2021/08/31

健康講座280 デルタ株とワクチン 新型コロナウイルス

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 米国・カリフォルニア州における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者についての分析で、ワクチン未接種者はワクチン接種完了者と比較して感染率が4.9倍高く、入院率は29.2倍高かったようです。同地域ではデルタ株への感染が広がり、感染者の約9割と最も優勢となっていたようです。米国疾病予防管理センター(CDC)の報告でございます。


 本解析では、ワクチン接種完了者を2回投与のワクチンの場合2回目投与後14日以上、1回投与のワクチンの場合初回投与後14日以上経過した人と定義。ワクチン接種未完了者は2回投与のワクチンで初回投与後14日以上経過あるいは2回目投与後14日未満、1回投与のワクチンで初回投与後14日未満の人と定義されたようです。

 COVID-19に関連する入院は、SARS-CoV-2感染が確認された日から14日以内に発生した入院と定義。COVID-19に関連する死亡は、SARS-CoV-2感染が確認された日から60日以内に発生する死亡、またはCOVID-19が死亡原因として報告されている死亡と定義されたとのことです。

 主な結果は以下の通りでございます。

・2021年5月1日から7月25日までの間の、16歳以上の住民における4万3,127件のSARS-CoV-2感染者のうち、1万895人(25.3%)がワクチン接種完了者、1,431人(3.3%)がワクチン接種未完了者、3万801人(71.4%)はワクチン未接種者だった。

・7月25日時点でのワクチン接種完了者のうち、55.2%がPfizer-BioNTech社、28.0%がModerna社、16.8%がJanssen社のワクチンを接種していた。

入院、ICU入室、人工呼吸器を使用した患者の割合は、未接種者(7.6%、1.5%、0.5%)および未完了者(6.2%、1.0%、0.3%)と比較して完了者(3.2%、0.5%、0.2%)で低かったようです。

・入院およびICU入室患者における年齢中央値は、未接種者(49歳[35.0~62.0]、56歳[41.0~66.0])と比較して、未完了者(59歳[46.0~72.0]、65歳[57.0~80.0])および完了者(64歳[53.0~76.0]、64歳[54.0~76.0])で高かったです。

・死亡率は、未接種者(0.6%、176人)および未完了者(0.5%、7人)と比較して、完了者(0.2%、24人)で低かったのです。

・死亡例について、完了者24人のうち6人が、HIV感染、がん、肝移植などの免疫不全状態にありました。死亡例の年齢中央値は未接種者(63歳[51.5~79.5])と比較して、未完了者(74歳[58.0~80.0])および完了者(78歳[63.5~87.5])で高かったようです。

・5月1日から7月25日までの間のデルタ株感染者の割合は、完了者で8.6%から91.2%へ、未完了者で0%から88.1%へ、未接種者では8.2%から87.1%へ増加した。

結果の羅列となりましたが、デルタ株に対してワクチンの効果が期待できるひとつの知見となりそうです。


参考

健康講座279 精製された炭水化物と前立腺癌の関係

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 いきなり結論ですが、食事における炭水化物の摂取は前立腺がんに関係しているとのことでございます。信頼性の高いデータを用いたスウェーデンの大規模研究から、精製された炭水化物の大量摂取が前立腺がんのリスク増加と関連することが示唆されたのでございます。一方、高リスク前立腺がんとの有意な関連は認められず、精製された炭水化物を多く含む食品がすべて、前立腺がんと関連しているわけではなかったとも書かれております。

 食事における炭水化物と食物繊維、およびそれらを含む食品の摂取量と前立腺のリスクとの関連について、全体および重症度別に検討しました。

 解析対象は、がん・心血管疾患・糖尿病の既往がなく、カロリー報告者として適切な45~73歳の男性8,128人。フォローアップ期間(中央値:15年間)の後、817人が前立腺がんと診断されました。カロリー調整された栄養素や食品の摂取量と前立腺がんの発症リスクとの関係を検討しました。

 主な結果は以下のとおりでございます。

・総炭水化物や食物繊維と前立腺がんとの間に関連性は認められなかった。
・繊維の少ないシリアルの摂取量と前立腺がん全体および低リスクの前立腺がんとの間に、正の相関が認められました。また、ケーキ・ビスケット・米・パスタの摂取量と低リスクの前立腺がんとの間にも、正の相関が認められました(すべて傾向性のp<0.05)。
・砂糖入り飲料の大量摂取は、摂取なしと比べ、症候性前立腺がんのリスク増加と関連していたようです。


 精製された炭水化物の大量摂取は、前立腺にはもちろん、様々な健康観点からもよろしくありません。参考にしてください。

原著

健康講座278 公園利用はコロナ感染大丈夫!?

