2024/03/15

健康講座822 「非糖尿病患者におけるSGLT2i投与によるケトアシドーシスの危険性について」


 最近の研究で、非糖尿病患者が心不全治療のためにSGLT2i(ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害剤)を使用した際に、重篤なケトアシドーシスを発症した2症例が報告されました。通常、SGLT2iは糖尿病患者での血糖コントロールに使用されますが、心不全治療にも用いられることがあります。これらの症例は、非糖尿病患者でもSGLT2iによる正常血糖ケトアシドーシスのリスクがあることを示しています。

研究デザインと方法: この研究では、心不全の治療のためにSGLT2iを開始した後に重度の非糖尿病性ケトアシドーシスを発症した2例の症例報告を詳述しています。これらの症例は、食欲の低下に起因するもので、両方の患者が摂食量の減少によりケトアシドーシスを発症しました。

結果: 各患者はケトアシドーシスを発症し、静脈内グルコースの投与、口からの糖分を含む液体の摂取の奨励、最小限のインスリン投与により症状が解決しました。これらの症例は、非糖尿病患者でもSGLT2iによるケトアシドーシスが発生する可能性があることを示しています。

結論: SGLT2iは糖尿病治療薬として有効ですが、非糖尿病患者においては、特に心不全の治療に使用される場合、ケトアシドーシスのリスクがあることに注意が必要です。非糖尿病患者にSGLT2iを使用する場合は、特に食欲の低下や摂食量の減少が見られる際には、ケトアシドーシスの発症に警戒し、適切なモニタリングと管理が重要となります。

この研究は、非糖尿病患者におけるSGLT2iの使用に関する新たな知見を提供しており、心不全治療におけるSGLT2iの安全性と効果についてさらなる研究が必要であることを示唆しています。また、心不全を持つ非糖尿病患者にSGLT2iを使用する際には、ケトアシドーシスのリスクを十分に理解し、慎重にモニタリングすることが重要です。

この健康講座では、SGLT2iによるケトアシドーシスの危険性について詳しく説明し、非糖尿病患者における使用時の注意点を強調しています。これにより、患者さんや医療従事者がこの重要な情報を理解し、適切な治療を行うための一助となることを願っています。

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