2026/01/13

健康講座947 「GLP-1注射、打ったところが赤くなることがあります」 ― よくある注射部位反応をやさしく解説 ―

 

GLP-1注射で「打ったところが赤くなる?」

― 実はよくある話を、最新研究から整理してみた ―

GLP-1受容体作動薬(GLP-1注射)は、
糖尿病や肥満治療で今や欠かせない薬になりました。

週1回でよく、
血糖も体重も下がりやすい。
とても優秀な薬です。

一方で、外来ではこんな声を聞くことがあります。

  • 「打ったところが赤くなりました」

  • 「内出血みたいになってます」

  • 「これって大丈夫ですか?」

今回は、
**GLP-1注射と“注射部位の反応・皮膚トラブル”**について、
2025年12月に発表された最新の大規模研究をもとに、
できるだけわかりやすく解説します。


結論から言うと

まず最初に、結論です。

👉 GLP-1注射で、注射した場所のトラブルは「やや起こりやすい」
👉 でも、ほとんどは軽くて、危険なものではない
👉 全身の重い皮膚トラブルはとても稀

つまり、

「知っていれば怖くない話」

です。


どんな研究なの?

この研究は、かなり信頼性が高いです。

理由は2つ。

① 臨床試験(RCT)をまとめて解析

世界中で行われた
ランダム化比較試験(RCT)14本を集めて分析。

  • 患者数:約4,800人

  • 注射部位トラブル:約400件

② リアルワールドデータも確認

さらに、

  • FDA(アメリカの厚労省のような機関)

  • 副作用報告データベース(FAERS)

という、
「実際に世の中で起きた副作用報告」も分析しています。

👉 実験室と現実の両方から確認した研究
という点が、この論文の強みです。


注射部位のトラブルはどれくらい多い?

結果はシンプルです。

✔ GLP-1注射を使うと…

  • 注射しない薬に比べて

  • 注射部位の反応は約3.5倍起こりやすい

と言っても、

ここで大事なのは
「どんな反応か?」 です。


実際に多いのはこんな症状

ほとんどは、以下のようなものです。

  • 赤み

  • かゆみ

  • 軽い腫れ

  • 内出血

  • 少し硬くなる感じ

👉 命に関わるものではありません
👉 多くは自然に治ります


皮膚全体のトラブルは?

ここは安心材料です。

  • 全身の発疹

  • 重い皮膚アレルギー

  • 広範囲の皮膚障害

こうしたものは、

👉 統計的に増えていませんでした

つまり、

「皮膚がボロボロになる薬ではない」

ということが、
ちゃんとデータで示されています。


特に名前が出た薬は?

リアルワールドデータ(FAERS)では、
2つの薬で「注射部位の出血」が目立ちました。

  • エキセナチド

  • デュラグルチド

ただし、ここで注意。

これは、

❌「危険な薬」
ではありません。

⭕「報告されやすかった」
という意味です。


なぜ注射部位トラブルが起きるの?

理由はシンプルです。

  • 皮下注射であること

  • タンパク質の薬であること

  • 週1回製剤は、皮下に長く留まること

そのため、

「打ったところで軽い炎症が起きやすい」

これは、
薬の性質上ある程度避けられません。


じゃあ、やめた方がいい薬?

答えはNOです。

GLP-1注射は、

  • 血糖改善

  • 体重減少

  • 心血管イベント抑制(一部製剤)

といった
大きなメリットがあります。

今回の研究は、

「リスクがあるから使うな」

ではなく、

「よくある副作用を、ちゃんと説明しよう」

というメッセージです。


実際の診療で大事なこと

一番大切なのは、事前説明です。

これだけで、
治療中断はかなり減ります。

患者さんへの説明例

  • 「最初は赤くなったり、内出血することがあります」

  • 「多くは軽くて、自然に治ります」

  • 「全身のアレルギーはとても稀です」

  • 「気になったら、いつでも相談してください」

👉 これだけでOKです。


注射部位トラブルを減らすコツ

  • 毎回、打つ場所を変える

  • 強く揉まない

  • 内出血=失敗ではないと伝える

  • 写真を撮ってもらうのも有効


この研究が教えてくれること

この論文は、
GLP-1注射を「怖くする研究」ではありません。

むしろ、

安心して続けるための説明材料

をくれる研究です。


まとめ

  • GLP-1注射は
    注射部位の軽いトラブルが起きやすい

  • でも
    ほとんどは軽く、自然に治る

  • 重い皮膚トラブルは
    とても稀

  • 事前説明が
    治療継続のカギ


一言的まとめ

GLP-1注射は、
**「知っていれば怖くない副作用」**があるだけ。

正しく説明すれば、
患者さんも安心して続けられます。

この論文は、
そのことをデータで裏付けてくれた、
とても実用的な研究だと思います。



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