2021/10/20

健康講座355 砂糖の恐怖

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科CLでございます。


 包装食品や飲料に含まれる砂糖の削減により、米国で200万件以上の脳卒中や心筋梗塞、心停止を回避できる可能性があるとする研究結果が、米マサチューセッツ総合病院により、されました。包装食品の砂糖の使用量削減により、米国で心血管疾患による死亡が約50万人減り、糖尿病についてはさらに多くの患者数を減らせることも示唆されたということでございます。

 砂糖が多く含まれる食品や飲料の摂取は、肥満や2型糖尿病、米国人の主な死因である心疾患に強く関連していることは周知の事実であると思います。米国食塩・砂糖削減イニシアチブ(NSSRI)は100以上の地方、州、国の保健機関との協力のもと、2018年に15のカテゴリー別に設定した包装食品や飲料の砂糖削減目標のドラフトを提案していたようです。今回、この削減目標が人々の健康や医療費、健康格差などに与える影響を評価するためのモデルを作成したようです。

 このモデルを用いた推計から、砂糖の使用量を、包装食品で20%、飲料で40%削減することで、現在35~79歳の米国人が生涯に罹患する脳卒中や心筋梗塞、心停止などのCVDイベントを248万件、CVD死を49万件、糖尿病を75万件減らせることが明らかになったのでございます。また、今後10年以内に医療費を42億8000万ドル(1ドル109円換算で約4665億円、以下同)、現在35~79歳の成人の生涯医療費を1180億ドル(約12兆8620億円)以上削減できると推計されたのです。

 この研究では、包装食品や飲料に含まれる砂糖に関連する疾患に起因する生産性の損失についても分析されました。その結果、この政策によって667万年QALY(質調整生存年)を獲得でき、現在の成人の生涯にわたる生産性損失コストを1608億8000万ドル(約17兆5350億円)抑えることができることも分かったのです。

 一方、この政策の費用対効果が得られるようになるまでには6年、またコスト削減効果が得られるようになるまでには9年かかると推定されました。また、黒人やヒスパニック系の人たち、収入や学歴の低い人たちといった普段の砂糖の摂取量が多い集団では、この政策で得られる健康上のメリットが最大となるため、健康格差の是正にもつながる可能性が示されたようです。さらに、この研究によると、食品産業の一部がこの政策に従うだけでも、健康や経済に大きなメリットがあるということでございます。

 砂糖は食品供給において適切な量に減らすべき添加物の一つであることに疑いの余地はないと思われます。言うは易し、行うは難しですよね。


参考にして下さい。


原著

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