アウィクリは、週1回使う基礎インスリンです。
一般名はインスリン イコデク。
毎日打っていた基礎インスリンを、週1回にできる。
これはやっぱり大きなメリットだと思います。
毎日の注射が負担になっている人や、訪問診療・訪問看護を利用している人にとっては、週1回のほうが続けやすい場合があります。
ほかの週1回の注射薬を使っている人なら、曜日をそろえて、注射の予定をまとめられることもあります。
ただ、実際に調べてみると、かなりややこしい。
1日分を7倍する。
初回だけ1.5倍にすることがある。
1クリックが10単位。
ペンには300と700がある。
しかも、間違えると低血糖が長引く可能性がある。
正直、患者さんからすると「もう少し間違えにくくできなかったのかな」と思います。
私自身も間違えそうなので、自分用の備忘録としてまとめました。
週1回が向いていそうな人
アウィクリは、誰にでも向いている薬というより、毎日の基礎インスリンが負担になっている人に向いている薬だと思います。
たとえば、
毎日注射するのが負担になっている
手先が動かしにくい
視力が低下している
認知機能の低下などで、毎日の注射を忘れやすい
注射が怖い、苦手
家族や訪問看護師が注射を確認できる
訪問診療と合わせて、週1回の管理がしやすい
こういう人では、毎日から週1回になることで、本人も介助する側も楽になる可能性があります。
特に在宅医療では、毎日訪問することは難しくても、週1回なら確認や注射の支援がしやすくなります。
ただし、高齢者なら誰でも安心というわけではない
高齢の方は、毎日の自己注射が大変になりやすい一方で、アウィクリ特有の間違いにも注意が必要です。
たとえば、
1クリックを1単位だと思ってしまう
表示された数字を読み間違える
すでに打ったことを忘れて、もう一度打ってしまう
300と700の数字を投与量と勘違いする
低血糖になっても、一人では気づきにくい
といったことです。
アウィクリは週1回なので、1回の打ち間違いが、その日のうちに終わらず、数日間影響する可能性があります。
そのため、高齢の方や独居の方では、「週1回だから簡単」と考えるのではなく、
誰が注射するのか
打ったかどうかをどう確認するのか
単位数を毎回どう確認するのか
低血糖時に誰が対応するのか
まで考えて使う必要があります。
高齢だから必ず使えないということではありません。
ただし、本人だけでの管理が難しい場合は、家族や訪問看護師などの確認があったほうが安心です。
1日分を7倍するのは、患者さんが毎回計算するためではない
毎日使っている基礎インスリンから変更する場合は、
これまでの1日量×7
が、週1回の基本量になります。
たとえば、毎日20単位なら、
20単位×7=140単位
です。
ただし、これは医師が切り替え時に計算するための考え方です。
患者さんが毎回、自分で計算するという意味ではありません。
処方された週1回の単位数を、そのままペンに設定します。
毎日8単位だった人が、8×7で56単位になったとしても、50単位にするか60単位にするかを自分で決めるものではありません。
10単位刻みになるため、実際の量は主治医が決めます。
初回の1.5倍は、必ずではない
アウィクリへ切り替えるとき、2型糖尿病では、血糖値が上がるのを防ぐために、初回だけ通常量の1.5倍にする方法があります。
通常量が140単位なら、
1回目:210単位
2回目:140単位
3回目以降:血糖を見ながら調整
という形です。
ただし、初回1.5倍は全員に必須ではありません。
高齢の方、低血糖を起こしやすい方、食事が不規則な方、腎機能が低下している方、HbA1cが低めの方などでは、1.5倍にしない方法も考えられます。
特に独居の高齢者では、血糖値だけでなく、打ち間違いの可能性や、低血糖が起きたときに助けを呼べるかどうかも含めて判断することが大切です。
「高齢だから必ず1.5倍にしない」ということではありません。
ただ、1.5倍を機械的に行うのではなく、その人にとって本当に必要かを考える、という意味です。
1.5倍にした場合も、2回目からは通常量に戻します。
初回210単位なら、次は140単位です。
210単位を毎週続けるわけではありません。
ペンの単位が一番ややこしい
アウィクリは高濃度のインスリンです。
でも、濃度を計算し直す必要はありません。
医師から140単位と指示されたら、ペンの表示を140にします。
「700単位/mLだから7で割る」
