何かを続けているとき、私たちはつい、「続けるのが正しい」「やめるのは負けだ」と考えがちだ。
けれど、脳の働きを調べていくと、続けることも、いったん止めることも、どちらも生き物にとって必要な行動だと分かってくる。
魚は、何度泳いでも周囲の景色が変わらないと、泳ぐのをやめる。マウスは、エサを得るための努力が大きくなりすぎると、報酬を取りに行く行動を弱める。霊長類の脳では、状況が変わったときに、注意を向ける先を切り替える神経回路が働く。
こうした研究を知ると、「やめる」とは、気合いが足りないことでも、意志が弱いことでもなく、脳が環境から得た情報をもとに行動方針を変えることなのだと見えてくる。
ただし、ここで注意が必要だ。脳の中に「やめる」と判断する小さな司令塔があるわけではない。ドーパミンが増えれば必ずやる気が出るわけでもない。ノシセプチンが働けば、脳全体のドーパミンが消えて何もできなくなるわけでもない。
脳は、報酬、努力、成功する確率、疲労、危険、過去の経験、周囲の反応、未来の予測を、いくつもの回路で組み合わせている。
この記事では、その中でも特に重要なドーパミンと抑制回路を中心に、アストロサイト、認知の柔軟性、神経可塑性、サンクコストまでを一つの流れで整理する。専門用語はそのつど説明し、研究が実際に示したことと、そこから考えられる解釈を分けて書いていく。
まず、科学的に分かっていること
大きな結論を先にまとめると、次のようになる。
| テーマ | 科学的に言えること |
|---|---|
| 行動をやめる仕組み | 結果が返ってこない、または努力が大きすぎると、動物は行動を弱めることがある |
| アストロサイト | ゼブラフィッシュでは、失敗に関する情報を時間的に蓄積し、泳ぐ行動を抑える回路に関わっていた |
| ノシセプチン | マウスの特定のVTA回路では、報酬を得るための努力を制限する方向に働いていた |
| ドーパミン | 快楽だけでなく、報酬の予測、予測とのズレ、学習、行動の勢い、努力の選択に関わる |
| ドーパミンの抑制 | 脳全体のドーパミンが一斉に消えるのではなく、特定の回路で神経活動や信号の伝達が弱まることを指す場合が多い |
| 認知の柔軟性 | 状況やルールが変わったとき、注意や行動の方針を切り替える力。複数の脳領域が関わる |
| 神経可塑性 | 大人の脳も経験や学習によって変化する。ただし、変化は万能な改善を意味しない |
| 人間の判断 | 動物と共通する報酬・努力の仕組みに加え、言葉、文化、他者の評価、自己イメージ、未来の想像が加わる |
つまり、「やめる」という行動そのものは、脳の異常でも、人間だけの弱さでもない。行動の結果を受け取り、次の一手を変えるための基本的な機能の一つだ。
一方で、動物の実験から、人間の複雑な生活上の判断を直接説明できるわけではない。そこを丁寧に分けて考えることが、脳科学を正しく使うための出発点になる。
脳はいつも「この行動を続ける価値」を更新している
脳は、行動を始める前から、「それをすると何が起きそうか」を予測している。
食べ物を探す、誰かに連絡する、勉強する、運動する、仕事をする。どんな行動にも、時間や体力や注意が必要だ。その一方で、うまくいけば何らかの報酬が得られる。
ここでいう報酬は、お金や食べ物だけではない。安心感、達成感、他人からの評価、好奇心が満たされること、痛みが減ること、問題が解決することも報酬になりうる。
脳はおおまかに、次のような情報を同時に評価している。
その行動で何が得られそうか。得られる確率はどれくらいか。必要な努力や時間はどれくらいか。失敗したときの損失は何か。身体にどれくらい余力があるか。他にもっと良い選択肢はないか。
もちろん、脳がこれらを電卓のように明示的に計算しているわけではない。さまざまな神経回路の活動が組み合わさり、「続ける」「少し休む」「方法を変える」「別の行動に移る」という状態がつくられる。
この視点に立つと、「やめる」は単なる停止ではない。行動の価値に関する予測を更新し、次の行動を選び直すことだと理解できる。
ドーパミンは「快楽物質」だけではない
ドーパミンは、脳内で働く神経伝達物質の一つだ。神経伝達物質とは、神経細胞どうしが情報をやり取りするときに使う化学物質のことである。
一般には、「ドーパミンが出ると快楽を感じる」「ドーパミンが増えるとやる気が出る」と説明されることが多い。完全な間違いではないが、かなり単純化されている。
ドーパミンは、報酬そのものの快感だけでなく、報酬の予測、予想外の出来事、予測と結果のズレ、行動を起こす勢い、報酬を得るための努力、学習、注意の向け方に関わっている。
たとえば、スマートフォンに通知が届いた場面を考えてみよう。通知音そのものが必ず快楽とは限らない。それでも、「何か起きた」「確認したほうがよい」と注意を引きつけ、画面を開く行動を促す。ドーパミンの働きは、この通知に少し似ている。
