2021/12/21

健康講座418 早期の透析導入は死亡を減少か

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 進行した慢性腎臓病(CKD)患者において、非常に早期の透析導入は死亡および心血管イベントをわずかだが減少することが示されたようです。オランダ・ライデン大学医療センターが、進行性CKD患者における透析導入の最適な推算糸球体濾過量(eGFR)を明らかにすることを目的とした観察コホート研究の結果を報告したようです。検討により、導入参照値と比べた死亡の5年絶対リスク低下は5.1%で、平均1.6ヵ月の死亡の延期に相当するものだったが、透析導入を4年早める必要があることも示されたようです。

 研究グループは、スウェーデンの全国腎臓登録を用い、ベースラインのeGFRが10~20mL/分/1.73m2の患者を対象として追跡調査を行ったようです。

 主要評価項目は5年全死因死亡率、副次評価項目は主要有害心血管イベント(MACE:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)であります。eGFR(mL/分/1.73m2)値4から1単位刻みで19までの、15の透析導入戦略に関して、補正後ハザード比および絶対リスクを推算したようです(参照値はeGFR6~7)。


 進行したCKD患者1万290例(年齢中央値73歳、女性3,739例[36%]、eGFR中央値16.8)において、3,822例が透析を開始し、死亡が4,160例、MACEが2,446例で確認されました。

 死亡率には放物線型の関連が認められ、eGFR15~16で最も死亡リスクが低かったようです。eGFR6~7での透析導入と比較して、eGFR15~16での透析導入による死亡の5年絶対リスク低下は5.1%、MACEの同リスク低下は2.9%で、ハザード比はそれぞれ0.89、0.94でありました。

 死亡に関する絶対リスク差5.1%は、5年の追跡期間中で平均1.6ヵ月の死亡の延期に相当するものですが、一方で透析導入は4年早める必要があったようです。

 参考にしていただければ幸いです。
原著

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