2025/07/11

健康講座879 「隠れた心臓リスク? Lp(a)(エルピーエー)をやさしく解説!〜検査から治療まで最新情報を紹介〜」

 みなさんこんにちは!今回は、Lp(a)(読み方:エルピーエー)についてご説明します。


1. Lp(a)って何?どうして気になるの?

1.1 まずは“仲間”から

Lp(a)は、わかりやすく言うと、**「悪玉コレステロール(LDL)に変身したコレステロール」**です。

  • 普段よく耳にする**LDL(エル・ディー・エル)**は、いわゆる“悪玉コレステロール”。

  • それに、**apo(a)という特別なタンパクがくっつくと、さらに悪さをするLp(a)**に変化します。

だから「LDLだけで心配するのではなく、Lp(a)もセットで気にした方がいいですよ」というわけです。

1.2 なぜ心配?その理由

Lp(a)は次のような働きをします:

  1. 血管の壁にコレステロールを溜めやすい!

  2. 血の塊(血栓)ができやすくする!

    • これは、普段の体の中にある「血の塊を溶かす仕組み」に干渉して、血が固まりやすくなるんです。

  3. だから、心筋梗塞脳卒中みたいな怖い病気につながりやすい。


2. Lp(a)は普通の検査でわからない?どうやって測るの?

普段の健診でLDL測りますよね。でも、Lp(a)は別の特別な検査なんです。

  • メニューに「Lp(a)測定」って項目があるか、病院に聞いてください。

  • 測るのは基本的に一回きりでOK!

    • なぜなら、Lp(a)は生まれてからほぼほぼ変わらないから

  • 特におすすめの方は:(はじめから誰でも保険で測れるものではないです)

    • 若くして心筋梗塞・脳卒中になった人

    • ご家族にそういった人がいる方

    • LDLが高いのに薬を飲んでも下がりにくい人


3. Lp(a)の数字ってどうみる?

血液検査の結果には数字が出ます。Lp(a)も同じです。

  • 30mg/dL以下 → 通常の範囲(気にしなくて良い)

  • 30〜50mg/dL → ちょっと高め(注意ゾーン)

  • 50mg/dL以上 → 高い!要注意!

※ mg/dLは血液中の濃度の単位で、“mg”が重量、“dL”が100mL(ミリリットル)を指します。


4. なぜ高いと困るの?

通常のLDLだって危ないのに、さらにLp(a)が高いとどうなるでしょう?

  • 血管の壁にコレステロールがぐんぐんたまります → 血管が狭くなる(動脈硬化)

  • 血液中に血の塊ができやすくなる → 狭くなった血管に血のかたまりが詰まって… → 心筋梗塞や脳卒中に直結。

つまり、**LDL+Lp(a) がセットで高いと、ダブルパンチでリスクUP!**するんです。


5. Lp(a)は遺伝でほぼ決まる

健康診断でコレステロールを調べても、Lp(a)を下げる生活習慣ってあまり効果がないのが現状です。

  • 食事・運動・禁煙などを頑張っても、 Lp(a)はほとんど変わらない特徴があります。

  • それは、生まれつき血液中のLp(a)量が決まっていて、ほとんど変化しないからです。


6. Lp(a)をどうやって下げる?

6.1 今使える薬(けっこう限られている)

  • スタチン:LDLを下げるのに有効ですが、Lp(a)にはほとんど効果がありません。

  • エゼチミブ:少し(数%)Lp(a)を減らす可能性あり。

  • ニアシン(ビタミンB3):Lp(a)を20〜30%減らす報告もありますが…

    • 副作用が大きい(ほてり、かゆみ、肝臓の負担など)

    • 日本では推奨されていません

6.2 新しめの薬(PCSK9阻害薬)

  • エボロクマブアリロクマブという注射タイプの薬で、

  • Lp(a)を20〜30%くらい減らす効果があります。

  • ただし、日本では現状「LDLを下げるための薬」として承認されていて、
    Lp(a)用では使えないのが現状です。

6.3 今後に期待の最先端薬(RNA医薬)

  • 次世代の薬で、体の中の設計図(mRNA)を狙い撃ちしてLp(a)を70〜80%も減らすタイプです。

    • Pelacarsen(アンチセンス薬)

    • Olpasiran, SLN360(siRNA薬)など

  • 臨床試験で効果が確認されており、2020年代後半〜2030年代には実用化の可能性大!

6.4 とっても高い人向け:アフェレーシス(治療法)

  • 血液の中からLp(a)だけを取り除く方法で、週1〜2回の通院治療です。

  • めったに実施されない方法ですが、
    **Lp(a)がめっちゃ高い人に効果あり!**とされています。


7. 今すぐできることは?

  • まずは検査して、自分のLp(a)を知る!(検査できるかは医療機関に要確認)

  • LDLは今のうちにしっかり下げておく!(スタチンなどで)

  • その他の生活習慣改善(食事・運動・禁煙・血圧・体重管理など)も基本

  • 最新治療の登場を見据えておく!

    • 実用化されたら、Lp(a)に合わせた治療選択も可能になります。


8. 専門用語や単位もやさしく!

  • LDLコレステロール:「悪玉コレステロール」。血管に溜まりやすい。

  • Apo(a):「Lp(a)だけにくっついている特別なタンパク」

  • スタチン:コレステロールを下げる代表的な薬

  • PCSK9阻害薬:注射で効く新しいコレステロール薬

  • アンチセンス薬・siRNA薬:遺伝子の設計図を止めてLp(a)をガツンと減らす薬

  • アフェレーシス:Lp(a)だけを機械で取り除く血液治療

  • 血栓:血液中でできる“血のかたまり”。詰まると心筋梗塞や脳卒中に

  • アテローム性動脈硬化(ASCVD):血管が硬くなって、血の道が狭くなる病気


9. 最後に―これからの健康管理

  1. 一度はLp(a)を測っておくとよいかも

  2. LDLはしっかり下げる(スタチンを中心に)

  3. Lp(a)が高ければ、将来出る薬が選択肢に!

  4. 生活習慣は基本中の基本!

  5. 自分の血管がどんな状態か、定期的な検診と相談が大切


皆さんがご自身やご家族の健康を守るための、第一歩になるように願っています。

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