何か重要そうな変化が起きたとき、脳に「この情報を使って次の予測を更新しよう」と知らせる。ただし、本当の脳はスマートフォンよりはるかに複雑で、ドーパミンだけが通知を担当しているわけではない。
報酬予測誤差という考え方
ドーパミンを理解するうえで重要なのが、「報酬予測誤差」という言葉だ。
これは、簡単に言えば、予想していた結果と、実際に起きた結果のズレのことである。
予想していなかった報酬が来た。思ったより大きな報酬が来た。反対に、来ると思っていた報酬が来なかった。いつもと違う結果になった。こうしたズレが、次の学習材料になる。
Schultz、Dayan、Montagueによる1997年のScience論文は、ドーパミン神経細胞の活動を、報酬そのものだけでなく、報酬の予測や予測誤差と結びつけて理解する枠組みを示した代表的な研究である。論文情報はPubMedで確認できる。
MirenowiczとSchultzの1994年の霊長類研究でも、報酬が予測できないときのドーパミン神経細胞の反応が調べられている。論文はこちら。
この考え方から見ると、ドーパミンは「嬉しい気分の液体」ではない。環境の変化を知らせ、行動や予測を更新する信号でもある。
「好き」と「取りに行きたい」は同じではない
ドーパミンの説明で、もう一つ大切なのが、「liking」と「wanting」の違いだ。
likingは、実際に感じる快さや好ましさに近い。wantingは、それを手に入れたい、近づきたい、追いかけたいという動機づけに近い。
WyvellとBerridgeの2000年のラット研究では、側坐核にアンフェタミンを投与すると、報酬を予測する手がかりが、報酬を追い求める行動を強く引き起こした。一方で、報酬の味そのものを快く感じる反応が同じように高まったわけではなかった。論文はこちら。
つまり、ドーパミンが関係する「やる気」は、気持ちよさそのものというより、手がかりに引きつけられ、報酬を取りに行く力として表れる場合がある。
ドーパミンが高ければ、何でもうまくいくわけではない
Cagniardらの2006年のマウス研究では、細胞外ドーパミンが慢性的に高くなる遺伝子改変マウスが、食べ物を得るためにより多く働く傾向を示した。一方で、学習能力や知能が全般的に高まったという話ではない。論文はこちら。
ここで分けるべきなのは、「報酬のために努力する勢い」と、「何を学習したか」である。ドーパミンは前者に影響しても、後者をすべて自動的に高めるわけではない。
人間を対象にした研究でも、ドーパミンと努力の関係が調べられている。
Treadwayらの2012年の研究では、25人の健康な成人にPET検査を行い、ドーパミン系の反応性と、金銭報酬を得るためにどの程度の努力を選ぶかを調べた。難しい課題ほど報酬が大きくなる条件で、線条体や腹内側前頭前野のドーパミン機能の個人差が、大きな報酬のために努力する傾向と関連していた。特に報酬を得られる確率が低い条件で、その関係が目立った。研究全文はPMCで読める。
ただし、対象者は25人であり、健康な成人を対象とした小規模な研究だ。ドーパミンを測定すれば、その人が将来どんな仕事を選ぶか、何をやめるかまで予測できるという意味ではない。
「ドーパミンが抑制される」とは、どういうことか
今回のテーマで最も誤解されやすいのが、ドーパミンの「抑制」だ。
抑制という言葉から、脳全体のドーパミンが一斉に消え、本人のやる気が完全になくなるように感じるかもしれない。しかし、神経科学でいう抑制は、通常そこまで大まかな全停止を意味しない。
脳の神経回路には、活動を高める入力と、活動を下げる入力がある。車でいえば、アクセルとブレーキが同時に存在しているようなものだ。ブレーキがかかったからといって、エンジンが壊れたわけではない。速度を調整し、危険を避け、次の判断を待っているだけかもしれない。
同じように、「ドーパミン系が抑制される」とは、特定の回路で、ドーパミン神経細胞の活動が弱まる、ドーパミンの放出が変わる、または受け手側の細胞が信号に反応しにくくなる、といった現象を指す。脳全体のドーパミンがゼロになるという意味ではない。
ノシセプチンが関わるマウスの回路
Parkerらの2019年のCell論文では、マウスが報酬を得るためにどこまで努力するかが調べられた。
使われたのは、プログレッシブ・レシオ課題という方法だ。最初は少ない回数の鼻先反応でエサがもらえる。次はもっと多く反応しなければならない。その次はさらに多く必要になる。報酬のための負担を少しずつ上げ、マウスがどこで努力を止めるかを見る課題である。
