2022/05/23

健康講座495 睡眠不足と内臓脂肪

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 睡眠不足でいると摂取カロリーが増え、その結果、内臓脂肪が蓄積することが、小規模ランダム化比較試験により明らかになったようでございます。米メイヨークリニック医科大学の研究です。

 内臓脂肪とは、腹部内の内臓の周りについた脂肪のことです。内臓脂肪は、表面上は目に見えないが、実際には極めて危険な脂肪です。なぜなら、内臓脂肪の蓄積は、高血圧や高血糖、高コレステロール血症などを招き、それらが心臓や血管の疾患を引き起こすからです。これらは全て、糖尿病の発症リスクも高めるのです。

 今回の試験では、19〜39歳の肥満ではない健康な12人を、4時間の睡眠を取る群(睡眠制限群)と9時間の睡眠を取る群(対照群)にランダムに割り付け、睡眠時間が摂取カロリーや体組成などに与える影響を調べたようです。試験期間は21日間で、いずれの群も、最初の4日間の睡眠時間は9時間とされた(順応期)。その後、それぞれの群に割り当てられた睡眠時間で2週間を過ごした後、9時間睡眠で3日間を過ごした(回復期)。両群ともに、食べ物は好きなときに食べることができたようです。

 その結果、睡眠制限群では睡眠が制限されていた期間に順応期に比べて、タンパク質と脂肪の摂取量がそれぞれ13%と17%増加し、1日当たりの摂取カロリーは308kcal増えていたのです。このような摂取量の増加は、睡眠制限が始まって間もなくピークに達し、その後、徐々に減って回復期に順応期のレベルにまで戻ったようです。一方、活動レベルについては、順応期から回復期の間を通じてほぼ一定していました。さらに、睡眠制限群では対照群に比べて、体重が0.5kg、内臓脂肪は11%増加していたようです。

 睡眠制限群で増えた体重は0.5kgとたいした増加ではないです。しかし、回復期に入って睡眠時間と食事の摂取量が元に戻った後も、内臓脂肪は増え続けていたのです。これは、睡眠不足が内臓脂肪蓄積を引き起こす、これまで知られていなかった因子であることを示唆しているかもしれません。このような内臓脂肪の蓄積は、少なくとも短期的には、昼寝などで睡眠不足を補っても止められないのかもしれないです。長期的に見ると、この結果は、睡眠不足が肥満や心血管代謝疾患の原因の一部であることを示している可能性があります。

 長期にわたって睡眠不足になることが予想される人は、摂取する食べ物の量と種類に注意を払い、またできるだけ運動をするように心がけると良いでしょう。そのほか、体重だけでは内臓脂肪の蓄積を確認できないことも認識しておきましょう。

原著

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