2019/11/07

健康講座139~糖尿予備軍×肥満×腎症リスク

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 糖尿病と診断されるほどではないが、血糖値が正常よりわずかに高い糖尿病予備群でも肥満があると糖尿病腎症を発症するリスクが高まる可能性があることが、大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学講師の津田昌宏氏と同大学腎臓病態内科学特任教授の石村栄治氏らの研究グループの検討で分かった。インスリン抵抗性と糸球体内圧やアルブミン尿が関連することをヒトで初めて確認した点でも注目されるという。詳細は「Diabetes Care」9月13日オンライン版に掲載された。
 
 糖尿病の重大な合併症の一つである腎症は、進行すると末期腎不全から透析導入に至るため、早期発見と早期治療が重視されている。糖尿病腎症の診断には糸球体濾過量とアルブミン尿の測定が必要とされる。しかし、これまでヒトにおいてアルブミン尿の原因とされる糸球体内圧を直接測定するのは難しく、特に2型糖尿病では高血圧や脂質代謝異常症などの糸球体内圧に影響を与える併存症が多いため、インスリン抵抗性と糸球体内圧やアルブミン尿との直接的な関連を検討することは困難であった。
 
 そこで津田氏らは今回、糖尿病と診断されておらず、正常アルブミン尿で内服歴や喫煙歴がない腎移植ドナー候補の男女54人を対象に、肥満と糖代謝異常の有無で4つの群に分けて糸球体内圧と尿中アルブミン排泄量などの検査データを比較検討し、インスリン抵抗性指数との関連性を検討した。
 
 その結果、糖尿病予備群と判定された肥満者11人では、他の3つの群に比べて糸球体内圧と尿中アルブミン排泄量がいずれも有意に高いことが分かった。また、肥満度(BMI)やインスリン抵抗性が高いほど糸球体内圧は高値であった。さらに、BMIとインスリン抵抗性、糸球体内圧はそれぞれが正常範囲内にある尿中アルブミン排泄量と関連することが明らかになった。年齢や性、血圧などで調整した解析でも同様の結果が得られたという。
 
 これらの結果について、糖尿病を発症する前の段階でも肥満があると糸球体内圧が高く、アルブミン尿が多いことが明らかになった。糖尿病予備群であっても腎機能を正確に評価し、腎症のスクリーニングを行うことが望まれる。

2019/11/06

健康講座138~運動継続のチカラ

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 定期的に運動しても思ったほど体重が減らないことはよくある。しかし、痩せなくても運動を続けていれば心臓の健康は向上し、余命も延長する可能性があることが、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのGrace Liu氏らが実施した新たな研究で示された。太っていても心肺機能が高い人は、肥満で運動しない人と比べて安静時の脈拍数や体脂肪、除脂肪体重、心機能の数値が良好だったという。研究の詳細は米国心臓協会年次集会(AHA 2018、11月10~12日、米シカゴ)で発表された。
 
 これまでの研究から、たとえ肥満であっても健康状態が良好な人は心疾患による死亡リスクが低く、余命は適正体重の人と変わらないことが示されている。今回、心疾患の診断や予防、治療の向上を目的とした長期の観察研究であるダラス心臓研究(Dallas Heart Study)のデータを用いて、肥満の有無や心肺機能の程度と脈拍数や体脂肪、心機能などの指標との関連を調べた。
 
 研究では、ダラス心臓研究の参加者2,351人を肥満の有無(BMI 30未満または30以上)および最大酸素摂取量を判定する心肺運動負荷試験に基づく心肺機能の程度(高いまたは低い)で4つの群に分けた。その結果、参加者のうち716人は肥満だが心肺機能が高く、356人は肥満で心肺機能が低いと判定された。
 
 解析の結果、性や人種、BMIなどを調整しても肥満でも心肺機能が高い人は、肥満で心肺機能が低い人に比べて脈拍数が44%低く、左室拡張末期容積で評価した心機能が37%高く、体脂肪が43%少なかったほか、BMIが37%低かった。
 
