2022/11/04

健康講座557 ジャガイモと高血圧

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 ジャガイモは、糖質(glycemic carbohydrate)とカリウム(高血圧などの慢性疾患の予防効果のエビデンスがある)の双方を豊富に含みます。米国・ブリガム&ウィメンズ病院らは、今回、一般的なジャガイモ料理(焼き、ゆで、マッシュポテト)やフライドポテトをよく食べる人は、高血圧の発症リスクが増大するとの研究結果を報告したのです。米国政府機関は、子供や低所得層へ健康的な食事を提供するプログラムにおいて、当初、ジャガイモなどのでんぷん質野菜に設けられていた制限を、最近、解除している。また、WHOはジャガイモを野菜に含めていないということでございます。


 研究グループは、3つの長期前向きコホート研究のデータを用いてジャガイモの摂取量別の高血圧の発症リスクについて検討を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。

 米国看護師調査(Nurses’ Health Study:NHS、1976年登録開始、30~55歳の女性)、米国看護師調査II(NHS II、1989年登録開始、25~42歳の女性)、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study:HPFS、1986年登録開始、40~75歳の男性)に参加した医療従事者のうち、ベースライン時に高血圧を認めなかったそれぞれ6万2,175人(女性)、8万8,475人(女性)、3万6,803人(男性)のデータを解析しました。

 ジャガイモは、焼き(baked)/ゆで(boiled)/すりつぶし(mashed)、フライドポテト(French fries)、ポテトチップス(potato chips)の3つに分類し、1サービング/月以下、1~3サービング/月、1~3サービング/週、4サービング/週以上の4つの摂取量別に解析を行ったようです。

 ランダム効果モデルを用いて統合ハザード比(HR)を算出した。参加者の自己申告による高血圧の発症を主要評価項目としました。

 フォローアップ期間は293万8,961人年であった。この間に7万7,726人(NHS:3万5,728人/103万4,257人年、NHS II:2万5,246人/134万4,475人年、HPFS:1万6,752人/56万229人年)が高血圧の診断を受けたと申告しました。

 摂取量が1サービング/月未満の集団と比較した4サービング/週以上の集団の高血圧発症リスクのHRは、焼き/ゆで/すりつぶしジャガイモが1.11、フライドポテトが1.17、ポテトチップスは0.97であったようです。

 置換分析では、1サービング/日の焼き/ゆで/すりつぶしジャガイモを、1サービング/日の非でんぷん質野菜に置き換えると、高血圧の発症リスクは有意に低下したようです。

 また、ジャガイモ料理をよく食べる人で高血圧発症のリスクが増大することをコホート研究のデータを基にした報告があります。

 この研究では、ジャガイモ料理(焼き、ゆで、マッシュポテト)を、非でんぷん質の野菜に切り替えると高血圧のリスクが有意に低下することを、多くの高血圧に関わる因子で補正した置換解析により証明した点が興味深いです。

 ジャガイモには、カリウムと食物繊維が多く含まれている。ナトリウムを過剰摂取すると血圧は上昇するが、その場合、カリウムを摂取すると余分なナトリウムは尿から排泄され、また、食物繊維がナトリウムを吸着し、便として出すため血圧上昇を防ぐことができる。しかし、ジャガイモは、グリセミック指数(炭水化物を摂取した際の血糖値上昇の度合い)が非常に高く、2型糖尿病や心血管病リスクが高くなる可能性がある。また、その摂取が多いと肥満傾向を示す。したがって、ジャガイモの積極的摂取が生命予後を改善するかは今のところ明らかではないとのことです。

原著

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