こんにちは。
小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
日本人男女の大規模データを解析したところ、死亡リスクが最も低いBMIは22.0~24.9であることが、東北大学東北メディカル・メガバンク機構個別化予防・疫学分野教授の寳澤篤氏らの研究グループの検討で示唆された。
これらの関連は年齢や喫煙習慣の有無による影響はみられなかったが、現在喫煙している人はたとえ理想体重であっても、喫煙歴のないどのBMI群の人よりも死亡リスクは高いことも明らかになった。詳細は「Journal of Epidemiology」11月3日オンライン版に掲載された。
死亡率とBMIの間にはU字型の関係があることが知られているが、死亡リスクが最も低い適正体重は明らかになっていない。また、特にBMIが低い人では、喫煙習慣がこれらの関連に強い影響を及ぼすことも報告されているが、エビデンスは確立していない。そこで、寳澤氏らは今回、日本人を対象に実施した13件のコホート研究の参加者を対象に、最も死亡リスクが低い適正体重と喫煙習慣による影響について検討する観察研究を実施した。
対象は、国内13件の前向きコホート研究の個人データを統合した、大規模なメタ解析研究であるEPOCH-JAPAN(Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan)に参加した40~89歳の男女計17万9,987人(平均年齢58.7歳、男性11万1,705人、平均BMIは23.3)。1987~1995年のベースラインから平均9.8年間追跡した。
その結果、対象者全体の解析では、全死亡リスクとBMIとの間にはU字型の関係が認められ、BMIが21.0以下あるいは29.0以上の場合に全死亡リスクの有意な上昇がみられた。また、全死亡リスクはBMIが22.0~24.9の場合に最も低いことも明らかになった。喫煙習慣がないなど特に健康な参加者でも同様の結果が認められた。
さらに、BMIと全死亡リスクの関連に年齢や性、喫煙習慣の有無による影響はみられなかった。しかし、BMIが18.9未満または30.0以上で喫煙歴がない人に比べて、喫煙者は理想的なBMIでも死亡リスクは上回っていることも分かった。
以上の結果から、喫煙者の死亡リスクは、最も死亡リスクが小さいBMI群であっても非喫煙者の全てのBMI群を上回っていた。BMI値にかかわらず、喫煙習慣は死亡リスクの上昇をもたらすことから、体型維持のための喫煙は論外であり、今後さらに禁煙対策を強化していくことが求められる。
原著論文
2019/11/09
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