人間に置き換えるなら、最初は一回の作業で得られた成果が、次第に十回、百回、千回の努力をしても同じ程度しか得られなくなる状況に近い。どこまで続けるかは、報酬の大きさだけでなく、必要な努力との釣り合いで決まる。
Parkerらが注目したのは、腹側被蓋野、略してVTAの傍黒質領域にある、ノシセプチン関連細胞群だった。ノシセプチンは、特定の受容体に作用する神経ペプチドである。名前から痛みを連想しやすいが、この研究で中心になったのは、報酬を追い求める行動を調整する回路だった。
この細胞群は、マウスが自然な報酬を求めるのをやめるタイミングで活動した。さらに、細胞群を人工的に刺激すると、報酬を得るための反応が減り、報酬を避けるような行動も見られた。反対に、細胞群を抑制したり、VTAのノシセプチン受容体を条件付きで削除したりすると、マウスのオペラント反応が増えた。論文の要旨はPubMedで確認できる。
ここから、ノシセプチン関連回路が、報酬への努力を制限するブレーキとして働く可能性が示された。
ドーパミン神経細胞への抑制性入力
この研究では、行動の観察だけでなく、脳の切片を使った電気生理学的な実験も行われた。
電気生理学とは、神経細胞の電気的な活動や、細胞どうしの信号の伝わり方を測定する方法である。実験では、ノシセプチン関連細胞群からVTAの神経細胞へ、抑制性のシナプス入力が伝わることが調べられた。受け手の中には、ドーパミン神経細胞と考えられる細胞も含まれていた。
さらに、GABAという抑制性の神経伝達物質の受容体を遮断すると、その入力が消えた。これは、少なくともこの回路に、GABAを介してドーパミン神経細胞の活動を抑える方向の接続があることを示す結果である。詳しい実験結果はPMC全文で確認できる。
ただし、この細胞群も一枚岩ではない。論文では、分子マーカーや位置によって、GABA系・グルタミン酸系などの違いが調べられている。「ノシセプチン細胞」という一つの名前だけで、全員が同じ働きをする単純なスイッチだと考えるのは正確ではない。
「抑制」を三つの段階に分ける
「ドーパミンが抑制される」という言い方は、少なくとも次の三つに分けて考えると分かりやすい。
一つ目は、ドーパミン神経細胞そのものが発火する頻度が下がること。二つ目は、神経細胞が活動していても、標的領域へ放出されるドーパミンの量やタイミングが変わること。三つ目は、ドーパミンを受け取る側の細胞が、その信号に反応しにくくなることだ。
日常会話では、これらが全部まとめて「ドーパミンが下がる」と言われる。しかし、どの段階を測定した研究なのかを見なければ、意味を取り違えてしまう。
Parkerらの研究が示したのは、マウスの特定のVTA回路を操作すると、報酬追求行動が変わること、そしてその回路にドーパミン神経細胞への抑制性入力があることだ。人間の脳全体のドーパミン量が下がることや、「やる気がない人」の原因がノシセプチンであることまで証明したわけではない。
この違いはとても大切だ。抑制は、必ずしも悪いことではない。報酬があるからといって、無限に努力を続ければよいわけではない。疲労や危険や別の選択肢を考慮して、行動に上限を設けるブレーキも、生き物にとって必要な機能である。
魚は、失敗の情報をどう蓄積するのか
ドーパミンとは別の、非常に興味深い仕組みを示したのが、Muらによる2019年のCell論文である。タイトルは “Glia Accumulate Evidence that Actions Are Futile and Suppress Unsuccessful Behavior”。グリア細胞が、行動の無益さに関する情報を蓄積し、うまくいかない行動を抑えるという意味だ。論文情報はPubMedで確認できる。
実験に使われたのは、幼いゼブラフィッシュだった。ゼブラフィッシュの幼生は体が透明に近く、遺伝子操作もしやすい。脳全体の活動を顕微鏡で観察しやすいため、神経科学の研究でよく使われる。
研究チームは、魚が泳いだときに、本来なら視界が後ろへ流れていくような視覚的フィードバックを与えた。魚は泳げば、周囲の景色が動き、「自分が前へ進んだ」という情報を受け取るはずだ。
ところが、魚が泳いでも視覚の流れが起こらない条件をつくった。動いたはずなのに世界が変わらない。アクセルを踏んでいるのに、速度計も景色も変わらないような状況である。
この状態で泳ぐ試みが何度も失敗すると、魚はしばらく泳ぐのをやめ、受動的になった。
研究チームは、カルシウムイメージングという方法で、神経細胞やアストロサイトの活動を調べた。カルシウムイメージングは、細胞の活動にともなうカルシウム濃度の変化を、蛍光の変化として観察する方法である。
すると、まずノルアドレナリン作動性の神経細胞が、失敗した泳ぎに反応した。その後、脳幹にある放射状アストロサイトのカルシウム活動が、失敗の回数にともなって積み上がっていった。
