2022/07/04

健康講座513 人工甘味料のがんリスク

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 「シュガーフリー」と聞くとヘルシーな印象を受けますが、砂糖の代わりに使用される人工甘味料の摂取量が多い人では、がんのリスクがわずかに高まる可能性のあることが新たな研究で示されました。フランス国立保健医学研究所(INSERM)の研究でございます。

 これまで長年にわたって、人工甘味料が発がんを促し得ることが基礎研究で示されていました。これには、人工甘味料が体内の慢性的な炎症をもたらしたり、DNAの損傷を引き起こしたり、腸内細菌叢に影響を与えたりすることが関係すると考えられています。また、ダイエット飲料を日常的に飲んでいる人たちでは、がんリスクが比較的高いことも一部の研究で示されているようです。

 今回の研究は、10万2,865人のフランスの成人を対象にしたもの。対象者を中央値で7.8年間追跡し、人工甘味料〔アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース〕の摂取量とがんリスクとの関連を検討しました。人工甘味料の摂取は24時間の食物摂取記録により評価しました。

 その結果、人工甘味料の摂取量が多い人(摂取量が中央値より多い)では人工甘味料を摂取していない人と比べて、がんと診断されるリスクが13%高いことが示されました。人工甘味料の種類別に見ると、アスパルテームで15%、アセスルファムKで13%のリスク上昇だったようです。がん種に着目すると、乳がんリスクはアスパルテームの摂取量が多い人で22%上昇し、大腸がんなどの肥満関連のがんリスクは、全ての人工甘味料の摂取量が多い人で13%、アスパルテームの摂取量が多い人で15%上昇していました。

 この大規模研究では、アスパルテームやアセスルファムKなどの世界中で多くの食品や飲料に使用されている人工甘味料が、がんリスクの上昇に関連していることが示されました。

 ただし、アスパルテームやアセスルファムKとがんリスクとの間に関連が認められたものの、この結果は、単にこれらの人工甘味料が最もよく消費されている甘味料であることを表しているに過ぎない可能性があります。また、いずれの人工甘味料に関しても、直接、がんの発症をもたらすことは証明されていないようです。

 いずれにしても、健康上の観点から、果物や野菜、食物繊維の豊富な穀物などの未加工の食品を積極的に摂取し、シュガーフリーか否かにかかわらず、加工食品の摂取を控えるのが良いと思われます。


原著

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