2025/08/20

健康講座910 🔷SGLT2阻害薬によるDKAの特徴と注意点を徹底解説! 〜血糖値が高くないケトアシドーシスに要注意〜

 皆さんこんにちは。

今日は「SGLT2阻害薬を使用している患者さんにおけるケトアシドーシス(DKA)の臨床的特徴と予後」について、2025年7月に発表された最新のシステマティックレビュー・メタアナリシスを、専門用語をやさしく解説しながらご紹介します。



🔍 まずは基本をおさらい

✅ SGLT2阻害薬とは?

糖尿病治療薬の一種で、腎臓でのブドウ糖の再吸収を防ぎ、尿から糖を排出させて血糖を下げる薬です。商品名にはジャディアンス(エンパグリフロジン)、**フォシーガ(ダパグリフロジン)**などがあります。

⚠️ DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とは?

体のインスリンが不足したとき、ブドウ糖が使えず、脂肪をエネルギーにしようとします。その結果、「ケトン体」が大量にできて、血液が酸性になる状態。命に関わることもある緊急状態です。


🧪 研究の目的は?

SGLT2阻害薬を使っている人がDKAになると、**血糖値がそれほど高くない「ユージリセミックDKA」**になることが多く、見逃されやすいのが問題です。

この研究では、
「SGLT2阻害薬を使っている人のDKAって、他の人と比べてどんな特徴があるのか?」
「治療結果に違いはあるのか?」
を明らかにするため、過去の9つの研究をまとめて分析しました。


📊 分析のポイント

  • 文献はPubMed、Scopus、Web of Scienceから2025年2月までに収集

  • 「SGLT2阻害薬を使っている人 vs 使っていない人」でDKAの特徴や予後を比較

  • **オッズ比(OR)平均差(MD)**を使って統計的に比較


🧾 主な結果まとめ

① SGLT2阻害薬ユーザーのDKAはこんな傾向がある!

比較項目 SGLT2iユーザー(DKA) 非SGLT2iユーザー(DKA) コメント
DKAの既往 少ない 多い 新規発症が多い傾向
インスリン使用歴 少ない 多い 2型糖尿病の経口薬のみ使用の人が多い?
血糖値 低い 高い ユージリセミックDKAが多い証拠
HbA1c(平均血糖の指標) 低い 高い 血糖コントロールは悪くない場合でも発症
クレアチニン(腎機能) 低い やや高い 腎障害の合併が少ない傾向?
乳酸値 低い 高い 乳酸アシドーシスとの合併が少ない?

② 予後(入院や死亡)には違いはあった?

指標 結果
入院期間 差なし
ICU入室率 差なし
院内死亡率 差なし

👉 つまり、「命に関わる重症度」や「治療にかかる時間」は、使っているかどうかで大きな違いはなかったという結果です。


💡 この研究から分かること(ポイント3つ)

1. 見た目が違うDKAに注意!

SGLT2阻害薬使用中のDKAは、高血糖を伴わない場合があり、「普通のDKAと違う」と見逃されやすい。症状(吐き気、倦怠感、呼吸)から疑う力が必要です。

2. HbA1cや血糖値が良好でも油断禁物

「血糖コントロールが良好=安心」ではない。特に絶食や手術、体調不良などのトリガーがある場合は、SGLT2阻害薬を中止する判断も重要です。

3. 死亡率は高くないが油断は禁物

予後には差がなかったとはいえ、DKA自体は重篤な病態。早期発見と対応が何よりも大切。


🧑‍⚕️ 実臨床でどう活かす?

  • SGLT2阻害薬を使っている患者さんが「なんとなくだるい・吐き気・呼吸が早い」などの症状を訴えたら、血糖値が高くなくてもケトン体やpHをチェック

  • 食事がとれない・発熱・手術前後などでは一時的に休薬も検討する

  • スタッフ間で「ユージリセミックDKA」という概念を共有しておくと、見逃しが減る


📝 最後にひとこと

この論文は、「SGLT2阻害薬の副作用としてのDKA」は“珍しいけれど見逃しやすい”という点に光を当てており、現場でも役立つ情報がつまっています。

血糖がそこまで高くなくても、「ケトアシドーシスかも」とピンとくる感覚を持っていることが、患者さんの命を守るカギになるかもしれません。



2025/08/19

健康講座909 🩺GLP-1受容体作動薬は腎臓に優しい? ~SGLT2阻害薬やDPP-4阻害薬など他の糖尿病薬と比べた最新研究をやさしく解説~

 



皆さんこんにちは

今日は、2型糖尿病の方に使われる治療薬のひとつ「GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)」が、腎臓にどのような影響を与えるのか、という最新の研究結果についてご紹介します。

この研究は、単に「薬で血糖値が下がるか」だけではなく、「その薬を使ったことで腎臓病になりにくいのか?進行を遅らせられるのか?」を、実際の医療現場(病院やクリニック)でのデータを使って調べたものです。

🔷そもそもGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)ってなに?