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 公園の利用は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大と関係がないという研究結果が、Journal of Extreme Eventsに掲載されたようです。


 都市生活者にとって、公園を散歩したりベンチに座ってのんびり過ごす時間はストレス解消手段の一つであり、特にCOVID-19パンデミックのために多くの文化・娯楽施設が閉鎖されていた期間は、公園が多くの人の貴重な休息の場となっていたかもしれません。しかし、公園に人が集まることで感染拡大のリスクが高まるという懸念があり、多くの自治体が公園の利用に制限を設けた時期もありました。それに対して今回の研究では、都市公園がCOVID-19感染拡大の場ではないことを示唆しております。

 研究の対象としたのは、ニューヨーク市内7カ所、フィラデルフィア市内15カ所、計22カ所の都市公園。国勢調査の人口密度データに基づき、公園が所在する地域を人口密度「高」「中」「低」の3つに分類。公園の利用者数と公園近隣のCOVID-19感染者数との関連を検討したようです。

 解析の結果、公園利用者数については公園間の差が大きいものの、人口密度が高い地域にある公園ほど、利用者数が多いという有意な関連が認められたようです。

 公園利用者数と公園近隣のCOVID-19感染者数との間に、明確な関連は見られなかったようです。公園所在地にかかわりなく、人口密度が高い地域では公園利用者が多く、利用者数が多いこととCOVID-19の感染拡大は関連がないと考えられたようです。

 なお、今回の研究では、公園利用者の感染対策状況も調査され、人々が対策を講じた上で公園を利用している実態がわかりました。例えば、マスクを着けずに利用している人の割合はニューヨークの公園で1.2%、フィラデルフィアの公園では22.7%と少数であり、口を覆わずにせきをしたり唾を吐いたりする人は、ニューヨークの公園で0.9%、フィラデルフィアの公園で0.7%とわずかだったようです。また、公園内でコンタクトスポーツ(対戦相手と体が触れ合う競技)を頻繁に行っているのはニューヨークで12.9%、フィラデルフィアでは1.6%にとどまっていたとのことです。

 パンデミック中の憩いの場として、公園が重要な役割を担い得ることを示しております。
適切な距離や対策をしていれば、公園の利用はメンタルヘルスにも役に立つので、上手に利用したいものですね。

健康講座277 子供の新型コロナウイルス感染場所は!?

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染者数が増加しております。デルタ株の特徴は、広範かつ強力な感染力であり、陽性者も従来の高齢者や基礎疾患のある者から若年・中年層へと変化しているのです。

 3~18歳の新型コロナウイルスの感染場所等が示されたようでございます。

自宅と学校とではどちらで感染数が多いか

 調査はHER-SYSデータを用いて、年齢階級別(3~5歳、6~12歳、13~15歳、16~18歳)の感染場所について、それぞれの割合を算出したものです。なお、感染場所の入力率が非常に少ないという背景はあうようです。また、COVID-19陽性者のうち、17.8%が感染場所抽出可能であり、そのデータを利用した。

 調査の結果以下のようでございます。

・3~15歳は自宅での感染が多かった。
・児童・生徒については、年齢が上がるほど学校などでの感染が多くなっていた。
・幼児(3~5歳)の感染場所は、自宅が最も多く、続いて福祉施設(児童)・学校などでの感染が多かった。

 年齢階級別による感染の多い場所は下記の通りです(上位2つ)。

・3~5歳:自宅(59.8%)、福祉施設[児童](19.8%)
・6~12歳:自宅(76.6%)、学校など(14.6%)
・13~15歳:自宅(60%)、学校など(33%)
・16~18歳:学校など(45.7%)、自宅(39.4%)

 以上より、3~15歳は自宅での感染が多かったが、児童・生徒は年齢が上がるほど学校などでの感染が多かったようでございます。
参考

健康講座276 腸内細菌と発酵食品

みんさんどうもこんにちは。


 近年、健康に良いとしてブームになっている発酵食品が腸内細菌叢のバランスの改善を促す可能性を示した試験がございます。ヨーグルトやキムチ、コンブチャ(紅茶キノコ)といった発酵食品を多く摂取した参加者で、腸内細菌叢の多様性が高まっていることが確認されたのです。米スタンフォード大学の研究でございます。

