2022/06/27

健康講座510 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)に対するワクチン効果

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のの調査で示されました。

英国の地域住民ベースの観察研究

 研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施したものです。

 対象は、英国・国家統計局が行ったCOVID-19 Infection Survey(CIS)の参加者のうち、2021年2月3日の時点で年齢が18~69歳であり、SARS-CoV-2感染陽性と判定されたのち、アデノウイルスベクターワクチンまたはmRNAワクチンの接種を少なくとも1回受けた集団であったものです。

 主要アウトカムは、2021年2月3日~9月5日の期間に、感染から12週以上が経過した時点におけるlong COVIDの症状の発現とされました。アウトカムの軌道解析では、各ワクチン接種前の受診時を0と設定して追跡が行われました。

long COVID症状発現率は23.7%

 2万8,356例(mRNAワクチン1万2,859例、アデノウイルスベクターワクチン1万5,497例)が登録された。平均(±SD)年齢は45.9(±13.6)歳で、1万5,760例(55.6%)が女性であり、2万5,141例(88.7%)が白人だったようです。

 追跡期間中央値は、1回目接種(全参加者)から141日で、2回目接種(参加者の83.8%)からは67日であった。追跡期間中に、6,729例(23.7%)から、重症度を問わず少なくとも1回のlong COVIDの症状が報告されました。

 ワクチンの1回目接種により、long COVIDの症状発現のオッズが当初12.8%減少し、その後、2回目接種までの週当たりの軌道には増減が認められました。

 2回目接種では、long COVIDのオッズが当初8.8%減少し、その後は週当たり0.8%減少しました。

 一方、アデノウイルスベクターワクチン接種者とmRNAワクチン接種者で、接種後のlong COVIDの軌道に差はなかったようです。また、社会人口学的特性(年齢、性別、人種、5段階の地理的剥奪)、健康関連因子(自己報告による健康状態、急性期COVID-19による入院の有無)、SARS-CoV-2感染からワクチン接種までの期間の違いで、ワクチン接種とlong COVID症状発現に関連はみられなかったようです。

 1回目接種後に発現率が数値上で最も低下したlong COVID症状は嗅覚障害で、次いで味覚障害、睡眠障害の順であったようです。2回目接種後は、疲労、頭痛、睡眠障害の順で低下の幅が大きかったようです。

 この観察研究のエビデンスから因果関係を導き出すことはできないですが、ワクチン接種はlong COVIDによる住民の健康負担の軽減に寄与する可能性があと思われます。

原著

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