ここが重要だ。アストロサイトの活動は、単に「今、失敗した」という一回限りの反応ではなかった。失敗が重なるほど信号が蓄積し、一定の水準に達すると、泳ぐ行動が抑えられた。
さらに研究チームは、ノルアドレナリン作動性の神経細胞やアストロサイトを操作した。細胞を壊す、光遺伝学や化学遺伝学で刺激する、活動を抑えるといった操作を組み合わせ、単なる相関ではなく、特定の細胞群を操作すると行動も変化することを示した。
このため、この研究は「魚が泳ぐのをやめたときにアストロサイトが活動していた」という観察だけにとどまらない。失敗に関する信号がノルアドレナリン作動性の神経細胞からアストロサイトへ伝わり、アストロサイトを含む回路が泳ぐ行動を抑える、という因果的な流れを示す研究になっている。
アストロサイトは、ただの脇役ではない
アストロサイトは、グリア細胞の一種である。グリア細胞には、神経線維の絶縁を助けるオリゴデンドロサイト、免疫や清掃に関わるミクログリアなども含まれる。
かつては、神経細胞が主役で、グリア細胞は神経細胞を支える脇役のように考えられることが多かった。しかし現在では、アストロサイトが神経伝達物質の受容体を持ち、カルシウム信号を使って神経回路の状態を調節することが分かっている。
ただし、アストロサイトが人間のように「失敗した」と反省しているわけではない。アストロサイトが言葉の意味を理解しているという話でもない。
正確には、行動の結果に関する信号を時間方向に蓄積し、その行動を続ける価値が低い状態へ回路を切り替える役割が示された、ということだ。
これは、脳がいつまでも同じ行動にエネルギーを注ぎ続けないための、合理的なブレーキと考えられる。
これは、人間のうつ病を説明する研究ではない
この魚の研究は、学習性無力感や受動性を連想させる。しかし、魚の実験で起きたことを、そのまま人間のうつ病や燃え尽き症候群と同一視することはできない。
魚の課題は、視覚的なフィードバックがない状態で泳ぐという、非常に限定された実験である。
人間の抑うつには、気分、睡眠、食欲、自己評価、記憶、ストレス、社会関係、身体疾患、薬物、遺伝的要因など、多くの要素が関わる。
この研究が示したのは、「人間のうつ病の原因」ではなく、「行動が結果につながらないことを脳が検出し、行動状態を切り替える細胞回路」である。
状況が変わったら、脳は行動のルールを切り替える
行動をやめることと、認知の柔軟性は深く関係している。
認知の柔軟性とは、簡単に言えば、状況やルールが変わったときに、考え方や行動の方針を切り替える力だ。
最初はAという方法がうまくいっていた。しかし、環境が変わり、Aを繰り返しても結果が出なくなった。それでもAだけを続けるなら、努力は続いていても、脳が環境の変化に対応できていないことになる。
Boroujeniらによる2020年のPNAS論文は、霊長類の線条体にある高速発火介在ニューロンが、注意の手がかりを学習する過程を調べた研究である。研究対象は人間ではなく、非ヒト霊長類だった。PubMedで書誌情報を確認できる・DOI。
研究では、視覚的な注意を切り替える反転学習に近い課題が用いられた。ある手がかりが重要だと学習したあと、ルールが変わると、別の手がかりを重視しなければならない。
その過程で、線条体の高速発火介在ニューロンが、関連する入力を通し、無関係な入力を抑える仕組みに関わる可能性が示された。
「抑える」と聞くと、何か悪いことのように感じる。しかし、脳では雑音を抑えることが、必要な情報に集中することと同じくらい重要だ。
ただし、この研究を「人間の脳には、やめること専用の細胞がある」と読むことはできない。会社を辞める、事業を閉じる、家族に説明する、将来の生活を考えるといった人間の判断は、もっと大きなネットワークで処理される。
前頭前野、前帯状皮質、線条体、扁桃体、海馬、島皮質、視床下部、脳幹などが、努力、危険、記憶、身体状態、報酬、社会的評価に関する情報をやり取りする。
脳の一か所だけを見て、「ここが光ったから、やめるべきだ」と判断するのは、脳科学の典型的な誤解である。
脳は大人になっても変化する
脳には、経験や学習に応じて働き方や構造を変える性質がある。これを神経可塑性という。
成人の脳でも変化が起こることを示す研究はいくつもある。
Draganskiらの2004年のNature論文では、成人がジャグリングを学ぶ前後で脳を調べ、動く物体の視覚処理や空間的な予測に関係する領域で、灰白質の変化が観察された。論文情報はこちら。
ただし、これは脳全体が大きくなったという意味ではない。特定の課題を練習した結果、特定の領域に変化が見られたということだ。
ロンドンのタクシー運転手を調べたMaguireらの2000年のPNAS論文では、道路地図を覚えて実際の街で使う運転手で、海馬後部の灰白質が相対的に大きいことが報告された。全文はEurope PMCで読める。