GLP-1というのは、私たちの体の中で小腸から出るホルモンの名前です。食事をすると、このホルモンが出て、膵臓に「インスリンを出してね」と命令して血糖値を下げる働きをします。

このGLP-1の働きを薬で強化したのが「GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)」です。つまり「体にやさしく血糖を下げてくれるホルモンをマネした薬」と思ってください。

有名なものだと、セマグルチド(オゼンピック、リベルサス)やデュラグルチド(トルリシティ)などがあります。

さらに最近の研究では、心臓や腎臓を守る効果があるかもしれないと注目されているんです。


🔷研究の目的:現場で本当に効果あるのか?

これまでの研究は「臨床試験(=厳密に条件を決めて行う研究)」が中心でした。でも、現実の医療の現場では、患者さんの年齢も生活習慣も薬の使い方もバラバラ。

この論文では、実際の医療現場のデータ(いわゆる「リアルワールドデータ」)をもとに、「GLP-1RAを使っている人と、他の糖尿病の薬を使っている人とで、腎臓の病気になりやすさはどう違うのか?」を比べました。


🔷どうやって調べたの?

✅ データの探し方:

  • 2005年4月〜2025年1月までに発表された論文の中から、

  • 「GLP-1RAを使った人」と「他の糖尿病薬を使った人」を比べて、

  • 腎臓に関するデータがちゃんと載っているものを選びました。

具体的には、以下の4つの薬と比較しています:

比較対象の薬の種類 解説
SGLT2阻害薬(SGLT2i) 尿に糖を出すタイプの薬。心臓や腎臓を守る作用があるとされていて、最近とても注目されています。
DPP-4阻害薬(DPP4i) 日本ではよく使われるタイプの薬(例:ジャヌビア、グラクティブ)。副作用が少なく使いやすいです。
スルホニル尿素薬(SU薬) 昔からある薬で、インスリンの分泌を促進します(例:アマリール)。
基礎インスリン(Basal insulin) 1日1回、持続的に効くタイプのインスリン注射。

🔷調べた「腎臓の悪化」の指標は?

腎臓がどれくらい悪くなったかを次のような項目で判断しています:

腎臓の悪化の項目 わかりやすい説明
アルブミン尿の悪化 尿にタンパク質(アルブミン)が増えるのは、腎臓のフィルターが壊れてきたサイン。
eGFRの40%または50%低下 腎臓の働きがどれくらい落ちたかを見る「血液検査の数値」。eGFRが下がるほど悪い状態。
急性腎障害(AKI) 一時的に腎臓が悪化する、風邪や脱水などでも起こりうる状態。
腎臓が原因で入院したか 重症化して入院することがあったかどうか。
末期腎不全(ESKD) 透析が必要になるような深刻な腎不全の状態。

🔷結果:GLP-1RAは他の薬と比べてどうだった?

① SGLT2阻害薬との比較(=最新で強力な薬)

  • GLP-1RAを使った人の方が、SGLT2阻害薬を使った人に比べて、

    • AKI(急性腎障害):12%リスクが高い

    • 腎臓関連で入院:66%リスクが高い

    • eGFRが40%以上低下:40%リスクが高い

  • ただし、eGFRの50%以上低下や末期腎不全では差がありませんでした。

➡︎ 結論:SGLT2阻害薬の方が腎臓保護に強い。


② DPP-4阻害薬との比較(=日本でよく使う薬)

  • GLP-1RAを使った人の方が、

    • eGFRが50%以上低下:16%リスクが低い

    • 腎臓で入院:27%リスクが低い

    • 末期腎不全:30%リスクが低い

➡︎ 結論:GLP-1RAの方が明らかに腎臓を守る効果がある。


③ スルホニル尿素薬との比較

  • GLP-1RAの方が、腎臓に良い影響を示すデータが多数。

➡︎ 結論:昔ながらのSU薬よりも、GLP-1RAの方が腎臓にやさしい。


④ 基礎インスリンとの比較

  • GLP-1RAを使った方が「アルブミン尿(タンパク尿)の悪化」が少ない。

  • 末期腎不全については、はっきりした効果は見られませんでした。

➡︎ 結論:基礎インスリンよりは腎臓にやさしい可能性がある。


🔷全体のまとめ

比較対象 結論(腎臓への影響)
SGLT2阻害薬 GLP-1RAよりも腎臓保護作用が強い
DPP-4阻害薬 GLP-1RAの方が腎臓にやさしい
SU薬 GLP-1RAの方が有利
基礎インスリン GLP-1RAの方が良い可能性

🔶この研究の意義

この研究は「現場のデータ=リアルワールドデータ」を使って、約160万人以上のデータから比較しています。臨床試験だけでなく、実際の医療現場での傾向も見えるのが大きなポイントです。

