最新の研究によると、歩行速度が速い人は2型糖尿病になりにくい可能性があるという興味深い結果が出ています。これは、よりアクティブな生活を送ることが、健康を守る上で重要であることを示唆しています。今回の講座では、歩行速度と2型糖尿病リスクの関連性について最新のシステマティックレビューとメタアナリシスの結果を基に解説します。
研究チームは、成人における歩行速度と2型糖尿病リスクの関連を探るために、10件のコホート研究を分析しました。その結果、ゆっくりとした歩行(時速3.2km未満)と比較して、通常の歩行速度(時速3.2-4.8km)を維持する人は、2型糖尿病になるリスクが15%低下することがわかりました。さらに速い歩行速度(時速4.8-6.4km)では、そのリスクは24%低下し、さらに速い歩行(時速6.4km以上)をする人では、なんと39%もリスクが低下することが明らかになりました。これらの結果は、100人につき、それぞれ0.86人、1.38人、2.24人の2型糖尿病の発症者数が減少することを意味しています。
ただし、これらの結果はいくつかの研究における高いバイアスのリスクや、証拠の確実性が低いという点を考慮する必要があります。また、研究者たちは歩行に費やす時間や運動の総量などの要因を調整した後でも、これらの効果が一貫していることを発見しました。
重要なのは、歩行速度が時速4kmを超えると、2型糖尿病のリスクが有意に低下するという点です。これは、普段の散歩を少し意識して速めにするだけで、健康を大きく改善できる可能性があるということを意味しています。
この研究は、私たちが日常的にどのように運動するか、そしてその運動の質が、健康に与える影響を理解する上で貴重な情報を提供しています。まとめると、歩行速度を上げることは、2型糖尿病の予防において有効な手段の一つとなり得ると言えそうです。
著者: Ahmad Jayedi 1, Mahdieh-Sadat Zargar 2, Alireza Emadi 3, Dagfinn Aune 4 5 6 所属情報拡大
PMID: 38050034 DOI: 10.1136/bjsports-2023-107336
概要 目的:歩行速度と2型糖尿病リスクとの関連を調査する。
デザイン:システマティックレビューとメタアナリシス。
データソース:2023年5月30日までのPubMed、Scopus、CENTRAL、Web of Science。
0 件のコメント:
コメントを投稿