 腸内細菌叢とは、腸内に生息している多種多様な細菌などの微生物の集団のことです。最近の研究からは、代謝や栄養素の合成、免疫防御、脳の機能などの体の正常なプロセスに、腸内細菌叢が極めて重要な影響を与えていることが明らかになってきているのです。

 どのような構成の腸内細菌叢が健康なのかについては解明されていないが、一般的には、細菌叢の多様性が高いほど健康的だと考えられております。その根拠の一つとなっているのが、肥満の人や、糖尿病、あるいは大腸炎といった疾患を持つ人では、健康な人と比べて腸内細菌叢の多様性が低い傾向があることを示した研究結果がるのです。また、産業化が進んでいない地域に暮らす特定の民族では、腸内細菌叢の多様性が極めて高く、現代病ともいわれる肥満や冠動脈疾患を抱える人が少ないことも報告されているのです。

 腸内細菌叢の構成は、遺伝子や健康状態、ストレス、薬剤(特に抗菌薬)など、さまざまな要素の影響を受けるのです。なかでも重要なのは、食事だと考えられています。特に、加工肉が多く、精製あるいは未加工の植物性食品が少ない典型的な西洋の食事には、腸内細菌叢の多様性の低下につながるといわれております。

 今回、参加者36人の半数を10週間にわたって発酵食品の多い食事を摂取する群(発酵食品群)に、残りを食物繊維の多い食事を摂取する群(食物繊維群)にランダムに割り付けた。発酵食品群では、ヨーグルトや発酵させたカッテージチーズのほか、コンブチャやケフィアなどの飲み物、キムチ、ザワークラウトなどの発酵させた野菜を多く摂取し、食物繊維群では豆類や種子類、果物、野菜、全粒穀物、ナッツ類を多く摂取した。試験開始前3週間の間、10週間にわたる試験期間中、および試験終了後4週間の間に対象者の血液と便が検体として採取されたのです。

 解析の結果、発酵食品群では腸内細菌叢の多様性が高まったが、食物繊維群ではそのような変化は認められないことが、採取した便検体から明らかになったのです。また、発酵食品群では、炎症促進に関与する19種類のタンパク質の血中濃度が低下したが、食物繊維群ではこれらのタンパク質濃度に変化が認められないことも判明したのです。慢性的に続く弱いレベルの炎症は、さまざまな疾患の発症に関与していると考えられています。

 ちょっとした食事内容の変更で、健康な成人の腸内細菌叢を再構成できる可能性を示した成果ですね。腸内細菌叢をターゲットにした食事は、健康な成人の免疫状態を変え、体内の炎症を軽減するための有望な手段となるのです。

 原著

健康講座275 片頭痛と運動

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 片頭痛を抱えているひとなら、脈打つような痛みや視覚障害といった症状のつらさはなかなかのものですよね。これまでの研究から、運動がこのような症状の発現頻度を抑制することが示されてきました。今回、ストレスや抑うつ、睡眠障害が片頭痛発作のきっかけになっている場合は、運動がそれらの症状を抑制するのに有効である可能性が報告されました。

 一般的に運動は、ドパミンやノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質を増やすことが知られている。これらは頭痛を減らすだけでなく、情動や全身的な健康状態にも好影響を与えるのです。また、運動は心臓の状態も改善し、体重管理にも有用である。これも片頭痛のコントロールにつながります。

 この研究の対象は、片頭痛患者4,647人。このうち約4分の3は、発作頻度が月に15回以上で、残りの約4分の1は月に14回以下だったようです。

 対象者に対して、ジョギングや早歩き、スポーツ、大掃除、サイクリングなどの中~高強度運動を行う頻度を質問。その回答を基に、対象者全体を運動量で5群に分け、アンケートで把握した片頭痛の症状、睡眠、抑うつ、ストレス、不安などとの関連を検討しました。

 運動量の最も多い群を世界保健機関(WHO)推奨の「1週間に150分以上の中強度の有酸素運動」という要件を満たす群としたところ、1,270人(27%)が該当した。一方、806人(17.3%)は運動をほとんどしていなかった。

 WHOの推奨を満たす群は運動をしていない群に比較し、抑うつや不安、睡眠障害のある割合が低かったようです。具体的な有訴者率は、抑うつは25%と47%、不安は28%と39%、睡眠障害は61%と77%でした。

 さらに、運動習慣と頭痛発作の頻度にも関連が認められた。運動をしない群では発作頻度が1カ月25日以上の人が48%を占めていて、1カ月に4日以下の人は5%に過ぎなかった。その一方で、WHOの推奨を満たす運動をしている群では、発作頻度が1カ月に25日以上の人が28%であり、4日以下の人が10%を占めていた。

