2022/12/09

健康講座562 妊娠糖尿病歴と心血管・脳血管疾患のリスク増加

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 妊娠糖尿病歴は、心血管・脳血管疾患全体および個々の疾患のリスク増加と関連しており、その関連は従来の心血管リスク因子やその後の糖尿病発症に起因しないことが、中国・北京大学第一医院によるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果で明らかとなりました。

 研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Libraryを用い、2021年11月1日までに発表された妊娠糖尿病と心血管・脳血管疾患発症との関連を報告した観察研究について検索しましました(2022年5月26日に更新)。

 主要評価項目は、妊娠糖尿病と、心血管・脳血管疾患全体および各種心血管・脳血管疾患との関連、副次評価項目は各種心血管・脳血管疾患および静脈血栓塞栓症との関連としました。

 妊娠糖尿病歴のある女性51万3,324例のうち、9,507例で心血管・脳血管疾患が確認された。一方、妊娠糖尿病歴のない女性800万人以上の対照のうち、7万8,895例に心血管・脳血管疾患が確認された。

 対照と比較して妊娠糖尿病歴のある女性では、心血管・脳血管疾患全体のリスクが45%(リスク比:1.45)、心血管疾患リスクが72%(1.72)、脳血管疾患リスクが40%(1.40)上昇した。

 同様に妊娠糖尿病歴のある女性は、冠動脈疾患(1.40)、心筋梗塞(1.74)、心不全(1.62)、狭心症(2.27)、心血管手術(1.87)、脳卒中(1.45)、および虚血性脳卒中(1.49)の発症リスクが上昇した。また、静脈血栓塞栓症リスクも、妊娠糖尿病歴のある女性で28%増加することが観察された(1.2)。

 その後糖尿病を発症しなかった女性に限ると、心血管・脳血管疾患リスクは低下したものの依然として有意なままであった(妊娠糖尿病歴のある女性全体のRR:1.45、その後糖尿病を発症しなかった女性のRR:1.09)。

 妊娠糖尿病のリスクが高い女性に対する早期介入と、妊娠糖尿病女性に対する継続的なモニタリングの必要性を強調するものであると思われます。
原著

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