✅ SGLT2阻害薬とGLP-1RAを併用することで、さらに効果が出る可能性もあります。

✅ DPP-4阻害薬からGLP-1RAへ切り替えることで、腎臓の悪化リスクを減らせるかもしれません。


🔷おわりに:わたしたちにできること

腎臓を守ることは、糖尿病の方にとってとても重要です。
どの薬が自分にとってベストなのかは、年齢や体の状態、他の病気によっても異なります。

大切なのは「主治医と相談して、自分に合った薬を選ぶこと」です。

今回の研究は、医師が薬を選ぶときの参考になるだけでなく、患者さん自身が「なぜこの薬を使っているのか?」を理解するうえでも、とても役立ちます。

これからも、こういった「大事な情報」をわかりやすくお届けしていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。



2025/08/18

健康講座908 「チルゼパチドは糖尿病予防にも効果あり? 肥満者におけるインスリン感受性とβ細胞機能の改善効果を徹底解説 ―SURMOUNT-1試験事後解析より―」

 

皆さんこんにちは。
今日は、2025年7月22日に『Diabetes Care』誌に掲載された最新の論文
「Tirzepatideによる治療と、前糖尿病または正常血糖の過体重・肥満者におけるβ細胞機能およびインスリン感受性の変化:SURMOUNT-1試験の事後解析」
について、わかりやすく丁寧に解説していきます。専門的な内容もありますが、専門用語にはしっかりと解説をつけますので、高校生から医療関係者の方まで幅広く理解していただける内容を目指します。


🧪この研究の目的は?

この研究の主な目的は、

糖尿病ではないが、肥満または過体重で前糖尿病もしくは正常血糖の人に対して、チルゼパチド(tirzepatide)を72週間投与すると、インスリン感受性や膵β細胞の機能にどんな影響を与えるのか?

という点を詳しく調べることです。

✔️背景:チルゼパチドとは?

チルゼパチド(tirzepatide)は、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(胃抑制ポリペプチド)という2つのインクレチンホルモンの受容体を同時に刺激する「デュアルインクレチン作動薬」です。
糖尿病治療薬として知られていますが、体重減少効果も非常に高いため、肥満治療薬としても注目されています。


🔬研究デザイン:SURMOUNT-1試験とは?

この研究は、「SURMOUNT-1」という大規模な無作為化比較試験のデータをもとにした事後解析(post hoc analysis)です。

📌対象者:

  • BMI 27以上(つまり肥満もしくは過体重)

  • 糖尿病ではない

    • 正常血糖群

    • 前糖尿病群(糖尿病予備軍)

合計 2,539人

🧪治療群:

  • チルゼパチド群(5mg、10mg、15mgのいずれか)

  • プラセボ群(偽薬)

治療期間は 72週間(約1年半)


📈評価した指標:何を見たの?

🧬主に以下の2点に注目しています:

  1. インスリン感受性(insulin sensitivity)

    • インスリンが血糖を下げる効果がどれだけ保たれているか

  2. 膵β細胞機能(β-cell function)

    • 膵臓がインスリンを適切に分泌できているかどうか

これらは、**経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)**を使って評価されました。


✅結果:チルゼパチドの効果は?

🌟主な結論:

チルゼパチドは、体重減少効果に加えて
インスリン感受性と膵β細胞機能の両方を改善することがわかりました。

ここで重要なのは:

  • インスリン感受性の改善 → 体重減少と関連

  • β細胞機能の改善 → チルゼパチド自体の効果によるものが大きい

🧾補足:

  • 前糖尿病群でも、正常血糖群でも効果は認められました。

  • 特にチルゼパチド投与によって直接的にβ細胞の働きが良くなるという点は重要です。


🧠専門用語の解説

🔸前糖尿病(prediabetes)

血糖値が正常よりは高いけれど、糖尿病と診断されるほどではない状態。放置すると糖尿病になるリスクが高い。

🔸膵β細胞(pancreatic β-cells)

膵臓にある細胞で、血糖を下げるホルモン「インスリン」を分泌する細胞。

🔸インスリン感受性(insulin sensitivity)

インスリンが細胞に作用して血糖を下げる効果の強さ。感受性が低い=インスリン抵抗性がある=糖尿病のリスクが高い。


📊図解(要約イラスト)

チルゼパチド投与でのメカニズム図👇

【チルゼパチド治療】
   ↓
①体重減少 → インスリン感受性の改善
②GLP-1+GIP刺激 → β細胞機能の直接改善
   ↓
★血糖のコントロール改善
★糖尿病の予防

🤔なぜこの研究が重要なのか?