一方、経験者と未経験者を比べる横断研究だけでは、「経験によって脳が変わった」のか、「もともとの脳の特徴が職業選択に影響した」のかを完全には区別できない。
そこで重要になるのが、WoollettとMaguireによる2011年の縦断研究である。ロンドンのタクシー運転手を目指す訓練生を、資格取得前から4年間追跡した。資格を取得した人では、ロンドンの空間表現の獲得にともなって後部海馬の灰白質が増加したが、資格取得に至らなかった訓練生や対照群では同じ変化が見られなかった。研究要旨はこちら。
Boykeらの2008年の研究では、高齢者が3球ジャグリングを学ぶ過程で脳構造の変化が調べられた。若い人と同じ速さでは上達しなくても、高齢者でも学習し、訓練にともなう変化が観察された。論文はこちら。
ここから言えるのは、「年齢を重ねても脳は変わる」ということだ。
しかし、「新しいことなら何でも脳に良い」「何かをやめれば自動的に脳が若返る」という意味ではない。脳は、よい経験に合わせてだけ変化するわけではない。不安を繰り返せば不安に反応しやすくなることもあるし、依存性のある刺激に繰り返しさらされれば、その刺激に引きつけられやすくなることもある。
「変化する」は、「必ず改善する」と同じではない。
「やめることは脳のエアロビクス」というメタファー
何かをやめるときには、それまでの習慣を止め、別の選択肢を探し、未来を想像し、周囲に説明し、新しい行動を試すことになる。その意味では、単なる停止ではなく、行動方針の再構成が必要になる。
そのため、「やめることは脳のエアロビクス」という表現は、比喩としてなら理解できる。
ただし、これは正式な医学用語ではない。何かをやめたという事実だけで、脳に良い変化が起こるわけでもない。やめた後にどんな睡眠、社会的つながり、学習、身体活動、経済的な安全、意味のある時間があるかによって、脳が受け取る経験は変わる。
人間には、報酬以外の情報も大量に入ってくる
魚やマウスにも、報酬、努力、危険、疲労、成功と失敗を評価する仕組みがある。人間はそこに、言葉、記憶、文化、他人の評価、自己イメージ、未来の想像を重ねている。
魚は「泳いでも視覚の流れがない」と反応する。人間は、「この行動をやめたら、周囲からどう見られるか」「これまでの努力が無駄になるのではないか」「将来後悔するのではないか」と考える。
これらの考えは、脳の中だけから自然に生まれるものではない。家族、学校、組織、宗教、職業、メディア、社会の物語から学んだ価値観が、行動のコストや報酬の見積もりに影響する。
親しい人がいると、脳の脅威反応は変わるのか
Coan、Schaefer、Davidsonによる2006年のfMRI研究では、16人の既婚女性が電気ショックの脅威を受ける条件で、夫の手、見知らぬ男性の手、誰の手も握らない条件が比較された。夫の手を握っているとき、脅威に関わる神経系の活動が弱まり、関係の質が高いほど効果が強い領域もあった。論文はこちら。
対象者数が少なく、特定の関係性を持つ女性を対象にした研究なので、すべての人にそのまま当てはめることはできない。それでも、親しい他者の存在が、脅威の感じ方や感情調整に影響しうることを示す研究である。
一人で考えると動けないことでも、信頼できる人と話すと状況を整理しやすくなることがある。これは精神論だけでなく、社会的な安全が脳の負担を変えるという側面からも理解できる。
文化は、判断の背景ではなく材料になる
Zhuらの2007年のfMRI研究では、中国人と西洋人の参加者が、自分、母親、著名人について性格特性を判断するときの脳活動が比較された。中国人参加者では、自分について考えるときだけでなく、母親について考えるときにも内側前頭前野の活動が見られた。論文情報はこちら。
この研究は、文化的な自己観が、自己と親しい他者を脳内でどのように表現するかに影響しうることを示す一例になった。
ただし、参加者数が小さく、文化を二つの集団だけで表すには限界がある。「ある国の人は我慢強い」「別の国の人はすぐにやめる」といった決めつけに使える研究ではない。
人間の行動を考えるとき、ドーパミンやノシセプチンだけでなく、どんな物語を学び、どんな人間関係の中にいて、どんな未来を想像しているのかも重要になる。
「ここまでやったのだから続ける」は、なぜ起こるのか
何かをやめるとき、実生活で大きな壁になるのがサンクコストだ。
サンクコストとは、すでに支払ってしまい、将来どれだけ頑張っても取り戻せない費用のことである。お金だけでなく、時間、努力、失った機会、肩書き、周囲に宣言した目標なども含まれる。
合理的な意思決定では、これからの判断を、過去に戻せない費用ではなく、これから得られる利益とこれから必要になる費用で考える。しかし、人間は過去の投資を簡単には無視できない。
