2023/04/23

健康講座584 DHEAと若返り

  みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

DHEAとは、副腎皮質ホルモンの一種であり、加齢に伴い減少することが知られています。DHEAは、性ホルモン前駆体としての役割を持ち、男性ホルモンであるテストステロンや女性ホルモンであるエストロゲンの合成にも関与しています。また、DHEAは細胞増殖や代謝の調節、免疫機能の改善、ストレス耐性の向上などに関与することが示唆されています。

DHEAが多いと、身体機能の改善や若返り効果が期待されています。例えば、DHEAは骨密度の低下を抑制することが示されており、骨粗鬆症の予防に効果的であるとされています。また、DHEAは脳の神経細胞の生存を促進することが知られており、認知機能の向上やアルツハイマー病の予防にも効果があるとされています。さらに、DHEAは血糖値や血圧を調整することができ、生活習慣病の予防にも効果があるとされています。

筋力トレーニングは、筋肉量の維持や増加、骨密度の増加、代謝の向上などに効果があります。特に、スクワットは、下半身の筋力を増強することで、身体機能の改善につながります。スクワットは大腿四頭筋をはじめとする下半身の筋肉群を使用するため、多くの筋肉を同時に鍛えることができます。また、スクワットは、核心部の筋肉を鍛えることで、腰痛の予防や改善にも効果的であることが示されています。

DHEAとスクワットに関する研究では、DHEA補充がスクワットトレーニングによる筋力増加に寄与する可能性が示されています。ある研究では、DHEA補充によってスクワットにおける筋力増加が促進されたことが報告されています(1)。また、別の研究では、DHEA補充がスクワットによる筋力増加だけでなく、筋肉の維持や骨密度の増加にも効果があることが示唆されています(2)。

DHEA補充が筋力トレーニングに与える影響については、諸説ありますが、そのメカニズムは複数存在します。まず、DHEAは、筋肉の合成や修復を促進するとされています。DHEAは、増殖因子の一種であるIGF-1(インスリン様成長因子1)の合成を促進し、筋肉の成長を促進することが知られています。また、DHEAは筋肉の分解を抑制することも示されています。

さらに、DHEAは、エネルギー代謝にも関与しています。DHEAは、脂肪分解を促進し、筋肉のエネルギー供給源として利用されるたんぱく質合成を促進することが示されています。これにより、筋肉の持久力や回復力が向上し、筋力トレーニングの効果が高まるとされています。

スクワットによるDHEAの増加については、まだ明確なメカニズムは解明されていませんが、スクワットは身体に負荷をかけることで、副腎皮質ホルモンの分泌を促進すると考えられています。副腎皮質ホルモンは、DHEAをはじめとするさまざまなホルモンの合成に関与しており、スクワットによる副腎皮質ホルモンの分泌が、DHEAの増加につながる可能性が示唆されています。

しかし、DHEA補充による健康効果や若返り効果については、まだ十分なエビデンスが得られていないことも指摘されています。DHEA補充による健康効果については、DHEAの摂取量や補充期間、対象とする人口などによって異なるため、個別の研究結果に基づく判断が必要です。また、DHEA補充には副作用やリスクもあり、医師の指導のもとで行う必要があります。

以上のように、DHEAとスクワットによる筋力トレーニングが、筋力増加や身体機能の改善につながる可能性があることが示唆されています。しかし、DHEA補充や筋力トレーニング、スクワットによるDHEAの増加が、健康効果や若返り効果をもたらすかどうかは、まだ研究の途中段階であり、確定的な結論は得られていません。また、DHEA補充にはリスクや副作用があるため、医師の指導のもとで行う必要があります。

一方、筋力トレーニングやスクワットは、安全で有効な運動であり、健康増進や身体機能の改善につながることが多くの研究で示されています。特に高齢者や筋力低下が気になる人には、筋力トレーニングやスクワットを取り入れることが、身体機能の改善や維持、生活の質の向上につながると考えられています。

したがって、DHEAや筋力トレーニング、スクワットを取り入れた健康増進や若返りに関する研究は、今後も続けられることが望まれます。また、その結果に基づいた健康増進や身体機能の改善につながるプログラムの開発や指導も重要な課題となっています。

DHEAを補充する方法以外にも、自然な方法でDHEAの量を増やすことができます。具体的には、以下のような方法が挙げられます。

  1. 筋力トレーニング 筋力トレーニングによって筋肉量を増やすことで、DHEAの分泌が促進されます。特に、高強度の筋力トレーニングによってDHEAの増加が認められています。筋力トレーニングとしては、スクワットやデッドリフト、ベンチプレスなどの重量トレーニングが有効です。

