2024/05/24

健康講座826 高尿酸血症の怖さと生活習慣の影響:痛風以外のリスクも知っておこう

 尿酸値が高くなると「痛風」を連想する人が多いでしょう。しかし、尿酸値が高くなった「高尿酸血症」が引き起こすのは痛風だけではありません。痛風は高尿酸血症の局所的な1つの病態にすぎません。痛風発作よりももっと怖いことがあります。一体どんなリスクがあるのでしょうか。


尿酸値の基準と検査方法

尿酸値は、特定健診(メタボ健診)の必須項目には含まれていませんが、とても重要な検査項目です。尿酸は腎臓から排泄される老廃物の一つで、抗酸化物質でもあるため、ある程度の量は体に必要です。しかし、過剰になると血管の内皮細胞に炎症を起こし、血管障害を進行させます。

尿酸値は血液検査で調べます。尿酸値が基準値を超えると血管障害が進み始めると考えられます。高尿酸血症の診断には「6、7、8のルール」というものがあります。尿酸値が6.0㎎/dLを超えると体に悪影響を及ぼし、7.0㎎/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。8.0㎎/dL以上で腎障害や高血圧、糖尿病などの合併症がある場合は薬物治療が必要となり、9.0㎎/dL以上では合併症の有無にかかわらず薬物治療の対象となります。

痛風発作だけでなく血管障害にも注意

尿酸値が高いと必ずしも痛風の発作が起こるわけではありませんが、高尿酸血症の人は関節に尿酸塩結晶が沈着している可能性が高く、いつ発作が起きてもおかしくない状態です。尿酸塩結晶は関節内で白血球によって処理される際に炎症を引き起こし、激しい痛みを伴います。高尿酸血症が長期間続くと、腎臓にも尿酸塩結晶が沈着し、「痛風腎」と呼ばれる状態になることがあります。これが悪化すると透析が必要になることもあります。

さらに、高尿酸血症は血管の内皮細胞に炎症を引き起こし、血管障害を進行させます。全身の血管に炎症が広がり、動脈硬化が進むリスクが高まります。特にメタボリックシンドローム(メタボ)は高尿酸血症の最も重要な危険因子です。内臓脂肪が蓄積すると尿酸の産生が活発になり、排泄が減少してしまうため、高尿酸血症になりやすくなります。

生活習慣が尿酸値に与える影響

尿酸は、細胞の核に含まれる核酸の主成分であるプリン体が分解されてできる老廃物です。プリン体は食品にも含まれており、食事から摂取することでも尿酸がつくられます。プリン体を多く含む食品はレバーなどの内臓類や干物などです。高尿酸血症の人は、プリン体の1日の摂取量を400㎎程度に抑えることが推奨されています。

激しい筋トレも尿酸値を上げる要因となります。筋肉が壊れることで老廃物である尿酸が増えます。アルコールも尿酸の排泄を減少させるため、尿酸値を上げる要因となります。特にサウナで大量の汗をかいた後にビールを飲むことは、尿酸値を急激に上げてしまう最悪の組み合わせです。

まとめ

高尿酸血症は痛風発作だけでなく、血管障害や腎障害など多くのリスクを伴います。尿酸値を6.0㎎/dL以下に維持することが予防のために重要です。生活習慣の見直しや適切な治療を行い、健康な体を保ちましょう。

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