2023/12/21

小川糖尿病内科クリニック健康講座805:座位時間と運動の重要性


 最近の研究によると、座位時間が長いと死亡リスクが高まることが示されています。しかし、中強度から高強度の身体活動(MVPA)を行うことで、このリスクを軽減できることがわかっています。これは、日常生活において、積極的に身体を動かすことがいかに重要であるかを示唆しています。

 この研究は、中強度から高強度の身体活動(MVPA)が、座位時間と死亡率の関連性にどのように影響を与えるか、そして逆に、どのように座位時間がMVPAと死亡率の関連性に影響を与えるかを調査することを目的としています。これには、ノルウェー、スウェーデン、アメリカで行われた4つの前向きコホート研究(2003年から2016年の基準時点、11,989人の参加者、50歳以上、女性が50.5%)の個々の参加者データを使用しています。身体活動と座位時間は、腰に装着された加速度計によって測定されました。関連性は、性別、教育、体重指数、喫煙、アルコール摂取、研究コホート、心血管疾患、がん、糖尿病の有無、加速度計の着用時間、年齢などを調整したCox回帰分析で調べられました。

 結果として、追跡調査中(中央値5.2年、四分位範囲4.2年)に805人(6.7%)が亡くなりました。1日12時間以上座っている人(参照基準は8時間)では、MVPAが1日22分未満の場合のみ死亡リスクが高まることが示されました(ハザード比1.38、95%信頼区間1.10から1.74)。MVPAのレベルが高いほど、座位時間に関係なく死亡リスクが低下しました。例えば、1日にMVPAを0分から10分にすることで、1日10.5時間未満座っている人の死亡リスクは0.85(95%信頼区間0.74から0.96)、10.5時間以上座っている人では0.65(95%信頼区間0.53から0.79)に低下しました。結合分析では、MVPAを多くすることが、座位時間を減らすことよりも死亡リスクを低下させることが確認されました。例えば、1日にMVPAを0分から10分にすると、座位時間の範囲に関わらず、死亡リスクが28%から55%低下しました(最低リスクは1日10時間座っている場合:ハザード比0.45、95%信頼区間0.31から0.65)。

結論として、この研究は、11,989人の50歳以上の男女を5.2年間追跡し、彼らの身体活動と座位時間を加速度計で測定しました。その結果、1日に22分未満のMVPAを行い、かつ12時間以上座っている人は、死亡リスクが38%も高かったのです。これは、運動不足と長時間座っていることが、健康に大きな影響を与えることを示しています。

しかし、MVPAを多く行うことで、座位時間が長くても死亡リスクを大幅に減らすことができました。具体的には、MVPAを1日に10分増やすだけで、座位時間が短い人では死亡リスクが15%、座位時間が長い人では35%も低下しました。

これらの結果から、小川糖尿病内科クリニックでは、日々の生活の中で身体を動かすことの重要性を強調しています。座位時間を減らし、定期的に身体を動かすことで、健康維持に大きく寄与することができるのです。特に糖尿病をはじめとする慢性疾患を持つ方々にとって、このようなライフスタイルの変更は、病気の管理と予防に非常に重要です。

身体活動の増加は、生活の質を向上させるだけでなく、長期的な健康維持にも寄与します。日常生活において、簡単な運動を取り入れることで、座位時間を減らし、健康的な生活を送ることが可能です。

糖尿病やその他の慢性疾患を管理する上で、身体活動の増加は不可欠です。小川糖尿病内科クリニックでは、皆様の健康維持と向上のために、適切な運動療法のアドバイスを行っています。ご興味のある方は、ぜひ私たちのクリニックにお越しください。

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