2023/04/29

健康講座610 シナモンの効能

  こんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。


シナモンは、スパイスとして世界中で広く使われている植物であり、古くから伝統的な薬草としても知られています。シナモンには、多くの健康効果が報告されており、特に血糖値コントロールに有効であることが知られています。以下では、シナモンの健康効果について詳しく説明していきます。

  1. 血糖値コントロールへの効果

シナモンは、血糖値を下げる作用があり、特に2型糖尿病患者にとって有用です。シナモンに含まれる成分の一つであるメチルヒドロキシシナモン(MHCP)は、インスリン様作用を持つとされています。インスリンは、血糖値を下げるために必要なホルモンです。また、シナモンは、糖質代謝に関わる酵素の活性化を促進することにより、血糖値を下げる作用を持っています。

研究によると、シナモンを摂取することで、血糖値が低下することが報告されています。例えば、2013年に発表されたメタアナリシスによると、シナモンを摂取した2型糖尿病患者の血糖値が、プラセボを摂取したグループに比べて有意に低下することが確認されました。また、2015年に発表された研究では、シナモンを摂取することで、インスリン感受性が改善することが報告されています。

  1. 抗酸化作用への効果

シナモンには、強い抗酸化作用があることが報告されています。抗酸化作用は、体内の活性酸素種による細胞ダメージを防ぐ働きを持ち、様々な疾患の予防に役立ちます。

シナモンに含まれるポリフェノールの一種であるカテキンは、強い抗酸化作用を持っています。また、シナモンには、クマリンという成分も含まれています。クシナモンの抗糖尿病作用には、インスリン様作用、グルコース取り込み促進作用、グルコースの吸収阻害作用、グルコース代謝酵素の調節作用、インスリン受容体の活性化、および糖新生の阻害作用が含まれると考えられています。これらの作用は、シナモンに含まれるポリフェノールやテルペノイドのような様々な成分によってもたらされます。

ポリフェノールには、シナモン酸、カフェ酸、クマリン、カテキン、プロアントシアニジン、エピカテキン、クエルセチン、およびイソフラボンなどが含まれます。これらのポリフェノールには、抗酸化、抗炎症、および抗菌作用があります。また、シナモンに含まれるテルペノイドには、シナモンアルデヒド、シナモン酸メチル、およびシナモン酸エチルなどがあります。これらのテルペノイドには、抗菌、抗炎症、および抗酸化作用があります。

シナモンによる糖尿病の管理については、多数の研究が行われており、その結果が数多く報告されています。以下に、代表的な研究をいくつか紹介します。

一つ目の研究は、インドの研究者たちによるもので、健康な人を対象に、1グラムのシナモンを服用することが、グルコース代謝を改善することが示されました。この研究では、シナモンを摂取したグループとプラセボを摂取したグループを比較し、シナモンを摂取したグループの血糖値が有意に低かったことが報告されました。

二つ目の研究は、パキスタンの研究者たちによるもので、2グラム/日のシナモンの摂取が、糖尿病患者の血糖値およびHbA1cを有意に低下させることが示されました。この研究では、シナモンを摂取したグループその後、異なる研究チームによる別の研究でも、シナモンが血糖コントロールに有効であることが示されました。この研究では、2グループの被験者に対して、1グループには1日に6gのシナモンサプリメントを与え、もう1つのグループにはプラセボを与えました。シナモングループは、プラセボグループに比べて血糖値が有意に低かったことが示されました。さらに、シナモングループでは、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドも低下し、HDLコレステロールも増加していました。この結果は、シナモンが血糖コントロールに加えて、心臓血管疾患の予防にも有用であることを示唆しています。

一方、シナモンには薬剤相互作用の可能性があるため、医師の指示なしでシナモンを大量に摂取することは避ける必要があります。また、シナモンにアレルギーがある場合や、妊娠中や授乳中の場合は、摂取前に医師に相談する必要があります。

以上のように、シナモンは糖尿病や心臓血管疾患の予防に役立つ可能性がありますが、まだ研究が不十分であるため、医師に相談の上で摂取することをお勧めします。

【参考文献】

  • Anderson RA, Broadhurst CL, Polansky MM, et al. Isolation and characterization of polyphenol type-A polymers from cinnamon with insulin-like biological activity. J Agric Food Chem. 2004;52(1):65-70.
  • Kirkham S, Akilen R, Sharma S, et al. The potential of cinnamon to reduce blood glucose levels in patients with type 2 diabetes and insulin resistance. Diabetes Obes Metab. 2009;11(12):1100-1113.
  • Allen RW, Schwartzman E, Baker WL, et al. Cinnamon use in type 2 diabetes: an updated systematic review and meta-analysis. Ann Fam Med. 2013;11(5):452-459.
  • Ranasinghe P, Galappaththy P, Constantine GR, et al. Effects of Cinnamomum zeylanicum (Ceylon cinnamon) on blood glucose and lipids in a diabetic and healthy rat model. Pharmacognosy Res. 2012;4(2):73-79.

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