2022/06/20

健康講座507 すい臓がんと肥満手術

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 肥満糖尿病患者に対する減量手術が、膵臓がんのリスクを大きく低下させる可能性があることが分かったよです。米国の医療施設グループAllegheny Health Networkの報告がありました。


 この研究は、肥満を有する糖尿病患者143万5,350人を約20年間にわたって追跡したデータから、減量手術の膵臓がんリスクに対する影響を検討したものです。この対象には、減量手術を受けた患者が1万620人含まれていました。減量手術を受けた患者の73%は女性だったようです。検討の結果、減量手術を受けた人は、手術を受けなかった人よりも、膵臓がんの発症リスクが低かったようです(0.19%対0.32%、P<0.05)。

 肥満と糖尿病は膵臓がんのよく知られた危険因子であり、その発症には慢性炎症、インスリンなどのホルモンの過剰分泌、脂肪細胞が放出する成長因子などの関与が考えられています。

 また、糖尿病や肥満、膵臓がんの罹患率が上昇してきており、そのような背景からも、今回の研究結果は興味深いです。酔眼は、診断時からの平均生存期間はわずか4.6カ月で、その時点で患者は健康寿命の大半を既に失っています。ほんの3%の患者しか5年以上生存できないもので、膵臓がんのこのように低い生存率は、過去40年間改善されておらず、発症の予防が極めて重要です。

 膵臓がんは、進行すると背中や上腹部の痛み、黄疸、体重減少などの症状が現れることがありますが、初期は症状に乏しく画像診断も難しいため、早期発見が困難ながんです。そのため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれる疾患の一つに挙げられています。このような膵臓がんの特徴と今回の研究結果から、膵臓がんのリスク抑制のために、肥満に伴う代謝性疾患の患者を診るときは、減量手術を検討するのもひとつかもしれません。

 

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