今までは「チルゼパチド=体重減少薬」としての印象が強かったのですが、本研究により

  • インスリン感受性の改善は体重減少によるもの

  • β細胞機能の改善はチルゼパチドそのものの作用による

という別々のメカニズムで糖代謝を改善していることが明らかになりました。

つまり、チルゼパチドは単なる「痩せ薬」ではなく、糖尿病予防薬としてのポテンシャルも高いことが示されたのです。


🧭将来的な臨床応用の可能性

  • 前糖尿病の人に早期介入

  • 糖尿病になる前の段階でβ細胞を保護

  • 生活習慣介入が難しい人への補完的治療

という形で、糖尿病の発症予防薬としての道も開かれる可能性があります。


📝まとめ

  • チルゼパチドは、糖尿病のない肥満者においても
     ✔ 体重を減らし
     ✔ インスリンの効きを良くし
     ✔ 膵臓のインスリン分泌能力を高める
     ことが確認されました。

  • 特にβ細胞機能への直接的な作用は、単なるダイエット薬ではないことを示しています。

  • 今後は、糖尿病予防を目的としたチルゼパチドの活用が期待されます。



2025/08/17

健康講座907 「脳は糖を使わない?神経細胞のサバイバル術」

 



皆さんこんにちは。

今日は、最新の神経科学の研究から、私たちの脳が「エネルギーをどうやって使い、守っているのか?」という、とてもおもしろいテーマをお届けします。

この研究では、「神経細胞(ニューロン)」が、なぜ自らグルコース(ブドウ糖)をあまり使わないのか?なぜそのかわりに、アストロサイトという別の細胞が作った“乳酸”や“ケトン体”をエネルギーとして利用しているのか?という、脳の奥深い仕組みが明らかになりました。

これらの仕組みを理解すると、「なぜ認知症になるのか?」「なぜ糖尿病と脳の働きが関係するのか?」なども見えてきます。

では、わかりやすく一つずつ説明していきましょう。


🔵まず登場人物を整理しよう!

  • ニューロン(神経細胞)
     脳の情報を処理するメインの細胞。とてもエネルギーを使うけれど、実はエネルギー源であるグルコース(ブドウ糖)をあまり使っていない。

  • アストロサイト(星状膠細胞)
     ニューロンのサポート役。グルコースを使って“乳酸”や“ケトン体”というエネルギーをつくり、ニューロンに供給している。

  • ミトコンドリア
     細胞の“発電所”。エネルギー(ATP)を作り出す場所。でも古くなるとサビついて、細胞に悪さをする。

  • NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
     体内のエネルギー産生や、細胞の修復、老化防止に関わるとても大切な物質。グルコースを分解する時に消費される。

  • ミトファジー
     サビついたミトコンドリアを分解・掃除するシステム。細胞の健康を保つ鍵。


🔶 なぜニューロンは「グルコース」を使わないのか?

私たちは、通常エネルギーをつくるために「グルコース」を使っています。たとえば筋肉や肝臓の細胞などは、グルコースをエネルギーに変えて動きます。

でも驚くことに、ニューロン(神経細胞)は、グルコースをあまり使いません。

「えっ?脳ってたくさんエネルギーが必要なんじゃないの?」と思いますよね。実際その通りで、脳は体全体のエネルギーの約20%を消費しているといわれています。

それなのに、ニューロンは“直接”グルコースをエネルギーにせず、アストロサイトが作った乳酸やケトン体を使っているのです。


🧠 脳の「エネルギー分業制」ってどういうこと?

ここが本研究の面白いポイントです。

  • アストロサイト:たくさんグルコースを取り込み、乳酸やケトン体を作ってニューロンに渡す

  • ニューロン:もらった乳酸・ケトン体でATPを作る

  • 余ったグルコースは「抗酸化」や「細胞を守る役割」に使う

つまり、グルコースは「燃料」ではなく「守りの道具」として使われているんです。

この仕組みにより、ニューロンは酸化ストレス(サビ)から自分を守り、長く元気でいられるわけです。


🔬 NAD⁺って何?なぜそんなに大切なの?

グルコースを分解する「解糖系」では、NAD⁺という物質を消費します。

このNAD⁺、実はとんでもなく重要な存在で、

  • ミトコンドリアの掃除(ミトファジー)

  • DNAの修復

  • 長寿遺伝子「サーチュイン」の活性化

などに使われます。

つまり、NAD⁺がなくなると細胞は老化し、ダメージに弱くなるのです。

だからニューロンは、自分のNAD⁺を無駄に使わないよう、グルコースを解糖系で使わず、温存しているのです。


🔥 グルコースを使いすぎるとどうなる?

研究では、グルコースを強制的にたくさん使わせた「遺伝子改変マウス」が使われました。

このマウスは、神経細胞に「Pfkfb3(グルコース代謝を促進する酵素)」を強く発現させたもので、通常よりもグルコースをエネルギー源として使うように設定されています。

結果はどうだったでしょう?

