みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
便秘は、排便が困難で、排便回数が減少したり、便が硬くなっている状態を指します。便秘は、消化器系の疾患や薬物、ストレスなどの要因によって引き起こされる場合があります。しかし、ほとんどの場合、健康的な食生活、運動、生活習慣の改善で解消することができます。以下では、食事、運動、生活習慣の改善が便秘解消に与える効果とそのエビデンスについて詳しく解説します。
【食事】
食物繊維の摂取:便秘解消に最も効果的な方法は、食物繊維の摂取です。食物繊維は、水を吸収し、便を柔らかくすることで排便を促進します。穀物、果物、野菜、豆類、ナッツなどに多く含まれています。アメリカ食品栄養学会(Academy of Nutrition and Dietetics)は、成人の摂取目標を一日あたり25〜38グラムとしています。さらに、食物繊維を摂取する際には、水分を十分に摂取することが重要です。
プルーンジュース:プルーンジュースには、天然の糖分と酸が含まれており、腸内細菌によって発酵されることで、腸内環境を改善し、便通を促進する効果があります。プルーンジュースの摂取は、一日あたり120〜240ml程度が効果的とされています。
乳酸菌:乳酸菌は、腸内環境を改善し、便通を促進する働きがあります。ヨーグルト、キムチ、納豆、麹などの発酵食品に多く含まれています。特に、ビフィズス菌やラクトバチルス菌が便秘解消に効果的であることが研究で示されています。
【運動】
運動は、便秘解消に非常に効果的です。運動によって、腸の蠕動運動が活発化し、便を腸から排出する力が増します。また、運動によって、血流が改善され、腸の血行が良くなり、腸内環境が改善されることで、便秘を解消することができます。以下に、運動の種類と効果について説明します。
有酸素運動:有酸素運動は、長時間かけて心拍数を上げ、呼吸を促進する運動です。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが該当します。有酸素運動によって、腸内環境の改善や蠕動運動の促進が期待できます。研究によると、週に150分以上の有酸素運動をすることで、便秘解消につながることが報告されています。
筋力トレーニング:筋力トレーニングは、筋肉を鍛えることで、代謝を高め、消費カロリーを増やす運動です。筋力トレーニングによって、腸内環境が改善され、腸の蠕動運動が促進されることが期待されます。特に、腹筋運動は、腸を圧迫することで、便通を促進する効果があります。
【生活習慣】
生活習慣の改善は、便秘解消に必要不可欠な要素です。以下に、生活習慣の改善による効果について説明します。
水分補給:水分補給は、便を柔らかくして排便を促進するために必要な要素です。一日に必要な水分量は、男性が2.5〜3リットル、女性が2〜2.5リットルとされています。水分補給に加えて、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料は、利尿作用があるため、便秘解消にも役立ちます。
規則的な生活リズムの確立:規則的な生活リズムを確立することで、腸の蠕動運動が安定し、便通を促進することができます。毎日同じ時間に食事を摂り、排便をするように心掛けましょう。
ストレスの軽減:ストレスは、腸の蠕動運動を抑制し、便秘を引き起こす原因の一つです。ストレスを軽減するためには、十分程度の深呼吸やヨガ、マインドフルネスなどのリラックス法を取り入れることが有効です。また、趣味やリフレッシュする時間を作ることも、ストレスを軽減するために役立ちます。
食物繊維の摂取:食物繊維は、腸内環境の改善や便のかさを増やす効果があります。果物、野菜、穀物、海藻などの食物繊維を積極的に摂取しましょう。一日に必要な食物繊維の摂取量は、男性が25〜30グラム、女性が20〜25グラムとされています。
脂質の摂取量の調整:脂質の摂りすぎは、腸内細菌バランスを乱し、便秘を引き起こす原因の一つです。健康的な脂質であるオメガ3脂肪酸を含む魚介類やナッツ類を積極的に摂取し、脂質の摂取量を調整しましょう。
以上のように、食事、運動、生活習慣の改善によって、便秘を解消することができます。しかし、これらの対策を行っても症状が改善されない場合は、専門医の診断を受けることが重要です。便秘は、病気の症状である場合があり、適切な治療を受けることで解消することができます。
プロフェッショナル版 Merck Manual 日本語版 [インターネット]. 便秘. [更新日不明; 閲覧日: 2023年4月16日]. https://www.merckmanuals.com/professional/ja/gastrointestinal-disorders/gastrointestinal-motility-disorders/constipation
中山 真人. 便秘を治す食べ物. 日本メディカルセンター. 2018年.
藤田 崇宏. 知っておきたい便秘の知識と予防法. 日本臨床. 2019年;77(1):124-128.
日本臨床栄養協会. 便秘について. [更新日不明; 閲覧日: 2023年4月16日]. http://www.j-cns.org/oldsite/content/view/271/74/
田中 良太郎. 便秘の自己処置. 臨床検査. 2014年;58(2):213-216.
0 件のコメント:
コメントを投稿