ArkesとBlumerの1985年の論文 “The psychology of sunk cost” は、サンクコスト効果を扱った古典的な研究である。すでにお金や努力を投じていると、その投資が将来の判断には関係しないはずでも、同じ取り組みを続けやすくなる傾向が示された。論文情報はこちら。
これは、人間が単純に不合理だから起こるわけではない。過去の努力を無駄にしたくない、資源を大切にしたい、途中で投げ出したくないという感覚には、もともと適応的な面もある。
問題は、状況が変わったあとも、過去の投資だけを理由に同じ行動を続けてしまうことだ。
サンクコストは脳画像研究でどう調べられているか
HallerとSchwabeの2014年研究では、過去の投資がその後の判断に影響するサンクコスト効果と、腹内側前頭前野などの活動の関係が調べられた。PubMedはこちら。
Zengらの2013年fMRI研究では、過去のサンクコストが大きい条件と、現在必要な追加コストが小さい条件とで、異なる脳領域の活動が見られた。過去の投資の大きさでは側頭・頭頂・前頭の領域、追加コストの小ささでは線条体や内側前頭前野などが関わったと報告されている。論文情報はこちら。
Fujinoらの2016年研究では、サンクコストに関する判断で左島皮質の活動が強まり、その個人差がサンクコスト効果の強さと関連した。また、島皮質と外側前頭前野の機能的な結びつきも調べられた。論文はこちら。
ただし、脳画像である領域の活動が高まったからといって、その領域だけがサンクコストを担当しているわけではない。損失の不快感、自己正当化、社会的ルール、将来価値、葛藤、身体感覚などが、複数のネットワークで処理されている。
大切なのは、次の二つを分けることだ。
「ここまでやったから、続けなければならない」
「ここまでやった結果、これから続ける価値が高まっている」
前者は過去に引っ張られた理由かもしれない。後者は、過去の経験を未来の資源として評価している理由である。
続ける・休む・切り替えるを考えるための見取り図
ここまでの研究を並べると、行動を変える仕組みは一つではない。
| 脳が受け取る情報 | 関係する研究 | 行動への意味 |
|---|---|---|
| 行動しても結果が返ってこない | ゼブラフィッシュのアストロサイト研究 | 失敗の情報が蓄積し、同じ行動を弱める |
| 報酬はあるが努力が大きすぎる | マウスのノシセプチン研究 | 特定のVTA回路にブレーキがかかり、報酬追求を制限する |
| ルールや重要な手がかりが変わる | 霊長類の線条体研究 | 注意や行動の方針を切り替える |
| 過去に多く投資している | サンクコスト研究 | 未来の価値とは別に、過去の投資が継続を押し上げる |
| 身体や社会環境が変わる | ヒトの社会・神経研究 | 脅威や負担の感じ方、判断の幅が変わる |
同じ「やめたい」という感覚でも、原因は一つとは限らない。
身体が疲れているのかもしれない。睡眠不足や慢性的なストレスで、報酬を感じにくくなっているのかもしれない。努力しているのに結果が返ってきていないのかもしれない。過去の投資を無駄にしたくない気持ちに縛られているのかもしれない。方法が合っていないだけで、目標はまだ大切なのかもしれない。
だから、「ドーパミンが下がったからやめる」「根性がないから続かない」と一つの説明で片づけないほうがよい。
日常で「もう無理」を感じたときに考えること
まず、体のブレーキなのか、行動のブレーキなのかを分けてみる。
睡眠不足、痛み、体調不良、慢性的なストレスがあると、報酬を感じにくくなったり、努力する力が落ちたりする。この場合、目標が間違っているのではなく、脳と体の資源が不足しているだけかもしれない。休息や環境調整で戻るなら、必要なのは目標を捨てることではなく、回復することだ。
次に、行動の結果が返ってきているかを見る。忙しいかどうか、頑張ったかどうかだけでなく、少しでも成果、理解、回復、関係の改善が生まれているかを確かめる。努力を増やしても結果が返ってこないなら、同じ方法を繰り返す前に、やり方や条件を変える余地がある。
そのうえで、目標と方法を分けて考える。学びたいという目標は残したまま、教材や時間帯を変えられる。人と関わりたいという目標を残したまま、参加する場所や頻度を変えられる。反対に、方法を変えても目標自体が今の自分に合わなくなっていることもある。
過去の投資と、これからの価値も分ける。「これまで時間を使ったから続ける」のではなく、「これまでの経験によって、これからの見込みが高いから続ける」と言えるかどうかを考える。
大きな変更が必要なときも、いきなり全てを変えるとは限らない。時間帯を変える、頻度を下げる、別の方法を短期間試す、一部の役割だけを変えるなど、結果を観察できる小さな実験にするとよい。
