2026/02/23

健康講座977 🧠【最新版エビデンス】 新型コロナの嗅覚障害は“従来型の風邪後嗅覚障害”と何が違うのか? ― 649人を解析した多施設研究が明らかにした決定的な差 ―




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はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、発熱や咳よりも先に
「匂いが分からなくなる」
という症状が出る方が多く報告されました。

一方で、私たち耳鼻科・内科医が以前から経験してきた
風邪のあとに起こる嗅覚障害(Post-Viral Olfactory Dysfunction:PVOD)
とは、実はかなり様子が違います。

今回紹介するのは、

COVID関連嗅覚障害と従来型PVODを直接比較した大規模多施設研究

です。

対象は649人
2017〜2019年のPVODと、2020〜2022年のCOVID嗅覚障害を比較しています。


🧪 論文の要約

研究デザイン

多施設後ろ向き研究。

対象

  • 従来型PVOD:380人

  • COVID嗅覚障害:269人
     ・オミクロン以前:191人
     ・オミクロン株:78人


主な結果

① COVID嗅覚障害は若年者に多い

② COVID嗅覚障害では
👉 嗅裂(きゅうれつ:匂いが入る最奥部)の閉塞が多い

異嗅症・幻嗅がCOVIDで多い

④ 障害の重症度はCOVIDの方が軽い

⑤ 年齢補正後でも
👉 COVIDの方が軽症

⑥ オミクロン以前は
👉 異嗅症・幻嗅がより多かった


結論

COVIDによる嗅覚障害と従来型PVODは、
臨床像も病態も別物である。
さらにCOVIDの中でも変異株により性質が異なる。


ここからは、この内容を深掘りします👇



「コロナで匂いが消えた」は、昔の“風邪後嗅覚障害”と全く違う

まず基本から。

● 嗅覚はどこで感じている?

鼻の奥の天井部分に

👉 嗅裂(olfactory cleft)

という狭い空間があります。

ここに
嗅上皮(きゅうじょうひ)
という特殊な神経細胞の集まりが存在し、

匂い分子 → 電気信号 → 脳

という経路で認識されています。


専門用語解説①

嗅裂(olfactory cleft)

鼻腔の最上部。匂いが到達する“最終ゲート”。

嗅上皮

匂いを感知する神経細胞が密集する場所。再生能力を持つ珍しい神経。


従来型PVODとは?

インフルエンザや普通の風邪の後、

  • 嗅神経そのものが壊れる

  • 嗅上皮が脱落する

という神経障害型が中心です。

つまり、

👉 神経細胞の物理的損傷

が主体。


COVID嗅覚障害はまったく違う

今回の研究で明らかになった最大のポイントは:


🔑 COVID嗅覚障害は「神経が壊れる病気」ではない


COVIDでは

  • 嗅裂の腫れ

  • 支持細胞の炎症

  • 局所浮腫

といった

👉 環境の異常

が中心です。

嗅神経そのものは比較的保たれています。

だから:

✅ 若い人に多い
✅ 軽症が多い
✅ 回復しやすい

という特徴になります。


なぜ異嗅症・幻嗅が多い?

専門用語解説②

異嗅症(parosmia)

本来いい匂いのものが
👉 焦げ臭い・腐敗臭に感じる状態

幻嗅(phantosmia)

実際には存在しない匂いを感じる状態


これは、

  • 再生途中の嗅神経

  • 信号のミスアライメント

によって起こります。

COVIDでは神経が“部分的に温存されたまま再起動”するため、

👉 バグった状態で再配線されやすい

のです。

オミクロン以前で多かった理由もここ。


オミクロンで減った理由

オミクロン株は

  • 鼻腔局所での増殖が弱い

  • 嗅上皮への侵襲性が低い

と考えられています。

その結果:

👉 異嗅症が減少
👉 重症嗅覚障害が激減

しました。


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重要な臨床メッセージ

この研究から分かること:


✅ COVID嗅覚障害は基本的に予後良好

✅ 多くは時間とともに改善

✅ 異嗅症は“治る途中のサイン”


つまり、

「変な匂いがする」

👉 回復プロセスの一部

である可能性が高いのです。


治療の考え方

現時点でエビデンスがあるのは:

  • 嗅覚トレーニング
    (4種類の香りを1日2回嗅ぐ)

  • 局所ステロイド点鼻(症例選択)

過剰な内服薬は基本不要です。


✨まとめ

今回の649人解析から分かった本質:


🌱 COVID嗅覚障害は

🌱 「神経破壊」ではなく

🌱 「炎症+環境障害」


だからこそ、

  • 若年者に多く

  • 軽症が多く

  • 回復率が高い

という特徴を示します。

そして異嗅症は

👉 脳と鼻が再接続している証拠

でもあります。


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