2023/05/08

健康講座628 糖尿病と睡眠

 みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

糖尿病と睡眠は密接な関係があります。糖尿病は血糖値のコントロールが困難になる病気であり、睡眠不足や不規則な睡眠は血糖値の上昇につながることがあります。本稿では、糖尿病と睡眠の関係について、科学的根拠を基にわかりやすく解説します。

  1. 睡眠不足と糖尿病の関係

睡眠不足は、糖尿病のリスクを高める要因の1つです。睡眠不足が続くと、体内のインスリンの効果が低下し、血糖値が上昇する傾向があります。また、睡眠不足が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、血糖値が上昇することもあります。さらに、睡眠不足は、食欲を増加させ、運動量の低下につながるため、肥満のリスクを高めることもあります。

睡眠不足は、糖尿病に罹患するリスクを高めるだけでなく、既に糖尿病を発症している人にとっても、血糖値のコントロールを困難にする要因となります。糖尿病の人は、睡眠不足が続くと、血糖値の上昇が激しくなり、合併症のリスクを高めることがあります。

  1. 睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係

睡眠時無呼吸症候群(SDB)は、睡眠中に一時的に呼吸が止まることで、睡眠の質を低下させ、糖尿病の発症や進行を促進する要因の1つです。SDBは、肥満、高血圧、加齢などのリスクファクターがある人に発生しやすく、糖尿病とも関連があります。

SDBが続くと、交感神経の活性化や血管内皮機能の低下などが引き起こされ、糖尿病の進行を促進することがあります。特に、中等度から重度のSDBは、糖尿病のリスクを高めることがわかっています。一方で、SDBの治療が適切に行われると、血糖値のコントロールが改善されることが報告されています。

  1. 睡眠不足や不規則な睡眠とインスリン抵抗性の関係

睡眠不足や不規則な睡眠は、インスリン抵抗性を増加させることがあります。インスリン抵抗性とは、体内で作られるインスリンに対して、細胞が反応しなくなることで、血糖値の上昇を引き起こす状態です。

睡眠不足が続くと、体内のストレスホルモンであるコルチゾールが増加し、インスリンの効果が低下することがあります。また、睡眠不足が続くと、脳内の細胞がエネルギー源としてブドウ糖を使うため、血糖値が上昇することがあります。これらの要因が重なると、インスリン抵抗性が増加し、糖尿病のリスクが高まることがあります。

  1. 睡眠の質と糖尿病の関係

睡眠の質が低下すると、糖尿病のリスクを高めることがあります。睡眠の質が低下すると、体内のストレスホルモンや炎症性サイトカインが増加し、糖尿病のリスクを高めることがあります。また、睡眠の質が低下すると、脳内の神経伝達物質が変化し、食欲やエネルギー代謝の調整に影響を与えることがあります。

睡眠の質を改善することは、糖尿病の予防やコントロールに役立つことがあります。具体的には、規則的な生活リズムの確保、適度な運動、ストレスマネジメントなどが有効です。

まとめ

以上のように、睡眠不足や不規則な睡眠、SDBなどの睡眠障害は、糖尿病のリスクを高以下に、本稿の作成にあたり参考にした文献をいくつか紹介します。

  1. Tasali, E., & Van Cauter, E. (2018). Sleep disturbances and glucose metabolism in obesity and type 2 diabetes. Frontiers in endocrinology, 9, 82.

  2. Xu, M., Palmer, B. F., & Ding, X. (2018). The relationship between obstructive sleep apnea and diabetic nephropathy: a meta-analysis. Sleep & breathing = Schlaf & Atmung, 22(4), 1009–1016.

  3. Spiegel, K., Tasali, E., Penev, P., & Van Cauter, E. (2004). Brief communication: Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Annals of internal medicine, 141(11), 846–850.

  4. Gildersleeve, R. E., Goldstein, B. A., & Holsen, L. M. (2018). Neural correlates of sleep and appetite regulation in adults with type 2 diabetes. Sleep, 41(12), zsy187.

  5. Punjabi, N. M., Caffo, B. S., Goodwin, J. L., Gottlieb, D. J., Newman, A. B., O'Connor, G. T., … Resnick, H. E. (2009). Sleep-disordered breathing and mortality: a prospective cohort study. PLoS medicine, 6(8), e1000132.

これらの文献は、糖尿病と睡眠の関係について、科学的根拠に基づいた研究成果をまとめたものです。参考にしていただければ幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...