  • ミトコンドリアが傷つき、NAD⁺が減ってしまう

  • 酸化ストレスが増加

  • 記憶力や認知機能が低下

  • 肥満や代謝異常が起こる(=メタボ状態)

つまり、「神経細胞にグルコースを使わせると、逆に壊れてしまう」という結果になったのです。


💊 ではどうすれば元に戻るのか?

この研究では、NAD⁺の材料である「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」を投与することで、次のような効果が見られました。

  • 認知機能が回復

  • メタボが改善

  • ミトコンドリアの掃除(ミトファジー)が復活

つまり、NAD⁺レベルを回復させることが、脳と全身の健康を守るカギになるということが分かったのです。


🧽 ミトファジーとは?掃除をサボるとどうなる?

ミトファジーとは、壊れたミトコンドリアをリサイクルして、細胞をキレイに保つ「細胞の掃除システム」です。

これがうまくいかないと、

  • 酸化ストレスが増える

  • エネルギーが作れない

  • 細胞が炎症を起こす

  • 老化や認知症が進行する

といった、まさに“病気の根本”が起こってしまいます。

そして、ミトファジーの働きにはNAD⁺が必要。つまり、グルコースを使いすぎてNAD⁺が減ると、この掃除ができなくなってしまうのです。


🔁 アストロサイトとの協力プレー「乳酸シャトル」「ケトンシャトル」

ここまで出てきた「乳酸」と「ケトン体」は、アストロサイトがグルコースや脂肪酸から作って、ニューロンに渡してくれるエネルギーです。

  • 乳酸シャトル:アストロサイトが乳酸を放出 → ニューロンが吸収してエネルギーに

  • ケトンシャトル:アストロサイトが脂肪酸を分解 → ケトン体を生成 → ニューロンが使う

このように、脳内では「別の細胞からもらったエネルギーを使う」チームプレーが行われているのです。


🌐 ここから見えてくる未来の治療法

この研究から導かれるヒントはたくさんあります。

  • 認知症、糖尿病、うつ病などの「脳と代謝の病気」は、エネルギーの使い方の狂いから始まるかもしれない

  • NAD⁺を守ることは、老化を遅らせるかもしれない

  • 「脳にいい栄養」「NAD⁺を守るサプリ」は、ただの流行ではなく、科学的根拠がある


🌟 最後にまとめると…

✅ 神経細胞はグルコースを自分ではあまり使わず、アストロサイトにエネルギー作りを任せている
✅ その理由は、NAD⁺を守ってミトコンドリアをキレイに保つため
✅ NAD⁺が減ると、ミトファジーができなくなり、脳も体も不調になる
✅ NAD⁺を補うNMNや、乳酸・ケトン体をうまく使う仕組みが注目されている
✅ 脳と代謝のバランスを保つことが、認知症や生活習慣病の予防・治療に大切になる


このように、私たちの脳は「ただエネルギーを作る」だけではなく、「どう守るか」「どう無駄遣いしないか」という極めて賢い戦略を取っているのです。

健康の鍵は、“脳のエネルギー管理術”にあるのかもしれませんね。


2025/08/16

健康講座906 「腸内細菌が食欲を操る?工業化された食事が引き起こす“食べすぎ”の正体とは」― マイクロバイオーム・腸・脳軸から読み解く最新研究

 皆さんこんにちは。

今回は、2025年7月17日に発表された最新のレビュー論文「Industrialized diets modulate host eating behavior via the microbiome–gut–brain axis(工業化された食事は腸内細菌叢―腸―脳軸を介して宿主の摂食行動を調節する)」について、皆さんにわかりやすく、やさしく、丁寧に解説していきたいと思います。

腸内細菌や脳と食事の関係については、ここ数年で急速に注目を集めており、「腸は第二の脳」とも呼ばれるほどです。この論文は、特に「工業化された食事(industrialized diet)」、つまり私たちが日常的に摂っている加工食品が中心の食生活が、どのように腸内細菌と脳に影響を与え、食欲や満腹感、さらには過食などの異常行動を引き起こすのかを丁寧に整理しています。



【1】腸内細菌と脳の関係 ―「マイクロバイオーム―腸―脳軸(microbiome–gut–brain axis)」とは?

まず、腸内には数百兆個の微生物(主に細菌)が生息しており、これをまとめて「腸内マイクロバイオーム(gut microbiome)」と呼びます。この腸内細菌たちは単なる“消化の助け”にとどまらず、私たちの行動や感情、さらには「食べたいもの」や「満腹感」にまで影響を及ぼすことがわかってきました。

この腸内細菌と脳が相互にやり取りをしているシステムを「腸―脳軸(gut–brain axis)」、さらに腸内細菌まで含めたものを「マイクロバイオーム―腸―脳軸」といいます。

この軸は以下のような方法で相互にコミュニケーションを取っています:

  • 神経系:迷走神経を通して腸の状態が脳に伝わる。

  • 内分泌系(ホルモン):腸内でGLP-1、PYY、グレリンなどのホルモンが分泌され、満腹感や空腹感を脳に伝える。

  • 免疫系:腸内で起こる炎症や免疫反応が脳の状態や行動に影響する。


【2】食事の質と腸内細菌の関係 ― なぜ「工業化された食事」が問題なのか?

