2019/11/11

健康講座143~手軽なウォーキングから

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。

 自宅で手軽に行えるウォーキングやレジスタンストレーニングを10週間行うと、糖尿病のリスク因子とされる筋肉内に蓄積した脂肪を減らせる可能性があることが、日本人の高齢者を対象に行った研究で明らかになった。高齢者のレジスタンストレーニングはサルコペニア対策の一つとされるが、筋肉を増やすだけでなく、筋肉脂肪を減らし、筋肉の質を改善するメリットもあると考えられるという。研究は、名古屋大学総合保健体育科学センター教授の秋間広氏と中京大学、早稲田大学が共同で実施し、詳細は「European Review of Aging and Physical Activity」に掲載された。
 筋肉内に蓄積した筋肉脂肪は“第三の脂肪”として知られ、インスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症リスクを高める可能性が指摘されている。これまでの研究で、専用のトレーニングマシンを用いた高負荷のレジスタンストレーニングは筋肉脂肪の減少に有効と報告されている。しかし、こうした運動は自宅で手軽に行えないという課題があった。
 研究では、高齢者64人を対象に、ウォーキングを行う群(31人、平均年齢72±5歳)またはウォーキング+自重負荷レジスタンスレーニングを行う群(33人、同73±6歳)に分けて自宅で10週間行ってもらった。ウォーキングは1回30~60分を週2~3回、1日平均1万歩を目標とした。また、自重負荷レジスタンスレーニングは椅子座り立ちと太もも上げ、つま先立ち、脚の横上げ、腹筋運動を行い、各項目45回ずつの反復を1セットとして週2~3セットを目標とした。
 超音波装置で撮影した太ももの横断画像を用いて、筋肉脂肪と筋肉、皮下脂肪の量を定量化し、10週間後の変化を比較したところ、いずれの群も皮下脂肪量と筋量に変化はみられなかった。一方、筋肉脂肪はいずれの群でも有意に減少し、ウォーキング単独の群に比べてレジスタンスレーニングを併用した群でより顕著に減少していることが分かった。また、こうしたトレーニングを行うと、両群で腹筋力が、ウォーキング単独群では太もも前面部の筋力(椅子座り立ち運動)と歩行機能(5m最大速度歩行)が有意に改善した。
 さらに、筋肉脂肪を反映する指標の変化と運動機能および筋量の変化には有意な相関関係がみられた。これは、筋量が増えるほど筋肉脂肪が減少することを示しており、筋肉脂肪が減少するとサルコペニアも改善することが示唆されたという。
 自宅で簡単に行えるウォーキングとレジスタンストレーニングにより、2型糖尿病のリスク因子とされる筋肉脂肪の減少につながる可能性が示された。また、筋肉脂肪と筋肉量の変化は反比例の関係にあり、筋肉量を増やすレジスタンストレーニングが筋肉脂肪の減少にも有効なことも示唆された。

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