2025/07/05

健康講座873 「ワカメ・コンブ・海苔などの海藻が糖尿病や肥満を防ぐかもしれない」

 

皆さんこんにちは

今日は「ワカメ・コンブ・海苔などの海藻が糖尿病や肥満を防ぐかもしれない」というテーマについて、最新の研究や知見をもとに、わかりやすく解説していきます。


1. 海藻って何がそんなにすごいの?

海藻とは、海に生える植物のような生き物のこと。ワカメ、コンブ、ヒジキ、モズク、メカブ、海苔などがよく知られていますね。これらは「低カロリー」でありながら、「食物繊維」「ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)」「タンパク質」「ビタミン」などの栄養がバランス良く含まれているのが特徴です。

つまり、「たくさん食べても太りにくく、栄養価は高い」という、まさに日本のスーパーフードなのです。


2. 海藻と糖尿病・肥満の関係

ここが本題です。

▷ 食後血糖値の上昇を抑える

海藻に含まれる「食物繊維」は、糖の吸収をゆっくりにする働きがあります。たとえばご飯やパンなどの炭水化物を食べると、糖質が腸から急激に吸収されて血糖値が一気に上がるのですが、海藻を一緒に食べることでその吸収がゆるやかになります。

これを「食後血糖値の上昇を抑制する」と言います。糖尿病の方にとっては、これはとても重要な働きです。

▷ 脂質の吸収もブロック

海藻の食物繊維は、食べ物の中の脂(脂質)を吸着して、体の中に取り込まれにくくします。つまり、「余分な脂」を吸って体の外に出してくれるわけです。

▷ 腸内環境を改善して、炎症を抑える

腸の中には「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」という、たくさんの善玉菌・悪玉菌がいます。食物繊維は善玉菌のエサになり、腸内細菌のバランスを改善することで、腸の炎症や体の慢性炎症を抑えることができるとされています。

この腸内環境の改善は、糖尿病や肥満だけでなく、メンタル面の健康、免疫機能、がんの予防など、全身の健康にも関わっているんです。


3. 海苔に含まれる「ポルフィラン」に注目!

▷ ポルフィランってなに?

海苔に多く含まれる成分の一つに「ポルフィラン(Porphyran)」という食物繊維があります。これは、紅藻類(こうそうるい)という種類の海藻に含まれる天然の多糖類(たとうるい)です。

難しい言い方ですが、簡単に言えば「腸にとても良い働きをする成分」と思ってください。

▷ ポルフィランの効果

慶應義塾大学などの研究では、このポルフィランが以下のような病気の予防や改善に役立つ可能性があると報告されています:

  • 肥満

  • 2型糖尿病

  • 脂肪肝(特にMASH=代謝機能障害関連脂肪肝炎)

  • 肝臓がん

その仕組みは次のようになっています:

  1. 腸内細菌叢を整える
    善玉菌を増やし、腸内で良い代謝産物を作りやすくします。

  2. 胆汁酸の質を改善する
    胆汁酸(たんじゅうさん)は脂肪の消化を助ける成分ですが、体内でホルモンのように働く物質でもあります。これが改善されると、代謝や炎症に良い影響が出ます。

  3. セラミドという脂質を減らす
    セラミドは、細胞のシグナルを伝える働きがある脂質ですが、これが多すぎると炎症やインスリン抵抗性(糖が使われにくい状態)を悪化させることがわかってきました。ポルフィランはこのセラミドを減らしてくれる可能性があります。

▷ 色落ち海苔の新しい活用法

一般に廃棄されがちな「色落ち海苔」は、通常の海苔よりもポルフィランが豊富に含まれていることが判明しました。つまり、「捨てるはずのものにこそ、健康のカギがある」というわけです。これを食品やサプリに活用すれば、健康とサステナビリティの両方に貢献できます。


4. 実際にどのくらい海藻を食べればいい?

海藻を毎日100g食べるのは難しいかもしれませんが、たとえば以下のように「ちょい足し」で取り入れることはできます。

  • 朝食:納豆に刻みメカブを加える

  • 昼食:おにぎりに海苔を巻く、味噌汁にワカメ

  • 夕食:酢の物やサラダにモズクやヒジキ

乾燥ワカメや味付け海苔なら保存も効くので、手軽に毎日の食卓にプラスできます。


5. 海藻を使ったちょい足しアイデア

食事アレンジ例
朝食海苔をちぎって卵かけごはんに、メカブと納豆の混ぜご飯
昼食インスタント味噌汁にワカメを追加、おにぎりにヒジキ混ぜ込み
夕食サラダにモズクをドレッシング代わりに、コンブと大根の煮物

「1日1回、海藻を入れる習慣」が、腸から全身の健康を支えてくれます。

6. 海外でも注目される「海藻パワー」

イギリスのニューカッスル大学の研究では、海藻に含まれる「アルギン酸」が食後の血糖値の上昇を抑える働きがあると報告されています。

たとえばハンバーガーなどの高脂肪・高カロリーな食品に、海藻成分を加えることで「より健康的なファストフード」にする取り組みも進められています。


7. 海藻の効果が期待できる理由(まとめ)

成分働き
食物繊維血糖上昇の抑制、脂質吸着、腸内細菌叢改善
ポルフィラン抗炎症・抗酸化作用、胆汁酸・セラミド改善
アルギン酸血糖上昇の抑制、コレステロール低下
カリウム血圧調整、むくみの予防

8. 最後に:海藻を「毎日の味方」に

海藻は、私たち日本人にとって昔からなじみのある食品です。でも改めて見てみると、「腸」「血糖」「脂肪」「肝臓」「炎症」と、現代の病気の予防にとても役立つ成分がたくさん含まれていることがわかります。

毎日少しずつでいいんです。乾燥ワカメをお味噌汁に入れるだけでもOK。コンビニのおにぎりを選ぶときに「海苔巻き」を意識するだけでも違ってきます。



良いね!と思ったら、ぜひ明日の食卓に「海の幸」を取り入れてみてくださいね。

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