 この結果を受け、多くの人は減量のために運動を続けても、体重が減らなくなる停滞期を迎えるが、その後も運動を続ければ健康には有益であることが明らかになった。
 
 体重にばかり気を取られるのではなく、一定の運動量を保って運動を続けることが重要だと認識する必要がある。運動を続けて心肺機能を高めれば、より長く走れたり、階段を登れたりするようになる。そうすれば体重が減らなくても運動機能と心臓の健康は向上し、寿命が延びる可能性がある。
 
 運動を続けることの健康へのベネフィットの多くは除脂肪体重の増加によるものと推測される。筋肉は脂肪よりも重量があり基礎代謝を上げるほか、筋肉量を増やせば血糖値の上昇を抑えられることから糖尿病や心疾患リスクも低減する。また、肥満の人は心肺機能を高めるとよい。ほんの少し身体を動かすだけでも心血管の健康に良い影響を与えることは明らかで、体重だけが問題なのではなく運動すること自体に意味がある。

2019/11/05

健康講座137~女性の心筋梗塞女性リスク

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 心筋梗塞の発生率は、男性が女性の約3倍だが、心筋梗塞とそのリスク因子である高血圧、喫煙、糖尿病との関連は女性のほうが強いことが、英国・オックスフォード大学のElizabeth R C Millett氏らの調査で明らかとなった。

 さらに、心筋梗塞とリスク因子の関連の強さは、男女とも加齢とともに減弱するものの、女性における過剰なリスクは相対的に低下しないことも示された。研究の成果は、BMJ誌2018年11月7日号に掲載された。心筋梗塞の発生率は、若年時には女性が男性よりも低いが、加齢に伴いその差は小さくなる。以前のメタ解析において、心筋梗塞といくつかのリスク因子の関連に性差があることが示されているが、解析に含まれた試験には交絡因子調整の水準にばらつきがあり、年齢層別の性差の検討を行っていない試験も含まれたという。

英国の心血管疾患の既往のない47万人の前向きコホート研究
 研究グループは、心筋梗塞のリスク因子の性差について調査し、年齢別の変動を評価する目的で、人口ベースの前向きコホート研究を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。
 UK Biobank(2006~10年に、英国の22施設から40~69歳の50万2,628例を前向きに登録)の参加者から、心血管疾患の病歴のない47万1,998例(平均年齢:56.2歳、女性:56%)のデータを収集した。
 主要評価項目は、致死的または非致死的心筋梗塞の発症とし、心筋梗塞の6つのリスク因子(血圧、喫煙状況、糖尿病、BMI、心房細動、社会経済的地位)の評価を行った。

同じ20本の喫煙でもリスクは2倍、治療・予防策へのアクセスは男女同じに
 平均フォローアップ期間7年の間に、5,081例(女性は1,463例[28.8%])が心筋梗塞を発症した。1万人年当たりの発生率は、女性が7.76(95%信頼区間[CI]:7.37~8.16)と、男性の24.35(23.57~25.16)に比べて低かった。心筋梗塞の発生率は、1型糖尿病を除くその他すべての因子について、女性よりも男性のほうが高かった。
 男女ともに、血圧、喫煙強度、BMIの上昇および糖尿病の存在が、心筋梗塞のリスク増加と関連したが、これらの関連の強さは加齢に伴い減弱した。
 女性は男性に比べ、収縮期血圧の20mmHg上昇(男女のハザード比[HR]の比:1.09、95%CI:1.02~1.16)、血圧120~129/<80mmHg(1.83、1.33~2.52)、現喫煙(1.55、1.32~1.83)、20本以上/日の喫煙(2.01、1.57~2.57)、1型糖尿病(2.91、1.56~5.45)、2型糖尿病(1.47、1.16~1.87)が、心筋梗塞の発症と、より強く関連した。これらのHRの比はいずれも、年齢の上昇とともに低下するとのエビデンスは認められなかった(p>0.2)。
 人口の高齢化が進み、生活様式に関連するリスク因子の有病率が上昇するにしたがって、女性の心筋梗塞の発生率は、男性の発生率に近づく可能性が高いかもしれない。

