みなさんこんにちは。
今日は、「糖尿病と熱中症――2025年の猛暑に備えて知っておきたいこと」について、わかりやすく丁寧にお伝えします。
2025年の夏は、昨年以上の猛暑が予想されています。日本各地で「真夏日(最高気温30℃以上)」や「猛暑日(同35℃以上)」が続くとされており、健康への影響が心配されます。とくに注意が必要なのが、「糖尿病を持つ方」です。今回は、糖尿病のある方がなぜ熱中症になりやすいのか、経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)の正しい使い方、エアコンの適切な活用法まで、最新の研究や行政の情報をもとに、しっかりとお伝えしていきます。
🌡️ 第1章:糖尿病の人はなぜ熱中症に注意が必要なのか?
🔍 糖尿病があると、熱中症リスクが高まる理由
糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。放置すると全身にさまざまな合併症が起こるため、食事・運動・薬物療法などで適切な管理が必要です。
熱中症は、体温調節がうまくできず、体内に熱がこもることで起こります。汗をかくことで体温を下げる機能が正常に働いていれば、人間の体はある程度の暑さに耐えられます。しかし糖尿病があると、以下の理由でその仕組みがうまく働かなくなります。
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🧠 自律神経障害:血糖値の高い状態が続くと、体のあちこちの神経が傷つきます。とくに汗を出す働きを担う「自律神経」が障害されると、体温調節ができなくなります。
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💦 発汗機能の低下:汗をかきにくくなり、体の熱を逃がしにくくなります。
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💉 腎機能の低下:軽度の脱水でも腎臓に負担がかかりやすくなります。
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🔄 喉の渇きに鈍くなる:高齢者や糖尿病患者は、脱水になっても「喉の渇き」を感じにくく、水分摂取が遅れがちです。
こうした理由から、糖尿病がある人は、熱中症になりやすく、重症化しやすいのです。
💧 第2章:水分補給の基本と「経口補水液」の正しい使い方
🥤 経口補水液とは?
**経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)**とは、体から失われた水分と電解質(ナトリウムやカリウム)を素早く補うための飲料です。もともとは、脱水症状の治療の一環として医療現場で使われていたもので、世界保健機関(WHO)も推奨しています。
見た目はスポーツドリンクと似ていますが、成分は大きく異なります。
| 比較項目 | スポーツドリンク | 経口補水液 |
|---|---|---|
| ナトリウム量 | 約40〜50mg/100ml | 約100〜115mg/100ml |
| カリウム量 | 約10mg/100ml | 約78mg/100ml |
| 糖分量 | やや多め | 控えめだが含まれる |
⚠️ 消費者庁からの注意喚起
2025年の夏、消費者庁は「脱水していない人が、日常の水分補給に経口補水液を使うのは適切ではない」と注意喚起を出しています。以下は、よくある疑問とその答えです。
📌 Q1. スポーツドリンクと経口補水液は何が違うの?
→ 経口補水液は、電解質(ナトリウム・カリウム)が非常に多く含まれているため、スポーツドリンクとは別物です。病気や脱水症状のときに使うことを前提としています。
📌 Q2. 暑い日や運動時の水分補給に使っていいの?
→ 基本的にはNGです。 脱水症状がない状態で経口補水液を常用すると、ナトリウム過剰や血糖の急上昇を招くおそれがあります。
📌 Q3. 食事制限中でも飲めるの?
→ 注意が必要です。 経口補水液にはナトリウム・カリウム・糖分が含まれるため、腎臓病・心不全・糖尿病などで食事制限のある方は、必ず医師に相談してください。
📌 Q4. 熱中症になったときには飲んでいいの?
→ はい、OKです。 ただし、「脱水をともなう熱中症」であることが前提です。水分だけでなく、塩分も一緒に失われている場合に適しています。
✅ 日常の水分補給はどうすればいい?
経口補水液を常用せずとも、以下の方法でこまめな水分補給を意識しましょう。
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起床時にコップ1杯の水
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食事ごとに水やお茶
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就寝前に1杯(ただしトイレ対策を考慮)
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外出時はペットボトルを持参
※水や麦茶、ノンカフェインのお茶が基本です。甘い飲み物は避けましょう。
❄️ 第3章:エアコンを正しく使えば、熱中症は防げる
🏠 東大・東京都監察医務院の研究
2023年までの10年間で、東京都23区内で熱中症による死亡者は1,447人。このうち、屋内で死亡した人の多くは、エアコンを正しく使えていなかったことが判明しました。
| 状況 | 割合 |
|---|---|
| エアコンがオフ | 44.9% |
| エアコン未設置 | 29.4% |
| エアコン故障 | 10.0% |
| エアコン作動中(でも不適切) | 15.7% |
使い方を誤っていた例:
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リモコンの電池が切れていた
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冷房ではなく暖房モードだった
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掃除モードのままだった
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送風口にホコリが詰まり風が出ていなかった
👴 高齢者や一人暮らしの世帯がとくに危ない
死亡者の多くは、「高齢の一人暮らしまたは高齢夫婦世帯」でした。
とくに多かったのは「エアコンはあるが、設定や操作ができなかった」ケースです。リモコンの操作ミスや設定確認不足で、つけているのに熱中症になるという悲しい事例が報告されています。
🔧 第4章:エアコンを正しく使いこなすための具体策
✅ 家庭でできるチェックリスト
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リモコンの電池を交換しておく
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エアコンの通風口・フィルターを掃除
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「冷房」または「除湿(ドライ)」モードを確認
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28℃前後の設定にして風が出るか確認
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動作音や室外機の状態を確認
🤝 地域や家族で支え合おう
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別居の親や祖父母がいる人は、定期的に電話や訪問で確認
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隣人や高齢者が住んでいる家のエアコン室外機が動いていない場合は声かけを
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「冷房に切り替えるメモ」を貼るだけでも効果あり
🧠 第5章:まとめ ― 熱中症から身を守るために
✅ 糖尿病の人が猛暑を乗り切る7つのポイント
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朝昼晩、こまめに水分補給を!
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経口補水液は、脱水時にだけ使う!
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日常では水・麦茶などでOK
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エアコンは必ず事前に点検
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冷房28℃+扇風機の併用で効率よく冷やす
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高齢者・ひとり暮らしの方は特に注意
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糖尿病のコントロールを続けることが最強の予防策
🔚 おわりに
2025年の夏は、歴史的な猛暑になる可能性が高いと予想されています。熱中症は命に関わる危険な状態ですが、正しい知識とちょっとした工夫で防ぐことができます。
糖尿病を持つ方は、日々の血糖管理だけでなく、水分補給と暑さ対策の意識を高めることが、命を守る鍵となります。
「ちょっとした水」「ちょっとした冷房」「ちょっとした声かけ」が、未来の自分や誰かの命を守ることにつながるかもしれません。
ぜひ、ご家族やご近所の方とこの情報を共有して、この猛暑を安心・安全に乗り切っていきましょう。
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