これは、必ず続けるための方法でも、必ずやめるための方法でもない。脳が新しい環境から情報を受け取り、比較できる状態をつくる方法である。
何かをやめた後には、空いた時間や注意が生まれる。その空白は回復のために必要だが、孤立、不安、退屈だけが増えると、以前の刺激へ戻りやすくなることもある。新しい学習、人との接点、身体活動、自然に触れる時間、静かに考える時間などを、無理のない範囲で用意しておくと、脳は別の予測を学びやすくなる。
ただの疲れなのか、医療的な問題なのか
「やめたい」という気持ちは、いつも人生の正しい方向を教えてくれるわけではない。
睡眠不足、慢性的なストレス、身体疾患、うつ状態、依存、薬の副作用などでも、やる気や喜びが落ちることがある。
以前は楽しめたことにも喜びを感じない。仕事だけでなく、食事、人付き合い、趣味など全般に興味がない。睡眠や食欲が大きく変わった。強い罪悪感や自己否定が続く。何をしても意味がないと感じる。自分を傷つけたい、消えたいという考えがある。
こうした状態が続くときは、「自分は根性がない」と決めつけず、医療機関や専門家に相談したほうがよい。
動物実験をもとに、ドーパミンを増やすサプリメントを自己判断で使ったり、処方薬を勝手に中止したりするのは危険である。ドーパミン、ノシセプチン、アストロサイトを、人間の人生を操作するスイッチのように扱うことはできない。
科学は、自己責任論を強めるためだけにあるのではない。苦しさを道徳的な失敗ではなく、身体、脳、環境が影響し合う現象として見直すためにも使える。
研究から分かること、まだ分からないこと
ここまでの内容を、もう一度短く整理しておこう。
「失敗を繰り返すと、脳は行動を止める」
特定の条件では本当だ。ゼブラフィッシュでは、泳ぎが視覚的な結果につながらないとき、失敗の蓄積と受動化が観察された。
ただし、失敗した人間が必ず無力になるという意味ではない。人間は、失敗の原因、他の選択肢、支援、過去の成功経験、未来の見込みを再評価できる。
「アストロサイトが、もう無理だと判断する」
魚の特定の回路では、かなり正確な表現である。ただし、アストロサイトが言葉を理解しているわけではない。行動の結果につながらない信号を時間的に蓄積し、受動的な行動状態へ移行させる回路に関わる、という意味である。
「ドーパミンがやる気をつくる」
一部は本当だが、言い換えが必要だ。ドーパミンは、報酬の予測、予測誤差、努力の勢い、行動の学習、手がかりへの注意などに関わる。やる気という心理状態を、ドーパミン一つで説明することはできない。
「ノシセプチンがドーパミンを抑えて、やめさせる」
マウスの特定のVTA回路では支持されている。けれども、人間の脳全体のドーパミンを下げる方法が見つかったという意味ではない。人間がやめたいときにノシセプチンを増やせばよい、という話でもない。
「新しいことをすれば、脳が変わる」
成人の学習で、脳の働きや構造が変化する証拠はある。ただし、変化は課題や経験に特有であり、変化したから必ず幸福や能力が高まるわけではない。
「やめることは脳のエアロビクス」
正式な医学用語ではない。しかし、習慣を止め、選択肢を比較し、新しい行動を試すという意味では、脳の柔軟性を使う比喩としては理解できる。
「人間は文化のせいでやめられない」
社会や文化が、自己理解、脅威の評価、規範、報酬の意味づけに影響することは支持される。ただし、文化が人の行動を一方向に決めるわけではない。文化は制約にもなれば、新しい選択肢を与える道具にもなる。
「何があっても最後まで続けるのが正しい」
科学的には、そんな普遍的なルールはない。行動を続ける価値が高いときは続ければよい。結果につながらず、追加の努力に対する価値も下がり、別の選択肢のほうが有望なら、切り替えることが適応的になる。
用語をやさしく整理する
| 用語 | ざっくりした意味 |
|---|---|
| 神経伝達物質 | 神経細胞どうしの間で情報を伝える化学物質 |
| 受容体 | 神経伝達物質などを受け取る細胞側の「受け口」 |
| ドーパミン | 報酬の予測、学習、行動の勢い、努力の選択などに関わる物質 |
| ノルアドレナリン | 注意、覚醒、ストレス反応、重要な出来事への反応に関わる物質 |
| ノシセプチン | 特定の受容体に作用する神経ペプチド。今回扱ったマウス研究では報酬追求を抑える回路に関わる |
| NOP受容体 | ノシセプチンを受け取る受容体 |
| 神経ペプチド | 神経細胞がつくる、比較的小さなタンパク質の断片。神経回路の調整に使われる |
| GABA | 神経活動を抑える方向に働く代表的な神経伝達物質 |
| シナプス | 神経細胞どうしが情報を受け渡す接続部分 |