 このような一連の結果は、運動と片頭痛の発作の誘因、および発作の頻度との間に関連があることを示している。

 運動だけでなく、起床時刻や睡眠時間を変えないこと、適切な食事や水分補給など、頭痛コントロールに有益と考えられている習慣は、いずれも継続することが重要です。

 片頭痛の発症メカニズムは複雑でさまざまな要因があるが、多くの患者に共通する重要な特徴として遺伝的素因がございます。片頭痛がある人の子どもが片頭痛になるリスクは約50%と考えられております。両親が片頭痛の場合、子どもが片頭痛を発症するリスクは約80%になるのでございます。

 片頭痛患者に対して、過度の負担にならない程度の運動の継続に加えて、食事回数を増やして1回当たりの食事量を減らす、こまめに水分補給をする、睡眠スケジュールを守る、といった対策も一助になるかもしれません。

 参考にしてください。

2021/08/30

健康講座274 SNS医療情報、その三分の一はデマかもしれません!

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

米国の主ながん4種の治療に関するニュースや特集記事で、SNS上で最も人気があるものの3分の1には誤った情報が含まれ、尚且つ、その大部分は患者に害を与える恐れがあるとのことでございます。

最も人気の高い記事(前立腺がん、肺がん、乳がん、大腸がん各50件)200件のうち、約3分の1(32.5%、n=65)に誤った情報が含まれていたようです。

さらにですよ、誤情報を載せた記事のうち、76.9%(65件中50件)には有害な情報が含まれていたようでございます。

昨今のテクノロジーの革新により、健康に関する誤情報を得るのはインターネットからが最も多いと言われております。とくにSNSにいえることで、ファクトチェックが入る情報よりも誤情報の拡散が早く、その範囲も広いとのことで、警鐘をならす必要がございます。


SNS上のがんに関する誤情報の問題は、当然、無視することはできません。しかし、患者にその誤情報を無視してもらうことも簡単ではございません。患者さんの疑問に答え、正確な情報を提供して、最良の転帰のための最良の機会を供する環境が望ましいのは言うまでもありません。

さて、今回の研究ですけれど、研究期間は2018~19年で、SNSプラットフォームであるFacebook、Reddit、Twitter、Pinterestに投稿された記事を対象としたようです。人気度は、いいね、コメント、反応、シェアの数といった読み手のエンゲージメントを用いて測定しました。

研究対象記事には、CBS News、The New York Times、医学雑誌といったステータスが確立されているニュース媒体のものもあれば、短寿命のクラウドファンディングウェブページや立ち上げられたばかりの新たなニュースサイトのものもあったようです。


記事200件のうち、41.5%は従来から存在していないニュースメディア(デジタルのみ)、37.5%が従来からあるニュースメディア(印刷物のオンライン版および/または放送メディア)、17%が医学雑誌、3%がクラウドファンディングサイト、1%が個人ブログだったようです。


今回レビューの結果、先ほど述べて様に、記事のほぼ3分の1に誤情報が含まれていたと結論付けられました。誤情報は、誤解を招くような記述がなされたもの(本文によってタイトルの裏付けがなされていない、または統計/データが結論の立証となっていないものが28.8%)、エビデンスの強度についての記述が誤っているもの、効果が証明されていない治療法と判定されました。

特に、誤情報を掲載した記事のTwitterでのいいね!などのエンゲージメント中央値は事実を記した記事よりも高かったことは注目すべきであります(中央値2,300 vs.1,600、p=0.05)。ようするにですよ、デマの方がバズるとういことでございます。

記事200件のうち有害な情報を掲載していたものは合計で30.5%でした。これらは、有害な相互作用(治療/治癒が可能な状態であるのに診察が遅れるあるいは診察を受けないことにつながる恐れがあるものが31.0%)、経済的有害性(治療/移動に関連する自己負担の金銭的コストを要するものが27.7%)、有害な作用(薦められている検査/治療に潜在的に毒性があるものが17.0%)、有害な相互作用(治癒的療法との既知/未知の医学的相互作用があるものが16.2%)と判定されました。

こちらも、有害情報を含む記事のエンゲージメント数中央値は、正確な情報を伝える記事よりも統計学的有意性をもって多かったのです(中央値2,300 vs.1,500、p=0.007)。

これらの傾向は、癌の情報に限らず、新型コロナウイルス感染をはじめとした、あらゆる医療情報で起こっていると考えられます。

何卒、批判的吟味をした上で、事実に基づいた判断をして頂ければ幸いです。

参考

J Natl Cancer Inst. 2021;djab141. 

