2023/04/29

健康講座609 コリアンダーについて

 こんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

コリアンダーは、セリ科の植物で、日本ではパクチーとしても知られています。コリアンダーは、種子、葉、根などが食用とされ、世界中で広く使われています。特に、アジアや中東の料理に多く用いられています。

コリアンダーには、カルシウム、鉄、ビタミンCなどが含まれ、栄養価が高いことが知られています。また、コリアンダーには、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれており、健康に良いとされています。

さらに、コリアンダーには、抗炎症作用や抗菌作用、消化促進作用、血糖値降下作用などがあるとされています。これらの効果に関する研究も多数行われています。

例えば、2015年に発表された研究では、コリアンダーが炎症を抑制する効果があることが示されています。この研究では、コリアンダーのエキスを投与したラットの脳炎症モデルにおいて、炎症マーカーのTNF-αやIL-1βが低下することが観察されました。

また、2017年に発表された研究では、コリアンダーが血糖値を下げる効果があることが示されています。この研究では、糖尿病モデルのラットに対して、コリアンダーのエキスを投与したところ、血糖値が有意に低下することが観察されました。

さらに、コリアンダーは、消化促進作用もあることが知られています。これは、コリアンダーのエキスが胃液の分泌を促進することによるものと考えられています。この作用に関する研究も多数行われており、その効果が確認されています。

以上のように、コリアンダーには様々な健康効果が期待されており、その効果については多数の研究が行われています。しかしながら、その効果はあくまでそのような抗酸化効果を持つことから、コリアンダーの消化器系への効果について研究が行われています。以下で、コリアンダーの消化器系への効果について説明します。

コリアンダーは胃腸の健康に効果的であると考えられており、さまざまな消化器系疾患に有用であるとされています。まず、コリアンダーは胃液分泌を促進するという効果があります。胃液分泌が不十分な人は、胃酸不足による消化不良や胃炎などの症状が出ることがありますが、コリアンダーを摂取することで胃液分泌が促進され、これらの症状を改善することができます。

さらに、コリアンダーには消化を助ける効果もあります。コリアンダーに含まれる天然の酵素が、食物を分解するための消化酵素を補助することで、消化をスムーズにすることができます。また、コリアンダーには、腸内細菌のバランスを整える作用があるとも言われています。腸内細菌のバランスが崩れることで、様々な消化器系の問題が引き起こされることがありますが、コリアンダーはこのバランスを整えることで、消化器系を健康に保つことができます。

また、コリアンダーには消化器系に対する抗炎症作用もあるとされています。消化器系には、炎症が原因で起こる問題が多くありますが、コリアンダーには炎症を抑える効果があるとされており、これによって消化器系の炎症を緩和することができます。

以上のように、コリアンダーには消化器系に対してさまざまな効果があるとされています。しかしながら、これらの効果についてはまだ多くの研究が必要とされており、科学的な根拠は十分ではありません。

しかしながら、コリアンダーは伝統的には健康に良いとされている食材であり、安全性が高く、副作用が少ないこと一方で、コリアンダーの効果についてはまだ限定的な研究結果しかないため、必ずしも全ての人に効果があるとは言い切れません。また、コリアンダーによる副作用やアレルギー反応が報告されているため、摂取する際には注意が必要です。

【コリアンダーの副作用とアレルギー反応】

コリアンダーは一般的に安全であり、多くの人々が普段から食べています。しかし、以下のような副作用が報告されています。

・アレルギー反応:コリアンダーに対するアレルギー反応が報告されており、稀に重篤な症状を引き起こすことがあります。アナフィラキシーショックや呼吸困難などがあらわれた場合は、即座に医療機関を受診する必要があります。

・感染リスク:コリアンダーは菌類や細菌などの微生物が繁殖しやすい環境になることがあります。そのため、新鮮なコリアンダーを使用するか、よく洗ってから食べるようにすることが大切です。

・血糖値の低下:コリアンダーには血糖値を下げる効果があるため、血糖値が低下しすぎる場合があります。糖尿病患者や低血糖症の人は、コリアンダーを摂取する際には注意が必要です。

【まとめ】

コリアンダーには、抗酸化作用や炎症を抑制する作用、血糖値の低下などの効果があるとされています。これらの効果は、さまざまな疾患の予防や治療に役立つ可能性があります。しかし、まだ限定的な研究結果しかないため、必ずしも全ての人に効果があるとは言い切れません。また、副作用やアレルギー反応が報告されているため、摂取する際には注意が必要です。

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