2023/12/14

健康講座800 「食事のタイミングで糖尿病を制する:時間制限食の可能性」

 皆さん、こんにちは。本日は小川糖尿病内科クリニックの健康講座から、非常に興味深い研究結果をお話しします。今回取り上げるのは、2型糖尿病の成人を対象とした、時間を制限した食事(タイムリストリクテッドイーティング、以下「TRE」と呼びます)が、体重減少と血糖コントロールに及ぼす影響に関するランダム化臨床試験です。


この研究の重要性は、2型糖尿病を持つ人々にとって、毎日のカロリーを計算し続けることの難しさがあることです。そこで、カロリー計算に代わる新たな方法として、TREが提案されました。TREは、一日のうち特定の時間帯(たとえば、昼の12時から夜の8時まで)に食事を行い、残りの時間は断食するというものです。TREは、自然とカロリー摂取量を減らすことが示されており、一日の大部分にわたって食事の自由が認められるため、長期間にわたっても高い順守率が期待できます。

試験の目的

この試験は、イリノイ大学シカゴ校で行われ、TREが従来のカロリー制限(CR)やコントロール条件と比較して、体重減少と血糖コントロールに効果的かどうかを明らかにすることを目的としています。

方法

75名の成人が、TREグループ、CRグループ、またはコントロールグループのいずれかにランダムに割り当てられました。TREグループでは食事を12時から20時の間に行い、CRグループでは毎日のエネルギー摂取を25%削減しました。主な結果の指標は6ヶ月時点での体重変化で、副次的な指標にはHbA1cレベルや代謝リスク要因の変化が含まれます。

結果

6ヶ月後には、TREグループで体重が平均3.6%減少し、CRグループでは1.8%の減少にとどまりました。しかし、両グループ間でHbA1cレベルの変化には差は見られませんでした。TREグループは、エネルギー摂取の削減と試験への順守率が高かったことが報告されています。

解釈

これらの結果は、TREが体重とHbA1cレベルの低下において、CRの有効な代替戦略である可能性を示唆しています。しかし、より大きな規模の試験と長期間の追跡研究によって、これらの結果が確認される必要があります。

試験の具体的内容

この試験では、参加者が自身の食事を記録し、定められた時間内での食事を守ることが要求されました。TREグループは特にカロリーを数えることなく食事ができ、16時間の断食期間中は水分摂取が奨励されました。CRグループの参加者は、一日のカロリー摂取を25%削減することを目標にしました。コントロールグループの参加者は、通常の食事と運動習慣を維持するよう指導されました。

結論

この臨床試験は、2型糖尿病を持つ成人において、カロリー計算を行わないTREが体重減少とHbA1cレベルの低下に効果的であることを発見しました。これらの発見は今後の研究における基盤を提供し、新しいライフスタイル変更戦略の可能性を開くものです。

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