「工業化された食事(industrialized diet)」とは、以下のような特徴を持つ現代の食生活を指します:

  • 高脂肪・高糖質

  • 食物繊維が少ない

  • 加工食品が多く、添加物や保存料を含む

  • 栄養バランスが偏っている

このような食事を続けていると、腸内細菌のバランスが崩れ(腸内フローラの「ディスバイオーシス(dysbiosis)」)、悪玉菌が増えたり、多様性が失われたりします。

結果として以下のような現象が起こります:

  • 炎症の促進:腸のバリア機能が壊れ、細菌由来の毒素(LPSなど)が血中に漏れ出し、全身炎症が起こる。

  • 満腹感の低下:腸内細菌が満腹に関与するホルモンの分泌を妨げる。

  • 報酬系の活性化:ドーパミン系を過剰に刺激し、「もっと食べたい」という強い欲求が生まれる。

こうした影響は「過食」「依存的な食行動」「肥満」などを引き起こし、最終的には糖尿病や心血管疾患などのメタボリック症候群へとつながっていきます。


【3】腸内細菌が作る「代謝物(metabolites)」の力

腸内細菌は、私たちが食べたものを発酵・分解し、さまざまな「代謝物(metabolites)」を作ります。

これらの代謝物は、腸の細胞や迷走神経、さらには脳にまで影響を与えます。

代表的な代謝物:

代謝物名 働き
短鎖脂肪酸(SCFAs:酢酸・酪酸・プロピオン酸) 腸のバリアを強化、満腹ホルモンの促進、抗炎症作用
トリプトファン代謝産物(インドールなど) セロトニン分泌の調整、気分や感情の調節
二次胆汁酸 脂肪代謝やホルモン分泌の調整

特に短鎖脂肪酸は重要で、食物繊維を豊富に含む食事をとることで腸内細菌がこれを生成し、体全体に良い影響をもたらします。


【4】どうして「食べすぎてしまう」のか? ― マイクロバイオームからの影響

現代人の多くが悩む「つい食べ過ぎてしまう」「お腹いっぱいなのにスイーツが食べたくなる」といった行動も、腸内細菌が関係しているかもしれません。

  • 高脂肪・高糖質の食事 → 腸内細菌が報酬系を刺激する代謝物を作りやすくなる

  • 満腹ホルモン(GLP-1やPYY)が減少 → 満腹感が感じにくくなる

  • 一部の細菌は「自分に有利なエサ(脂質や糖質)」を宿主に欲しがらせる可能性がある

つまり、「私が食べたくて食べている」のではなく、「腸内細菌が欲しがっている」のかもしれない、ということです。


【5】論文の結論:これからの研究と私たちへの影響

本論文の著者たちは次のように提案しています:

  • 工業化された食生活は、腸内細菌を介して私たちの食欲や食行動を変えてしまう。

  • この変化は、神経・ホルモン・免疫といった複数の経路で脳に影響を与え、悪循環を生み出す。

  • しかし、これを理解することで、過食や肥満、摂食障害などの予防や治療につながる可能性がある。

特に重要なのは、「腸内細菌を整えること」が食行動やメンタルヘルスを整える大きな鍵になり得るという点です。


【6】私たちができること:腸内環境を整える食生活とは?

日々の食事で以下のことを意識すると良いとされています:

✅ 食物繊維を意識して摂る(野菜・果物・全粒穀物・海藻類)

✅ 発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチ・味噌など)を取り入れる

✅ 加工食品・砂糖・揚げ物・人工甘味料の摂取を控える

✅ よく噛んで食べ、満腹感を感じる時間を確保する

✅ 規則正しい生活と適度な運動


【まとめ】

  • 工業化された食事は腸内細菌を変化させ、満腹感や食欲に影響を与えます。

  • 腸内細菌が作る代謝物が、神経・ホルモン・免疫系を通じて脳に信号を送り、私たちの「食べたい」「満腹」「もっと欲しい」といった感情や行動をコントロールしている可能性があります。

  • 私たちが健康的な食生活を選ぶことは、単なる栄養補給にとどまらず、「脳と心を守る行動」でもあるのです。



2025/08/15

健康講座 905 「食事を抜くと低血糖になる?—空腹時の血糖値管理と糖新生のメカニズム」

 

皆さん、こんにちは!小川糖尿病内科クリニックです

今日は、"食事を抜くと低血糖になる"という誤解についてお話しします。糖尿病の管理をする上で、この誤解はよく見られるものですが、実際のところはどうでしょうか?科学的な根拠に基づいて、分かりやすく解説していきます。



【目次】

  1. 低血糖とは何か?
  2. 空腹時の血糖値の仕組み
  3. 糖新生のメカニズム
  4. 空腹時の推奨食事選択
  5. 結論
  6. 参考文献

1. 低血糖とは何か?

