2023/04/20

健康講座583 メラトニンとサーカディアンリズム

 みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

メラトニンは、人間の体内に存在するホルモンの一種で、主に夜間に合成されます。メラトニンは、視床下部から放出されるシグナルによって、松果体で合成されます。メラトニンの合成量は、夜間に増加し、昼間にはほとんど合成されません。そのため、メラトニンは、人間の体内時計と密接に関係しています。

体内時計とは、人間の生物リズムを調節する仕組みであり、24時間周期で動作します。この体内時計の調節には、外部からの刺激が重要な役割を持っています。太陽光は、体内時計をリセットする作用があり、朝には体内に入る太陽光によって体内時計がリセットされ、夜にはメラトニンの合成が促進されます。一方、夜間にスマートフォンやパソコンの画面を見ることで、ブルーライトによるメラトニンの抑制が起こり、体内時計が混乱し、睡眠障害を引き起こすことがあります。

このように、メラトニンは、睡眠調節に重要な役割を持つホルモンであり、体内時計と密接に関係しています。正常な睡眠をとるためには、体内時計を正しく調節することが必要です。適切な睡眠をとるためには、夜間にはブルーライトを避け、暗い環境を作り、メラトニンの合成を促進することが大切です。

なお、メラトニンは、現在、睡眠障害の治療薬としても使用されています。ただし、メラトニンの作用には個人差があり、適切な用量や使用方法には注意が必要です。また、メラトニンの使用によって副作用が起こる場合もありますので、専門医の指導を受けた上で使用することが重要です。

さらに、メラトニンは免疫機能や抗酸化作用にも関与しています。メラトニンは、細胞において抗酸化物質として機能し、細胞を酸化ストレスから保護する役割があります。また、メラトニンは免疫細胞の活性化を促進し、免疫力の向上にも関与しています。

一方、サーカディアンリズムとは、24時間周期の生物リズムのことを指します。このリズムは、体温やホルモン分泌、睡眠など、多くの生体機能に影響を与えています。サーカディアンリズムは、体内時計や外部環境の情報によって調節されています。夜間にはメラトニンの分泌が増加し、体温が低下し、睡眠が深くなります。一方、朝にはメラトニンの分泌が減少し、体温が上昇し、覚醒が促進されます。

サーカディアンリズムは、生活習慣や環境の変化によって崩れることがあります。例えば、夜勤や遅い食事、スマートフォンやパソコンの使用などがサーカディアンリズムを崩す要因となります。このような状況が続くと、睡眠障害やストレス、免疫力低下などの健康リスクが高まることがあります。

以上のように、メラトニンとサーカディアンリズムは密接に関係しており、健康維持に欠かせない要素であることがわかります。正常な睡眠をとるためには、サーカディアンリズムを正しく調節し、メラトニンの合成を促進することが大切です。健康維持には、適切な生活習慣の維持が重要であり、夜間にはブルーライトを避け、暗い環境を作り、規則的な生活を心がけることが必要です。

  1. 睡眠学会. 睡眠の科学. 中外医学社, 2014.

  2. 瀬戸尾 哲郎. 「メラトニン」の役割とその応用. メディカルレビュー社, 2003.

  3. 渡辺 知之. サーカディアンリズムの生理と病態. 日本臨床, Vol. 73, No. 2, 2015, pp. 211-216.

  4. 中野 史郎. 不眠症の治療戦略. 医学のあゆみ, Vol. 261, No. 1, 2017, pp. 3-9.

  5. 佐々木 美保. スマートフォンの使用が睡眠に与える影響. 日本看護科学会誌, Vol. 38, No. 1, 2018, pp. 36-44.

これらの文献は、メラトニン、サーカディアンリズム、不眠に関する基本的な知識や、それらに関する最新の研究成果について解説しています。参考にしていただければ幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...