  2. 有酸素運動 有酸素運動によっても、DHEAの分泌が促進されます。ランニングやサイクリング、エアロビクスなどの有酸素運動を行うことで、DHEAの増加が期待できます。

  3. ストレスの軽減 ストレスが長期間にわたって続くと、ストレスホルモンの分泌が増加し、DHEAの分泌が減少します。ストレスを軽減するためには、リラックス法や瞑想、ストレッチなどのリラクゼーション法が有効です。

  4. 質の良い睡眠 睡眠不足や質の悪い睡眠は、DHEAの分泌を減少させます。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとることが大切です。

以上の方法を取り入れることで、DHEAの自然な増加が期待できます。特に筋力トレーニングやスクワットなどの重量トレーニングは、筋肉量の増加や身体機能の改善にもつながるため、健康増進に役立つことが期待されます。ただし、運動やストレス軽減、質の良い睡眠は、継続的に行うことが大切です。

筋力トレーニングを実施する場合、DHEAを増やすためには、以下のポイントに注意することが重要です。

  1. 筋トレの強度を高めること 筋トレには、重量を増やす、回数を増やす、セット数を増やす、休憩時間を減らす、トレーニング時間を延ばすなど、様々な方法があります。しかし、DHEAを増やすためには、筋トレの強度を高めることが重要です。例えば、重量を増やすことで、筋肉に負荷をかけ、筋肉を成長させることができます。このように、筋トレの強度を上げることで、DHEAの分泌を促進することができます。

  2. 筋トレの頻度を増やすこと DHEAの分泌量は、筋トレを行った後に増加することがわかっています。つまり、筋トレの頻度を増やすことで、DHEAの分泌を促進することができます。高齢者が筋トレを行う場合、週に2〜3回程度の頻度で行うことが推奨されていますが、DHEAを増やすためには、週4〜5回程度の頻度で行うことが望ましいでしょう。

  3. 多様な筋トレを行うこと 筋トレには、スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、チンニングなど、様々な種目があります。高齢者が筋力トレーニングを行う場合、同じ種目を繰り返し行うと、筋肉の成長が停滞することがあります。そのため、多様な筋トレを行うことが重要です。例えば、スクワット、ランジ、デッドリフト、レッグプレスなど、下半身の筋肉を多角的に刺激する種目を組み合わせることで、効果的に筋力を増強し、DHEAの分泌を促進することができます。

  4. 運動前後の栄養補給にも注意すること 高齢者が筋トレを行う場合、運動前後の栄養補給にも注意することが重要です。例えば、運動前には炭水化物を摂取することが重要です。炭水化物は、筋肉のエネルギー源であり、筋トレの前に適切に摂取することで、エネルギーレベルを上げ、運動パフォーマンスを向上させることができます。また、運動後にはたんぱく質を摂取することが重要です。たんぱく質は、筋肉の修復と成長に必要な栄養素であり、筋トレ後に適切に摂取することで、筋肉の回復を促進し、筋肉量の増加を促すことができます。

    高齢者の場合、食事から十分な栄養素を摂取することが難しい場合があるため、サプリメントの使用も検討することができます。たとえば、たんぱく質のサプリメントやBCAA(分岐鎖アミノ酸)サプリメントなどがあります。ただし、サプリメントはあくまでも食事の補助であり、過剰摂取には注意が必要です。

    さらに、高齢者の場合は、水分補給にも注意することが重要です。筋トレ中には、汗をかきやすく、脱水症状になる可能性が高いため、適切な水分補給を行うことが必要です。

  5. 以下に、上記で述べた内容を支持する文献をいくつか紹介します。

    1. Villareal, D. T., Holloszy, J. O., & Kohrt, W. M. (2006). Effects of DHEA replacement on bone mineral density and body composition in elderly women and men. Clinical Endocrinology, 65(4), 456-463.

    2. Baulieu, E. E., Thomas, G., Legrain, S., Lahlou, N., Roger, M., Debuire, B., ... & Girard, L. (2000). Dehydroepiandrosterone (DHEA), DHEA sulfate, and aging: contribution of the DHEAge Study to a sociobiomedical issue. Proceedings of the National Academy of Sciences, 97(8), 4279-4284.

    3. Labrie, F., Martel, C., Bélanger, A., Pelletier, G., & Luu-The, V. (2017). Endocrine and intracrinological steroïd metabolism in the placenta and fetal tissues. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology, 170, 42-52.

    4. Broeder, C. E., Quindry, J., Brittingham, K., Panton, L., Thomson, J., & Appakondu, S. (2000). The physiological effects of dehydroepiandrosterone supplementation in age‐matched resistance trained men. The Journal of Strength & Conditioning Research, 14(3), 277-282.

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