「1クリック10単位だからクリック数を計算する」
ということはしません。
表示窓の数字を見て、指示された単位数をそのまま設定します。
アウィクリは、1クリックが10単位です。
普通のインスリンペンのように、1クリック=1単位ではありません。
また、ペンには総量300単位のものと、総量700単位のものがあります。
これは1本に入っている薬の総量の違いで、投与する単位数を計算し直すための数字ではありません。
300と700という数字があるだけでも、かなり混乱しやすいと思います。
PMDAの資料でも、アウィクリを毎日打ってしまう、指示された単位数より多く設定してしまう、単位の読み方を間違える、といった投薬ミスが重要な注意点として扱われています。
空打ちはどうするのか
空打ちは、注射の前に毎回行います。
針先まで薬液がきちんと届いているかを確認するための操作です。
手順は、
新しい針を付ける
ペンの薬の名前を確認する
ダイヤルを10単位に合わせる
針を上に向けて、空中に押し出す
針先から薬液が出ることを確認する
そのあと、医師から指示された単位数に合わせる
皮下注射する
表示が0になるまで押し、6秒以上待つ
針を外す
という流れです。
アウィクリでは、空打ち10単位は1クリックです。
ただし、この10単位を実際の投与量に足したり引いたりするわけではありません。
140単位の指示なら、
空打ちを10単位行う
↓
そのあと140単位に設定する
という意味です。
空打ちをして薬液が出ない場合や、ペンの操作がおかしい場合は、自己判断で何度も打たず、医療機関や薬剤師に確認します。
打ち忘れたとき
打ち忘れに気づいたら、気づいた時点で注射します。
ただし、次の注射までは4日以上あけます。
その後は、実際に打った曜日を新しい定期曜日にします。
たとえば、月曜日を忘れて水曜日に打った場合は、次から水曜日に打ちます。
2回分をまとめて打つことはしません。
曜日を変更したい場合も、前回の注射から4日以上あけます。
低血糖は数日後にも注意する
アウィクリは作用が長い薬なので、低血糖が起きた場合に、長引いたり繰り返したりする可能性があります。
注射した当日だけでなく、2〜4日後にも注意が必要です。
冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、ふらつき、ぼんやりする感じなどがあれば、低血糖の可能性があります。
低血糖になったときの対応は、あらかじめ主治医から教えてもらった方法に従います。
意識がもうろうとしている場合は、無理に飲食させず、救急車を呼びます。
アウィクリを使うなら、こういう形が安心だと思う
アウィクリは、週1回にできるという点では、とても便利な薬です。
毎日注射することが難しい人や、在宅医療を受けている人、家族や訪問看護師が週1回確認できる人には、治療を続けやすくする選択肢になると思います。
一方で、本人が単位を読み間違えやすい、打ったかどうか分からなくなる、低血糖時に一人で対応できない、という場合は、週1回にすることだけを目標にしないほうがよいと思います。
便利さだけでなく、安全に続けられるかどうかが大切です。
私なら、使う前に、
注射する曜日を決める
指示された週1回の単位数を紙に書く
初回と2回目の量を分けて書く
毎回、ペンの表示窓を確認する
空打ちは10単位、1クリックと覚える
打ったらカレンダーに記録する
高齢者や独居の人は、家族や訪問看護師にも確認してもらう
という形にします。
週1回はありがたい。
でも、ややこしいものはややこしい。
300と700、1クリック10単位、初回だけ1.5倍という仕組みは、患者さんにとっては間違いの元になりやすい部分です。
メーカーには、便利さだけでなく、「誰が使っても間違えにくいこと」も、もっと意識してほしいと思います。
それでも、毎日の注射が負担だった人にとって、週1回という選択肢に意味があるのは確かです。
アウィクリは、週1回だから簡単なのではなく、支えてくれる人や確認方法まで含めて使えば、毎日の負担を減らせる薬。
今のところは、そんなふうに考えて使っていこうかなと思っています。
※この記事は自分用の備忘録としてまとめたものです。実際の投与量、初回1.5倍にするかどうか、空打ちや注射方法については、必ず主治医・看護師・薬剤師の説明を確認してください。
参考:
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