低血糖とは、血糖値が通常の範囲よりも低くなる状態を指します。一般的には、血糖値が70 mg/dL(3.9 mmol/L)以下になると、低血糖と診断されます【1】。低血糖は糖尿病治療の一環として起こることがあり、特にインスリンや血糖降下薬を使用している人に多く見られます。しかし、食事を抜くことで低血糖が必ず起こるというわけではありません。


2. 空腹時の血糖値の仕組み

空腹時に体内で何が起こるのでしょうか?実は、私たちの体は非常に優れたシステムを持っており、食事を摂らなくても血糖値を一定に保つ機能があります。これには主に糖新生というプロセスが関わっています。


3. 糖新生のメカニズム

糖新生は、体が空腹時に血糖値を維持するためのプロセスです。糖新生がどのように行われるのか、順を追って説明しましょう。

  1. グリコーゲンからの糖生成: 空腹時、肝臓に蓄えられたグリコーゲンが分解されて糖に変わり、血糖値を維持します【2】。

  2. 脂肪からの糖生成: グリコーゲンの貯蔵が減少すると、次に脂肪がエネルギー源として使われます。脂肪はケトン体に変わり、これが脳や筋肉にエネルギーを供給します【3】。

  3. 蛋白質からの糖生成: 最後に、必要に応じて筋肉などの蛋白質が分解されて糖新生に利用されます。これは体が極限状態にある場合に起こるプロセスで、通常の生活ではここまで行くことは稀です【4】。


4. 空腹時の推奨食事選択

空腹時に血糖値を急上昇させず、満腹感を得られる食事の選択肢として、以下のようなものがあります。

  • ゆで卵: 良質なたんぱく質と脂肪を含み、血糖値を急激に上げることなく、持続的なエネルギー供給が可能です【5】。

  • ナッツ: 健康的な脂肪が豊富で、少量で満腹感が得られます。ナッツはまた、血糖値の急上昇を防ぎ、長時間にわたってエネルギーを提供します【6】。

  • サラダチキン: 低脂肪で高たんぱく質な選択肢として優れています。特に糖質が少ないため、血糖値を安定させたい場合におすすめです【7】。


5. 結論

食事を抜いたからといって必ずしも低血糖になるわけではなく、体は空腹時にも血糖値を維持するためのシステムを備えています。糖新生のプロセスを活性化させることで、食事を抜いた場合でも血糖値を安定させることが可能です。

空腹時には、血糖値を急激に上げない食事を選び、満腹感を得ることが健康的な生活を維持する鍵となります。ゆで卵やナッツ、サラダチキンなどを取り入れることで、血糖値の急上昇を避けつつ、エネルギーをしっかりと補給しましょう。


6. 参考文献

  1. American Diabetes Association. (2020). Hypoglycemia (Low Blood Glucose). Retrieved from https://www.diabetes.org/diabetes/medication-management/blood-glucose-testing-and-control/hypoglycemia
  2. Cryer, P. E. (2007). Hypoglycemia, functional brain failure, and brain death. The Journal of Clinical Investigation, 117(4), 868-870.
  3. Cahill, G. F. (2006). Fuel metabolism in starvation. Annual Review of Nutrition, 26, 1-22.
  4. Wolfe, R. R. (2006). The underappreciated role of muscle in health and disease. The American Journal of Clinical Nutrition, 84(3), 475-482.
  5. Pereira, M. A., et al. (2004). Egg consumption, cholesterol, and heart disease risk: a review of the evidence. The American Journal of Clinical Nutrition, 80(5), 1079-1087.
  6. Sabaté, J., & Ang, Y. (2009). Nuts and health outcomes: new epidemiologic evidence. The American Journal of Clinical Nutrition, 89(5), 1643S-1648S.
  7. Li, Y., et al. (2014). Chicken intake and risk of coronary heart disease: A meta-analysis of prospective cohort studies. The American Journal of Clinical Nutrition, 100(3), 722-728.

2025/08/14

健康講座904 「糖尿病治療の新時代:基礎インスリン+GLP-1RAの固定配合注射(FRC)まとめと使いどころ」

 皆さんこんにちは。

今回は、2025年7月に発表された論文
「基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の固定配合注射療法の臨床試験のまとめ」
について、難しい言葉をかみ砕いて、やさしく、シンプルに解説します。



1. どんな話の論文なの?

