2025/12/27

健康講座942 新しいGLP-1薬「エフスバグルチド」はどれくらい効く? SUPER1試験の内容を“専門用語も全部やさしく”噛みくだいて解説

 みなさんこんにちは。

今回は、2025年に発表された SUPER1試験 という最新の研究を解説します。

テーマは、
“エフスバグルチド(efsubaglutide alfa)”という新しいGLP-1薬はどれだけ血糖や体重を改善するのか?
というものです。

専門用語がたくさん出ますが、
出てきたその場で説明しますので、知らなくても大丈夫です。



◆ 1. そもそもGLP-1薬って何?

まず、今回の薬がどんな種類の薬なのかを簡単に説明します。


● GLP-1とは?

GLP-1(ジーエルピーワン)は、食事をすると腸から出るホルモンで、

  • 血糖を下げる

  • 食欲を抑える

  • 胃の動きをゆっくりにして食べすぎを防ぐ

という「体にとって都合のいい働き」をしてくれます。


● GLP-1受容体作動薬とは?

これは「GLP-1の働きを薬で強くしたもの」です。

血糖値が高いときだけインスリンを出す手助けをしてくれるので、
低血糖になりにくい のもポイントです。

日本でも

  • オゼンピック(セマグルチド)

  • トルリシティ(デュラグルチド)

などが広く使われています。


● 今回の主役「エフスバグルチド」とは?

エフスバグルチド(efsubaglutide alfa)は、
**週1回の注射で効果が続く“長時間型のGLP-1薬”**です。

「週1回打てばいい」というのは、忙しい人でも使いやすい特徴です。


◆ 2. SUPER1試験とは?

この研究では、
“エフスバグルチドが本当に効くのか?”
“安全なのか?”

を調べています。

しかも対象は、
まだ糖尿病の薬を使ったことがない、生活習慣だけでコントロールできなかった人
です。


● 試験の流れ

この研究は2段階構造になっています。


● 第1段階(Phase IIb)

ここでは
「1mg・2mg・3mgのどれが一番よさそうか?」
をまず調べました。

140人の患者さんが

  • 1mg

  • 2mg

  • 3mg

  • プラセボ(偽薬。薬のふりをしているが成分なし)

に分かれて12週間薬を使います。

その結果、
1mg と 3mg が本番用として採択されました。


● 第2段階(Phase III)

本番の試験です。

297人が

  • 1mg

  • 3mg

  • プラセボ

に分かれて治療を受けました。


● “二重盲検”についても説明

この試験では
患者さんも医師も、自分が本物の薬なのかプラセボ(偽薬)なのか分からない
ようになっています。

これを「二重盲検」といい、
最も公平に薬の効果を調べる方法です。


◆ 3. 結果①:HbA1cがどれくらい改善した?(ここが一番大事)

糖尿病の治療でいちばん重要な数字は「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」です。


● HbA1cとは?

  • 過去1〜2か月の平均的な血糖値

  • 糖尿病のコントロールの「通知表」のようなもの

  • 7.0%未満を目標にすることが多い


● そのHbA1cがどう変化したか?

24週後の改善は次の通り。

● 1 mg

−1.73%(かなり強い)

● 3 mg

−2.15%(非常に強い)

これはどういう意味かというと…


● 一般の人に分かる比較

  • 多くの飲み薬:0.5〜1.0%改善

  • そこそこ強い薬でも:1.0〜1.5%改善

  • 既存のGLP-1薬(オゼンピックなど):1.0〜1.8%

それに対して −2.15%

→「トップクラスの効果」

です。


● HbA1c 7%未満になった人の割合

  • 1 mg:56%

  • 3 mg:68%

つまり
約半数〜3分の2の人が目標到達

生活習慣だけでは足りなかった初期患者でこの数字は“かなり強い”。


◆ 4. 結果②:空腹時血糖(FPG)も下がった


● 空腹時血糖(FPG)とは?

朝、何も食べていない状態で測る血糖値。
糖尿病の人はここが高くなりがち。


● その改善量

  • 1mg:−2.04 mmol/L

  • 3mg:−2.49 mmol/L

プラセボとの差もしっかりありました。

→ 朝の血糖を下げる力が強い薬です。


◆ 5. 結果③:食後血糖(PPG)も大きく下がった


● 食後血糖とは?

食事後に血糖がどれくらい上がるか。
高い状態が続くと血管が傷み、合併症につながります。


● 結果

  • 1mg:−3.7 mmol/L

  • 3mg:−4.6 mmol/L

GLP-1薬は
胃の動きをゆっくりにして“血糖が急に上がらないようにする”
働きがあるため、この効果は理にかなっています。


◆ 6. 結果④:体重も改善した(肥満治療にも期待)

GLP-1薬は「体重が減る」ことでも注目されています。


● 結果

  • 1mg:−0.97%

  • 3mg:−3.14%

今回の試験は
「糖尿病であってもやせ型〜普通体型の人も混ざっている」
ので、そもそも体重が落ちにくい条件ですが、
それでも3%減は

→ 明確に“効いている”

といえます。

欧米の肥満治療の流れからすると、
今後体重減少薬としての研究も進む可能性があります。


◆ 7. 副作用(安全性)

副作用は
GLP-1薬でよくみられる胃腸症状が中心 でした。


● 多かった症状

  • 吐き気

  • 食欲低下

  • 下痢

  • 嘔吐

いずれも軽度〜中等度で、
重い副作用は少なかった
という結果です。


◆ 8. SUPER1試験の全体像をまとめると…

✔ HbA1cが大きく改善(最大 −2.15%)
✔ 朝の血糖も、食後血糖も改善
✔ 体重も確実に減る
✔ 副作用はよくある胃腸症状のみ
✔ 初期糖尿病でこれだけ効くのは非常に強い
✔ 今後の実用化が期待される新しいGLP-1薬


◆ 9. “日本で使えるのか?”について

現時点では

日本ではまだ承認されていません。

SUPER1試験は中国中心の研究であり、
日本ではまだ臨床試験が始まっていません。

将来は

  • 日本人での追加試験

  • PMDA(厚生労働省の審査)
    を経て承認される可能性があります。


◆ 10. 一般の人向け:これってどんな人に合いそう?

将来日本で使えるようになるとすれば、

  • 初期の糖尿病でしっかり血糖を下げたい人

  • 体重も一緒に減らしたい人

  • 週1回の注射で済ませたい人

  • 飲み薬より強い効果が必要な人

などに向いている薬になると考えられます。


◆ さいごに

今回のSUPER1試験は、
「糖尿病治療は血糖を下げるだけではない」
という流れを象徴しています。

血糖だけでなく、
体重、代謝、生活の質まで良くしていく薬——
それがGLP-1薬の魅力です。

エフスバグルチドは、
この流れの先頭を走る“次世代GLP-1薬”になる可能性があります。

もちろん今後の追加研究が必要ですが、
糖尿病や肥満治療の未来を感じさせる、とても興味深い研究でした。



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