化比較試験42件のベイジアンネットワークメタ解析

 研究グループは、Medline、Cochrane Central Register of Controlled TrialsおよびEmbaseを用いて2021年12月1日までに公表された研究を検索し、1型または2型糖尿病の成人患者を対象に、プラセボを含むさまざまな種類と用量のスタチンを比較した無作為化試験を適格研究としてシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行ったようでうす。

 主要評価項目は、非HDL-C値の変化とし、総コレステロール値とHDL-C値から算出した。副次評価項目は、LDL-C値および総コレステロール値の変化、主要心血管イベント(非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、心血管疾患死)、有害事象による中止などであるようです。

 ランダム効果モデルを用いたベイジアンネットワークメタ解析により、非HDL-Cに対するスタチン(低用量、中用量、高用量)の治療効果を平均差および95%信用区間(CrI)で評価した。また、サブグループ解析では、主要心血管イベントリスクが高い患者を低リスクまたは中等度リスクの患者と比較した。エビデンスの確実性は、CINeMA(Confidence in Network Meta-analysis)を用いて評価したものです。

 成人患者計2万193例が参加した無作為化比較試験42件から、1万1,698例がメタ解析に組み込まれたようです。

中・高用量ロスバスタチン、高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが有効

 プラセボと比較して非HDL-C値の低下が大きかったのは、ロスバスタチンの高用量(平均差:-2.31mmol/L、95%CrI:-3.39~-1.21)と中用量(-2.27、-3.00~-1.49)、高用量シンバスタチン(-2.26、-2.99~-1.51)、高用量アトルバスタチン(-2.20、-2.69~-1.70)であったようです。アトルバスタチンとシンバスタチンはいずれの用量においても、また、低用量のプラバスタチンも、同様に非HDL-C値の低下に有効でありました。

 主要心血管イベントの高リスク患者4,670例においては、高用量アトルバスタチンにより非HDL-C値が最も低下した(-1.98、95%CrI:-4.16~0.26、累積順位曲線下面積64%)。高用量シンバスタチン(-1.93、-2.63~-1.21)ならびに高用量ロスバスタチン(-1.76、-2.37~-1.15)は、LDL-C値の低下に最も有効な治療選択肢でありました。

原著

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