2019/11/04

健康講座136~食物繊維と健康

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 ニュージーランド・オタゴ大学のAndrew Reynolds氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、食物繊維の摂取量増加および全粒穀物摂取を推奨することは、人々の健康に有益と考えられることが示された。炭水化物の質と健康との関連性を検証したこれまでのシステマティックレビューとメタ解析では、1つのマーカーを検証したものが多く、臨床アウトカムの数は限定的であった。

前向き研究の1億3,500万人年と臨床試験の約5,000例についてメタ解析
 研究グループは、炭水化物の質と健康との関連を示すマーカーの予測可能性をより正確に定量化し最も有用なマーカーを明らかにするとともに、食物繊維の推奨摂取量についてのエビデンスを確立する目的で、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。
 対象は、炭水化物の質、非感染性疾患発症率、死亡率およびリスク因子について検討した2017年4月30日までに報告された前向き研究、ならびに2018年2月28日までに報告された無作為化比較試験で、PubMed、Ovid MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索するとともに、論文を手作業で調査し特定した。慢性疾患を有する参加者について報告された前向き研究と臨床試験、および減量またはサプリメントを含む試験は除外した。

 観察研究では、食物繊維摂取量の最高群は最低群と比較し、全死因死亡、心血管疾患死、冠動脈疾患発症、脳卒中発症・死亡、2型糖尿病発症、大腸がんの15~30%低下と関連していた。
 臨床試験では、食物繊維摂取量が多い群は少ない群と比較し、体重、収縮期血圧および総コレステロールが有意に低下することが示唆された。これらの重要なアウトカムとリスク低下との関連性は、1日の食物繊維摂取量が25~29gで最大となった。
 用量反応曲線による分析では、食物繊維摂取量が多いほど、心血管疾患、2型糖尿病、大腸がんおよび乳がんの予防にさらに有益である可能性が示唆された。
 全粒穀物摂取についても同様の結果が観察された。食事におけるグリセミック指数(GI値)やグリセミック負荷の影響を比較した観察研究では、それらの高低でリスクに差はみられなかった。炭水化物の質と重要なアウトカムとの関連に関するエビデンスの確実性については、食物繊維は中等度、全粒穀物は低い~中等度、食事のGI値およびグリセミック負荷は非常に低い~低いに分類された。

Reynolds A, et al. Lancet. 2019 Jan 10. 

2019/11/03

健康講座135~食事療法のエッセンス

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。

 食の欧米化や糖質制限の流行、高齢者の低栄養が問題となる昨今、日本人における食事療法の見直しが迫られている。
 高齢者糖尿病の食事療法の目的は、過剰摂取だけではなく、合併症予防やQOLの維持・向上、そして、これからは老年症候群と言われる認知症やサルコペニア、フレイルなどの予防が重要となる。
 ビタミンD低下はサルコペニア、ビタミンB2やカロチン摂取低下は認知機能低下、タンパク質摂取低下は筋肉量および下肢機能低下などのフレイルに関連する。
 タンパク質1.0g~1.5g/kg体重の摂取がサルコペニアの予防に大切である。このほか、ロイシンを考慮した食事療法も推奨される。
 後期高齢者はタンパク質摂取が低い群で死亡リスクが高くなる。さらに、緑黄色野菜の摂取量がHbA1cや中性脂肪値にも影響する。
非肥満患者にカロリー制限食を提供する現状
 
