2023/06/24

健康講座704 "脂肪肝克服の新戦略 - 有酸素運動 vs 抵抗運動、どちらが勝つ?"

 こんにちは、皆さん!今回は私たちの健康に重要なテーマ、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)について語ります。NAFLDは世界中で増加傾向にあり、その対策として注目されているのが「運動」です。しかし、どのような運動が最も効果的なのか、その詳細についてはなかなか知られていません。そこで、最新の科学的な研究を元に、非アルコール性脂肪肝疾患改善のための最適な運動方法を紐解いていきましょう。

この研究では、PubMed、Web of Science、Scopasといったデータベースを用いて、NAFLDに対する有酸素運動と抵抗運動の効果に関する情報を収集しました。その結果、95件の関連論文から、最終的に24の有酸素運動と7の抵抗運動のプロトコルを含む23の研究が選ばれ、その効果を比較分析しました。

驚くべきことに、有酸素運動と抵抗運動はどちらも肝性脂肪症、つまり脂肪肝を改善する効果が確認されました。特に有効とされたのは、一回のセッションが40分から45分で、週に3回、合計で12週間行うというプロトコルでした。

しかし、興味深いことに、有酸素運動と抵抗運動で、その強度やエネルギー消費には大きな違いがありました。同じ期間、頻度で行った場合、抵抗運動は有酸素運動に比べて、%VO2max(最大酸素摂取量のパーセンテージ)とエネルギー消費が有意に低いことが分かりました。具体的には、有酸素運動では50%(範囲:45-98)の%VO2maxと、11,064 kcal(範囲:6,394-21,087)のエネルギー消費でしたが、抵抗運動では28%(範囲:28-28)の%VO2maxと、6,470 kcal(範囲:4,104-12,310)のエネルギー消費でした。

これは何を意味するのでしょうか?一見、抵抗運動の方が消費エネルギーが少ないように見えますが、これは抵抗運動が有酸素運動に比べて効率的に脂肪肝を改善できる可能性を示しています。つまり、心肺機能が低い人や、高強度の有酸素運動に耐えられない、または参加できない人々にとって、抵抗運動はより取り組みやすい運動法と言えるのです。これらのデータは、抵抗運動が肝臓の脂質代謝に直接影響を与える可能性を示唆しています。

この研究の結果は、運動に取り組む際の新たな視点を提供します。つまり、有酸素運動だけでなく、抵抗運動も非アルコール性脂肪肝疾患の予防と改善に有効であるということです。そして、時間や体力が限られた人々にとっては、抵抗運動の方が取り組みやすい可能性があるという点も大切な知見です。

ここで重要なのは、「運動を始める」ことです。一度に大きな変化を求めるのではなく、毎日の少しずつの積み重ねが大きな変化をもたらすことを忘れないでください。そして、無理をせず、自分自身のペースで運動を行うことが何よりも重要です。

以上、非アルコール性脂肪肝疾患についての最新の研究をご紹介しました。皆さんの健康維持に少しでもお役に立てれば幸いです。これからも健康に関する最新の情報を提供し続けますので、どうぞお楽しみに。それでは、次回まで、健康に過ごしましょう!

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