2022/02/23

健康講座457 運動と肺炎リスク

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

習慣的な身体活動には健康上の多くのメリットがあることが知られていますが、肺炎のリスクを抑制する可能性もあることが明らかになったようでございます。英ブリストル大学の研究によるものでございます。


 身体活動のメリットはこれまでのところ、肥満や糖尿病、心血管疾患などの非感染性慢性疾患を中心に研究されてきており、確固たるエビデンスが確立しております。それに対して、感染性疾患に対する身体活動のメリットについては、それを証明する研究報告が不十分だそうです。そこで、主要な感染性疾患である肺炎に着目し、システマティックレビューとプール解析により、身体活動と肺炎リスクとの関連を検討したようです。なお、2016年の統計では、肺炎は全世界の死因の第4位にランクされているようです。

 MEDLINE、Embase、Web of Scienceという文献データベースに2021年9月15日までに公開された論文を対象として、観察期間が少なくても1年以上の研究を検索しました。抽出された研究報告数は10件(欧州と北米から各4件、日本から2件)で、研究参加者数は合計104万4,492人(年齢の加重平均55.8歳)だったようです。大半の研究で有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて実施することの効果が検討され、交絡因子は研究により異なるものの1件を除いた全てで、年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙習慣、併存疾患、社会経済的状況が調整されていたようです。

 加重平均9.7年の観察期間中に、計7,681件のイベント(肺炎の発症または肺炎関連死)が報告されていました。プール解析の結果、身体活動量の多い群は少ない群に比較し、相対リスク(RR)0.69(95%信頼区間0.64~0.74)であり、有意なリスク低下が確認されたようでございます。

 習慣的な身体活動により、肺炎の発症と肺炎に関連した死亡のリスクが低下するという、説得力のあるエビデンスが得られました。一方、肺炎を予防するために必要とされる身体活動の量や強度を特定することができなかったようです。ただしこの点について、解析対象としたいくつかの研究は、週に1回30分間ウォーキングをしている人では肺炎関連死が少ないことを示しているようでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がまだ収束していない状況で冬を迎え、COVID-19に限らず、その他の呼吸器感染症のリスクが高まっております。それらの感染症への罹患を契機に重症肺炎を発症することがしばしばあります。高齢や基礎疾患などの肺炎重症化リスク因子のある人でも、身体活動を習慣にすることで、そのリスクを抑制できるかもしれません。

 原著

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