2021/12/31

健康講座428 便と睡眠 

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 便秘の症状に睡眠の質が影響している可能性を示す研究結果が報告されました。愛知医科大学消化管内科の解析結果であり、「Journal of Neurogastroenterology and Motility」に掲載された内容でございます。


 便秘の一部には重大な器質性の疾患が隠れていることもあるが、大半は機能性の便秘であり症状のコントロールが治療目的となるのです。そのような機能性便秘は、食事や運動、睡眠などの生活習慣により症状が変化しやすいです。これらの因子はいずれも概日リズム(1日24時間周期の生理活動)を変動させて、排便の回数や便の性状などに影響を及ぼします。ただし、食事や運動と便秘の関連を個々に検討した研究はありますが、睡眠と便秘、および生活習慣全般との関連を検討した研究は多くないようです。


 今回、1万人に「自分は便秘だと思うか」という質問をして、「はい」と回答した20~69歳の成人4,908人から、器質性便秘や二次性便秘の患者を除外。その上で、性別、年齢、居住地域を全国調査のデータにマッチさせた3,000人を抽出し解析対象としました。このうち、「よく眠れているか」との質問に1,269人(42.3%)が「はい」と回答し、1,731人(57.7%)は「いいえ」と回答したようです。

 主要評価項目であるブリストル便形状スケール(BSFS)は、睡眠良好群と不良群との間に有意な差が認められました。具体的には、BSFSのタイプ4(滑らかで柔らかい標準的な便)の割合は睡眠良好群の方が有意に高く(P=0.001)、BSFSタイプ1(コロコロした固い便)やタイプ2(ゴツゴツした固い便)の割合は睡眠不良群の方が多かったのです

 二次評価項目として設定されていた、過敏性腸症候群(IBS)の重症度(IBS-SI-J)、IBS関連QOL尺度(IBS-QOL-J)、うつレベル(HADS)なども全て、睡眠不良群の方が状態の悪化を示しており、有意差が認められました。また、排便回数、腹痛、残便感などの排便に関連する症状の多くが睡眠不良群で有意に多く見られました。喫煙や運動不足、朝食欠食、間食、就寝前の摂食、体重増加など、非健康的な生活習慣についても、睡眠不良群の方が有意に多く認められたのです。

 これらの結果を基に、便秘と睡眠障害、生活習慣とが相互に関連しているという仮説を支持する結果が得られました。便秘や睡眠の問題を抱えている人のQOL向上には、全般的な生活習慣も含めた多因子への介入が必要と考えられそうです。

原著

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