 かつて、カロリー制限や脂質制限を推奨されてきた。しかし、カロリー食によるサルコペニアリスクを考慮すると、肥満患者以外へのカロリー制限を控えたほうが望ましい。
 そもそも、欧米の糖尿病患者は太っていることが多い。一方で、日本人の糖尿病患者はBMI 24前後の患者が多く、体重管理のためのエネルギー処方は不要と考えられる。現在の治療法は、高血糖ではなく肥満の治療法である。非肥満患者に肥満治療食が提供されるのは本質的ではない。
 また、カロリー制限では脂質・タンパク質摂取によるインクレチン分泌を利用できないため、血糖管理には向かない。理論的意義も実際の有効性も安全性も担保されていない。
 現在、ハーバード大学におけるメタボリックドミノの新モデルでは、糖質の過剰摂取が最上流として着目されており、実際、日本国内外で糖質制限食のエビデンスはそろっている。日本人の糖尿病食事療法にエビデンスのある、多様な食事法の導入を目指していくべき。




2019/11/02

PV28000

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。

お陰様でPV28000達成しました。

今後ともよろしくお願いいたします。



2019/11/01

健康講座134~米コレステロールガイドライン改定

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 米国のコレステロール管理ガイドラインが改訂され、その詳細が米国心臓協会年次集会(AHA 2018、11月10~12日、米シカゴ)で発表された。5年ぶりに改訂された新たなガイドラインでは、生涯にわたり健康的な生活習慣を維持してコレステロールを管理することが、動脈硬化性疾患のリスク低減に重要であることが強調された。また、その管理は個々のリスクに応じて個別化する必要があることも示された。
 おもな改訂ポイントとしては
(1)CTによる動脈硬化の評価など精緻な心疾患リスク評価を行うこと

(2)コレステロール値の管理が難しい高リスク患者に対しては、スタチン系薬に加えてエゼチミブやPCSK9阻害薬などのより強力なコレステロール低下薬を併用すること

(3)9~11歳の時点(心疾患や高コレステロール血症の家族歴がある場合は2歳時点)でコレステロール値を測定し、生涯リスクを早期に評価することなどが盛り込まれた。
 
 AHAによると、米国では成人のおよそ3人に1人がLDLコレステロール(LDL-C)値が高いとされる。LDL-C値が高いと血管のプラークが肥厚して動脈狭窄が進むが、LDL-C値が100mg/dL以下に管理されていれば心疾患や脳卒中の発症リスクは低下する。年齢にかかわらずLDL-C高値は健康リスクを高めるため、たとえ若年者であっても健康的な生活習慣でコレステロール値を管理する必要がある。
 
 AHAによれば、小児や10歳代の若者ではコレステロール低下薬の使用に関するエビデンスが確立していないため、生活習慣の改善が唯一の介入策になるという。また、20~30歳代の若年者はコレステロール値の測定を含めた心疾患リスクを評価する必要がある。さらに、スタチン系薬を服用していない人は、検査のために採血前に絶食する必要はないとされている。
 
 コレステロールの悪化をもたらすリスク因子について患者と十分に話し合い、その患者のリスクに応じた個別評価を行うことが奨励されている。従来の喫煙習慣や高血圧、高血糖などに加え、家族歴や民族性、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、慢性的な炎症性疾患、早期閉経、妊娠高血圧症候群についても確認し、個別化した治療内容に反映することも推奨されている。
 
 さらに、心疾患リスクが中等度の患者に対してはCTによる冠動脈石灰化(CAC)スコアの評価が推奨されている。CACスコアがゼロの場合には、他にリスク因子がなければスタチン治療は必要ない。ただし、喫煙習慣や糖尿病、心疾患の家族歴などのリスク因子がある人はスタチン治療が必要となる可能性がある。
 
 一方、心筋梗塞や脳卒中の既往がある患者やLDL-C値が70mg/dL以上の高リスク患者に対しては、スタチンの服用量にかかわらずエゼチミブやPCSK9阻害薬などの併用を検討すべきとされた。
 

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...