2022/01/03

健康講座430 食事のタイミングとメンタルヘルス

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 食事を取るタイミングが不規則な人は、メンタルヘルス状態が良くないという関連性を示唆するデータが報告されました。夜勤や睡眠障害などの影響を及ぼし得る因子を調整してもなお、食事を取る時刻の乱れが主観的メンタルヘルスの悪さと有意に関連していたということでございます。


 朝食の欠食や睡眠前の摂食が、肥満や糖尿病などの身体疾患のリスク因子であるとする研究報告は結構あります。ただし、食事を取るタイミングの不規則性に着目した研究は少なく、特にメンタルヘルスとの関連は明らかになっていないようです。今回発表された研究は、日本各地から9,000人近くが回答。そのうち年齢(20~69歳)や有職者であることなどの適格条件を満たす4,490人分のデータが解析されたようです。

 解析対象者は平均年齢47.4±0.1歳、男性が73.3%、BMIは22.69±0.05であり、15.5%は夜間労働者でした。アンケートは最大318問の質問項目で構成され、食習慣、身体活動習慣、性格特性、主観的健康感、主観的幸福感、メンタルヘルス状態、睡眠の質などを評価しました。このうち食習慣については、食事摂取時刻の頻繁な変動、噛む回数、食事に充てる時間、外食頻度などを1~7点のスコアで回答してもらいました。また、メンタルヘルス状態の評価には、事業所に義務付けられているストレスチェック制度で用いられている手法を利用しました。

 「食事摂取時刻が不規則か?」との質問に対して、1~4点(全くそう思わない~どちらとも言えない)と回答した人を食事時刻が不規則でないとすると、3,410人(75.9%)が該当。一方、5~7点(ややそう思う~強くそう思う)と回答した食事時刻が不規則な人は1,080人(24.1%)だったようです。

 食事時刻が不規則な人は、そうでない人に比較して年齢が若く(45.36対48.06歳)、夜間労働者の割合が高く(28.4対11.4%)、主観的幸福感が低い(SWLSという35点満点のスコアで16.35対17.52点)という有意差が見られました(いずれもP<0.001)。

 また食事時刻が不規則な人は、神経症傾向と正の相関、誠実性とは負の相関があり、身体活動の頻度や主観的健康感が低く、睡眠障害のスコアは高く、メンタルヘルス状態が不良だったのです。相関係数を比較すると、主観的健康感の低さよりもメンタルヘルス状態が良くないことの方が、食事時刻の不規則性との相関が強かったです。食習慣との関連では、食事時刻が不規則な人は、噛む回数や野菜摂取量が少なく、食事に充てる時間が短く、朝食の欠食や外食頻度が高く、食後から睡眠までの時間が短く、塩辛い物をよく食べるといった傾向が明らかになりました。
 食事時刻が不規則であることは、身体的な健康の悪化を介せず直接的にメンタルヘルスの悪化につながる可能性が考えられました。

 食事のタイミングが不規則なことは、主観的なメンタルヘルスが不良であることの良いマーカーであることが示唆され、職場での健康管理に、食事のタイミングを規則的にするという介入も必要かもしれません。

原著

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