2022/07/20

健康講座520 糖尿病と新型コロナの後遺症

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続いている状態、いわゆる「long COVID」または「PASC(post-acute sequelae of COVID-19)」のリスクを、糖尿病が最大4倍程度押し上げる可能性が報告されました。

 糖尿病がCOVID-19重症化(入院や死亡)の主要なリスク因子の一つであることは、パンデミックの初期から知られていました。ただし、COVID-19罹患者の多くを悩ませているlong COVIDと糖尿病との関連は明らかになっていませんでした。これまでの報告を用いた探索的研究であるスコーピングレビューによってこの点が検討されました。

 2020年1月1日~2022年1月27日に発表された、全文が公開されているlong COVID関連の英語論文を検索し、39件の個別研究が含まれている計7件のレビュー論文を抽出。全体として43%の研究が糖尿病をlong COVIDの強力なリスクファクターとして特定していたそうです。それらの研究の大半で、非糖尿病群と比較したオッズ比が4以上を示していました。ただし、long COVIDの定義に含める症状や解析対象者(入院患者か非入院患者か)、および追跡期間(最短が4週間、最長が7カ月)による結果の差異も認められました。

 なぜ糖尿病がlong COVIDリスクを高めるのかは明確でないですが、多くのメカニズムが提唱されているようです。糖尿病は慢性炎症疾患という側面があります。従って糖尿病患者ではCOVID-19罹患に伴う炎症反応がより強く表れることが、long COVIDにつながる可能性があるという説がでております。

 糖尿病患者はパンデミック収束まで、普段に増して健康維持に努めるべきと強調されております。そして、ワクチン接種も重要でございます。接種後にもCOVID-19に罹患することがあるが、long COVIDのリスクは抑えられる可能があります。

 糖尿病患者がCOVID-19に罹患した場合、感染後2~3カ月間は血糖値を注意深くモニタリングすべきです。なぜなら、long COVIDのために糖尿病が悪化する可能性があるからだそうです。そして、十分な休息、定期的な運動、体に良い食事を取ることが、健康状態の悪化予防になり、ウイルスの排除にもつながるでしょう。

 long COVIDに対する特効薬はまだないです。当たり前の予防策をすることが、結局は最善ということになります。

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