2022/03/14

健康講座465 歯周病と糖尿病 リマインド

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 歯周病は、歯だけの問題ではなく、糖尿病や心臓病、メンタルヘルス不調のリスクを高める可能性を示す論文が示されております。歯周病の予防・早期発見・治療、そして定期的な歯科検診はとても重要であると思われます。

 1995~2019年の英国の医療関連調査データ(IMRD-UK)を用いたものです。この間に、歯周病での受療記録のある人とその記録がない人とで、全身疾患やメンタルヘルス不調のための受療頻度に差があるか否かを検討しました。歯周病での受療行動が記録されていた「歯周病群」として6万4,379人、年齢、性別、受療の時期などの一致する歯周病受療記録のない「対照群」として25万1,161人を抽出しました。平均年齢は45歳だったようです。

 ベースライン時点の横断的な解析では、歯周病群は対照群に比べて、心血管疾患〔調整オッズ比(aOR)1.43、心血管代謝疾患aOR1.16、自己免疫疾患aOR1.33、メンタルヘルス不調aOR1.79の有病率が、いずれも有意に高かったとのことです。

 次に、中央値3.4年の追跡期間中の新規発症は、心血管疾患ハザード比(HR)1.18、心血管代謝疾患HR1.07、自己免疫疾患HR1.33、メンタルヘルス不調HR1.37であり、いずれも歯周病群の方が有意に罹患率が高かったのでございます。

 歯周病がこれらの慢性疾患の発症リスク上昇と関連している可能性がありそうです。歯周病患者数は極めて多いため、歯周病によってこれらの慢性疾患のリスクが上昇するのは誰にとっても望ましくないですね。

 米疾病対策センター(CDC)によると、30歳以上の米国人のほぼ半数が歯肉炎または歯周炎を患っているようです。歯肉炎は歯周病の初期段階に当たり、歯茎が赤く腫れて出血することがあるようです。より進行した歯周炎と呼ばれる段階の歯周病では、歯茎と歯の間の隙間が広がったり歯槽骨が減少したりして、歯が揺れ動いたり抜けてしまったりすることもあるそうです。

 歯周病がそれらの慢性疾患を引き起こすのか、それとも逆に、それらの慢性疾患が歯周病を引き起こすのかは明らかではないですが、それが双方向性である可能性があるようです。双方向性が最も明らかなのは、糖尿病でございます。糖尿病以外の慢性疾患と歯周病との双方向性については、さらなる研究が求められるようです。その上で、歯茎が健康と言えない状態の場合、糖尿病がないかは健診や医療機関で調べてもらうと良いでしょう。

 歯周病を早期に発見すれば、簡単に治療できるようです。痛みがなければ歯磨きやデンタルフロスをしっかり使わなかったり、歯科検診を受けなくても良いわけではないとのことです。痛みが現れたり、歯槽膿漏になるまで、放置していると大変なことになります。これは、糖尿病も同じです。症状が出る前に、予防医学に興味をもって頂ければ幸いです。


原著

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