糖尿病の注射治療としてよく使われる「基礎インスリン」と「GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)」を、1本の注射にまとめた「固定比率配合製剤(FRC)」について、世界中で行われたランダム化比較試験(RCT)の結果を振り返り、

  • どういう人に向いているのか?

  • どんな効果や副作用があるのか?

  • 今後の治療のヒントは?

をわかりやすく整理したレビュー論文です。


2. FRCって何?

FRC(Fixed-Ratio Combination)とは、以下の2つをセットにした1日1回または週1回の注射薬です:

  • 基礎インスリン(Basal Insulin):主に空腹時血糖を下げる

  • GLP-1RA:食後の血糖値を抑える。体重減少や食欲抑制効果もある

もともと別々に使われていた薬を、1本にまとめて使いやすくしたのがFRCです。


3. 今あるFRCの種類

◆ 毎日使うタイプ

  1. IDegLira(インスリンデグルデク+リラグルチド)

  2. iGlarLixi(インスリングラルギン+リキシセナチド)

◆ 週1回使うタイプ(開発中)

  1. IcoSema(インスリンイコデク+セマグルチド)


4. FRCの効果と特徴は?

項目 基礎インスリン単独 GLP-1RA単独 FRC(2剤合体)
空腹時血糖の低下 ◎◎◎
食後血糖の低下 ◎◎◎
HbA1cの低下 ◎◎◎◎◎
低血糖のリスク ↑(やや上がる) →(あまり変わらない) →または↑(人による)
体重 ↑(太りやすい) ↓(痩せやすい) →または↓(安定または減る)

FRCは、効果が高く、副作用(体重増加や低血糖)のリスクを抑えられる可能性があります。


5. 主要な臨床試験の結果(ざっくり)

◉ IDegLira(DUAL試験)

  • 血糖コントロール(HbA1c)が大きく改善

  • 体重は増えにくい、むしろ減ることもある

  • 低血糖のリスクも抑えられる

  • 特に1日50単位以下のインスリンを使っていた人に効果的

  • ただし「GLP-1RAの量」がインスリンの量に比例しているので、肥満の人にはGLP-1の効果が足りない場合あり

◉ iGlarLixi(LixiLan試験)

  • 食後の血糖が特に朝にしっかり下がる

  • 体重は軽く減ることもある

  • 低血糖はあまり増えない

  • GLP-1RA(リキシセナチド)は短時間型で、朝食後には強いが、夕食後は効果が落ちる

  • 朝がっつり食べる人には向いているが、夜の血糖には弱い

◉ IcoSema(COMBINE試験)

  • 週1回注射できるタイプで、新しい選択肢

  • HbA1cをよく下げる+体重も減る+低血糖が少ない

  • 基礎インスリン単独やGLP-1単独よりも優れている

  • ただし効果が出るまでに数週間かかる(18週間くらい)

  • GLP-1RAの量が少なめ(0.5mg/週)で、肥満が強い人には効果が足りない可能性あり


6. FRCに向いている人・向いてない人

◎ 向いている人

  • すでに経口薬だけではコントロールできない

  • インスリンを使っているが効果が不十分な人

  • GLP-1RAを使っているがHbA1cが高い

  • 簡単な治療を希望する人(注射1本で済む)

△ 向いていない人

  • 肥満が強くGLP-1RAを高用量使いたい人

  • インスリンが1日60単位以上必要な人

  • 食事パターンが夜に炭水化物を多くとる人(iGlarLixiは夜に効きにくい)


7. 別々に注射する方がいい場合もある?

はい。FRCは便利ですが、

  • GLP-1RAの量がインスリン量に比例する

  • 必要な量を個別に調整しにくい

  • GLP-1RAの吸収が少し落ちる(毎日FRCでは11〜34%吸収が少ないことも)

などの理由で、別々に注射して個別に調整した方がよい人もいます


8. 最後に:どんな教訓が得られたか?

  • FRCは便利で効果的な選択肢だが、「万能」ではない

  • 肥満や高インスリン需要の人には向かない可能性もある

  • GLP-1RAの効果は薬の種類で大きく違う(長時間型のリラグルチド vs 短時間型のリキシセナチド)

  • 簡単に治療を開始できる点は魅力的

  • 高齢者や多剤注射中の人の「治療の簡略化」にも有用


まとめ

FRC製剤は、「基礎インスリン+GLP-1RA」を1本にまとめた注射で、
HbA1cを下げつつ、体重増加や低血糖のリスクを抑える新しい選択肢です。

  • 便利さや安全性を求める人には◎

  • ただし、効果を最大限引き出すには個別投与が必要なこともある

  • 特に「肥満」「高インスリン需要」「GLP-1の強い効果を狙いたい」人には注意が必要です。

今後の治療選択の一助となれば幸いです。



ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...