2026/02/23

健康講座979 MASLD(代謝異常関連脂肪肝)から肝がんになる人は誰? ― 台湾23万人×香港検証で作られた「CAMDスコア」という超シンプル予測法 ―


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皆さんこんにちは。

今日はかなり実臨床に直結する、とても重要な論文をやさしく解説します。

テーマは:

MASLD(代謝異常関連脂肪肝)の患者さんの中で、誰が将来“肝がん”になりやすいのか?

という問題です。

脂肪肝の患者さんは非常に多い一方で、
実際に肝細胞がん(HCC)まで進む人はごく一部。

そのため、

  • 全員にエコー?

  • 全員にCT?

  • 全員フォロー?

というのは現実的ではありません。

そこで今回、

台湾23万人+香港2.8万人

という巨大データを使って、

「これだけ見ればOK」

という超シンプルな肝がんリスクスコアが作られました。

それが

👉 CAMDスコア

です。


まず結論

MASLD患者さんで肝がんリスクを決めるのは、たった4項目:

項目意味
C肝硬変
A年齢
M男性
D糖尿病

Cirrosis
Age
Male
Diabetes

の頭文字で CAMD

この4つを点数化するだけで、

  • 3年後

  • 5年後

  • 10年後

の肝がん発症リスクがかなり高精度で予測できます。


なぜこの研究が重要なのか?

MASLD(Metabolic dysfunction–associated steatotic liver disease)は、

✔ 肥満
✔ 糖尿病
✔ 高血圧
✔ 脂質異常症

と強く結びついています。

患者数は爆発的に増えています。

ところが:

  • MASLD全体としての肝がん発症率は低い

  • でも一部の人は急速に進行する

という“選別の難しさ”が最大の問題でした。


研究デザイン(ざっくり)

開発コホート(台湾)

  • MASLD患者:232,125人

  • 追跡期間:最大10年以上

外部検証(香港)

  • MASLD患者:28,045人

つまり、

👉 台湾でスコア作成
👉 香港で本当に使えるか検証

という超王道の構成です。


MASLD患者の肝がん発症率は?

まず全体像。

10年間で肝がんになった割合:

👉 0.41%

つまり、

約1000人に4人。

やはり全体では低い。

でも問題は「誰がその4人になるか」です。


肝がんリスクを上げる因子は?

多変量解析の結果、独立した危険因子は:

✅ 肝硬変(圧倒的)

✅ 高齢

✅ 男性

✅ 糖尿病

でした。

意外な因子は入っていません。

むしろ、

「ああ…やっぱり」

という顔ぶれ。


CAMDスコアの仕組み

この4項目に点数を割り振り、

合計0〜21点。

詳細配点は論文原文ですが、概念的には:

  • 肝硬変 → 最大加点

  • 年齢 → 段階的加点

  • 男性 → 加点

  • 糖尿病 → 加点

という構造。


精度はどれくらい?

予測モデルの性能(c-index)は:

台湾

  • 3年:0.79

  • 5年:0.80

  • 10年:0.80

香港

  • 3年:0.76

  • 5年:0.76

  • 10年:0.73

医学の世界では
0.75超えはかなり優秀

とされます。

しかも外部検証付き。

かなり信頼できます。


どこから「ハイリスク」?

研究では:

👉 CAMDスコア >13点

を高リスクと定義。

この群では:

年間肝がん発症率 >0.2%

これは現在の国際ガイドラインで

「サーベイランス(定期検査)を推奨」

される基準を超えています。


実臨床的な意味

これ、かなり革命的です。

なぜなら:

  • 採血不要

  • 特殊検査不要

  • 画像すら不要

診察室で即計算できます。

つまり:

MASLD患者すべてに漫然とエコーする時代から、

👉 CAMD高得点者だけを重点フォロー

へ移行できる可能性があります。


CKMスペクトラムとのつながり

最近注目されている

  • 心臓

  • 腎臓

  • 代謝

  • 肝臓

を一体で考える
CKMスペクトラム

の流れとも完全に一致します。

MASLDは単なる「脂肪肝」ではなく、

全身疾患の一部。

その中で肝がんリスクを数値化できた意義は大きい。


まとめ

とても静かだけど、

将来の診療を確実に変える論文です。

要点は:


✅ MASLDの肝がんリスクは低いがゼロではない

✅ 本当に危ない人は4項目でほぼ決まる

✅ CAMDスコア>13なら積極的フォロー

✅ 全員検査から“選別医療”へ


これからの脂肪肝診療は、

「ALT」でも
「脂肪量」でもなく、

👉 CAMD

の時代に入っていくと思います。


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