| VTA | 腹側被蓋野。中脳にあり、ドーパミン神経細胞などを含む領域 |
| 線条体 | 大脳基底核の一部。報酬、習慣、行動の選択、運動などに関わる |
| 側坐核 | 線条体の一部。報酬、動機づけ、行動の開始や勢いに関係する |
| 大脳基底核 | 行動の選択、習慣、報酬に基づく学習、運動の調整などを担う回路群 |
| アストロサイト | グリア細胞の一種。神経回路の環境を整え、カルシウム信号などを通じて活動を調節する |
| グリア細胞 | 神経細胞以外の細胞群。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアなど |
| カルシウムイメージング | 細胞内カルシウム濃度の変化を蛍光などで観察し、細胞活動の変化を推定する方法 |
| 光遺伝学 | 光で特定の細胞を刺激したり抑えたりする実験技術 |
| 化学遺伝学 | 人工的な受容体と薬剤を使い、特定の細胞群を操作する技術 |
| プログレッシブ・レシオ | 報酬を得るために必要な反応数を段階的に増やし、どこまで努力するかを見る課題 |
| 報酬予測誤差 | 予想していた結果と、実際に起きた結果のズレ |
| 神経可塑性 | 経験、学習、環境、損傷などに応じて脳の働きや構造が変化する性質 |
| 認知の柔軟性 | 状況やルールの変化に合わせ、考え方や行動方針を切り替える力 |
| サンクコスト | すでに支払ってしまい、将来には戻せない費用や努力 |
まとめ:「やめる」は、脳が情報を整理している状態かもしれない
魚は、泳いでも視覚的な結果が返ってこないとき、失敗の情報を蓄積し、泳ぐのを止めた。
マウスは、報酬を得るための努力が大きくなりすぎると、ノシセプチンを含む特定のVTA回路によって、報酬追求を弱めた。
霊長類の線条体では、状況の変化に応じて、注意を向ける入力を切り替える細胞回路が働いた。
これらの研究が教えてくれるのは、「やめる脳」という一つの器官があることではない。脳が、結果、努力、危険、疲労、予測のズレ、過去の経験、社会的な情報を受け取りながら、行動の価値を更新しているということだ。
ドーパミンは、単純な快楽物質ではない。行動を始める勢い、報酬の予測、予想外の結果、学習に関わる信号である。ノシセプチンによる抑制も、脳全体のドーパミンが消えることではなく、特定の回路にブレーキがかかることだ。
アストロサイトも、ただの脇役ではない。神経細胞とは違う方法で、行動の結果を回路の状態に反映させている。
そして人間には、動物にはない、言葉、記憶、文化、他人の評価、自己イメージ、未来の想像が加わる。そのため、「続けるか、やめるか」は、動物実験よりずっと複雑になる。
それでも、根底にある原理は似ている。
続けることが合理的な場面もある。やめることが合理的な場面もある。方法だけを変えるべき場面もある。単に休めば、また動ける場面もある。
科学的に危険なのは、「何があっても続けること」や「すぐにやめること」のどちらかを、いつでも正しい道徳にしてしまうことだ。
「もう無理」と感じたとき、その感覚をすぐに敗北の証拠と決めつけなくてもよい。それは、体が休息を求めている信号かもしれない。行動の結果が返ってきていないという信号かもしれない。過去の投資に縛られているという信号かもしれない。方法や環境を変える時期だという信号かもしれない。
大切なのは、その信号を一つの物質や一つの脳部位だけで説明しないことだ。
「このまま同じやり方を続けるのか。少し休むのか。方法を変えるのか。別の選択肢を試すのか。そもそも目標を更新するのか」
そうやって考え直すこと自体が、脳が環境に合わせて次の状態を探している過程なのだと思う。
参考にした主な論文
本文で扱った主な研究を、動物研究、ヒト研究、行動研究、脳画像研究に分けず、関連する順にまとめる。対象と方法がそれぞれ違うため、一つの論文だけで人間の行動全体を説明しないことが重要である。
Mu Y, Bennett DV, Rubinov M, et al. (2019). Glia Accumulate Evidence that Actions Are Futile and Suppress Unsuccessful Behavior. Cell, 178(1), 27–43.e19. PubMed
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※動物研究の結果を、そのまま人間の人生や病気の診断に当てはめることはできない。動物研究から行動を切り替える脳の原理を学び、ヒトの行動研究、脳画像研究、社会環境の研究と照らし合わせながら、どこまで応用できるかを慎重に考えることが大切である。
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