こんにちは。
小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
皮膚が発する蛍光の強度を測定することで2型糖尿病や心血管疾患、さらには死亡のリスクを予測できる可能性があることが、フローニンゲン大学(オランダ)のBruce Wolffenbuttel氏らの研究で示された。詳細は「Diabetologia」11月21日号に掲載された。
将来、非侵襲的な皮膚の自己蛍光量(autofluorescence)の測定検査を行うことで、2型糖尿病の発症リスクを評価できるようになるかもしれない。
この新たなデバイスは「AGEリーダー」と呼ばれるもの。AGE(advanced glycation end-product)とは皮膚や血液、骨などの組織に生成される終末糖化産物のことで、老化物質とも呼ばれる。AGEの多くは自家蛍光を発しており、このデバイスは皮膚に蓄積しているAGEの自家蛍光量を測定する。
糖尿病や心血管疾患のない7万2,880人を対象に、ベースライン時にAGEリーダーを用いて皮膚の自己蛍光値を測定し、その後、最長で10年間(中央値で4年間)にわたって追跡した。
追跡期間中に1,056人(1.4%)が2型糖尿病を、1,258人(1.7%)が心血管疾患を発症し、928人(1.3%)が死亡した。解析の結果、ベースライン時に測定した皮膚自己蛍光値が1単位増えるごとに、2型糖尿病または心血管疾患リスクは3倍に上昇し、死亡リスクは5倍に上昇した。また、肥満や高血圧、高コレステロール、血糖コントロール不良といったリスク因子で調整しても、皮膚自己蛍光値が1単位増えるごとに2型糖尿病のリスクは26%、心血管疾患リスクは33%上昇し、死亡リスクは2倍近くまで上昇した。
AGEリーダーは2型糖尿病や心血管疾患、死亡のリスクを予測する初めてのスクリーニング法となりうる。
AGEは健康状態の指標としてよく知られており、ヒトではAGEは糖尿病合併症に関与することが分かっている。AGEは時間をかけて徐々に増えるため、将来的にはAGEの蛍光性を利用した技術を用いてスクリーニングを行うことで、高リスクの人を特定できるようになる可能性がある。
AGEリーダーのようなデバイスは糖尿病や心血管疾患のリスク評価のあり方を大きく変える可能性がある。今後の研究では、治療や生活習慣の介入が皮膚の自己蛍光レベルに影響するかどうかが明らかになれば興味深い。
van Waateringe RP, et al. Diabetologia. 2018 Nov 21.
2019/11/10
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