健康講座273 糖尿病の妊婦に連続血糖モニタリングは有益

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 妊娠中の連続血糖モニタリングの有効性について、イプスウィッチ病院(イギリス)糖尿病・内分泌学科が無作為化試験を行い検証しました。妊娠末期の血糖コントロール改善、低体重児もしくは巨大児のリスクを低減すると報告しております。

 1型および2型糖尿病を有する妊婦が連続血糖モニタリングを行うことの有効性(母体の血糖コントロール、低体重児および巨大児リスク)を評価するための試験は、イギリスにある糖尿病の妊婦のための健診クリニック2施設にて行われました。

 参加者は、1型糖尿病と2型糖尿病の女性で、妊娠中期~末期の母体血糖コントロールとHbA1c値で4週ごとに測定されました。

血糖コントロールを改善し、低体重児、巨大児のリスクを減らす
 妊娠32~36週までの平均HbA1c値は、モニタリング群5.8%(SD 0.6) vs. 対照群6.4%(SD 0.7)で、モニタリング群のほうが低かった。

 対照群の乳児と比べて血糖モニタリング群の母親から生まれた乳児の平均出生時体重も、より低かく、巨大児リスクも低かったようです。

 妊娠中の連続血糖モニタリングは、妊娠末期の血糖コントロール改善、低体重児もしくは巨大児のリスクを低減すると考えます。

参考にして頂ければ。

健康講座272 ダパグリフロジン 慢性腎臓病にも適応承認

 みなさんどうもこんにちは。

 糖尿病の薬物治療で広く使用されている選択的SGLT2阻害剤ダパグリフロジンについて、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、わが国で慢性腎臓病(CKD)の効能または効果の追加承認を取得したと発表したようです。

 CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患。わが国では約1,300万人が罹患していると推定されているようです。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎で、最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となるのです。CKD患者の多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しているとい事実もございます。

 今回CKDに追加承認されたダパグリフロジンは、1日1回、経口投与の選択的SGLT2阻害剤です。すでに心腎疾患の予防および進展抑制、ならびに各臓器の保護に対する有効性が示され、心臓、腎臓および膵臓の臓器間の基本的な関連性を示す重要な知見が得られています。わが国では、糖尿病、慢性心不全にすでに承認されています。

 今後の透析患者さんが少しでも減る一助になることを願います。

 自身のメモ学習を兼ねて。

健康講座271 小児の語彙力を伸ばすには!?

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 さて、小児の語彙力を伸ばすのに、水泳が役立つようでございます。6〜12歳の小児を対象に、運動の種類と語彙習得との関連を検討した結果、有酸素運動との間に有意な関連が認められたとする研究結果が報告されました。米デラウェア大学コミュニケーション科学・障害分野による研究でございます。

 成人を対象にした過去の研究では、運動を行った後には脳が活性化し、語想起が改善することが報告されている。今回、6〜12歳の小児48人を対象に、語彙習得過程において、有酸素運動と無酸素運動という運動の種類の違いが、語彙習得過程に影響を及ぼすか否かを検討しました。まず、全対象者が新しい言葉を学びました。その後、3分間の塗り絵か、3分間の有酸素運動(水泳)、または無酸素運動のいずれかを行った後に、学んだ言葉に関するテストを受けたのです。

 その結果、有酸素運動を行った小児では塗り絵を行った小児に比べて、学習した言葉に関する理解度が13%有意に高かったようでございます。しかし、無酸素運動を行った小児と塗り絵を行った小児の間では、このような有意差は認められなかったようです。

 運動は新しく覚えた言葉のコード化に役立つようです。なぜなら、運動により脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるタンパク質のレベルが高まるとのことでございます。BDNFは記憶や学習において重要な役割を果たすことが明らかにされているのです。

 では、有酸素運動で得られたような効果が、無酸素運動で得られなかったのはなぜなのでしょうか。それは、脳が必要とするエネルギー量の違いが原因だと言われております。つまり、水泳は、あれこれ考えたり教えられたりしなくても、小児が自ずとできる運動だ。それに対して、クロスフィットのようなエクササイズのような無酸素運動は、小児が初めて行う運動だったので、動き方を覚える必要があり、そのためには精神的なエネルギーを必要としたということだおうです。

 この研究結果は、医療従事者、介護者、教育者などが実践で利用できるものです。有酸素運動を取り入れるというのは、難しいことではございません。ですが、それにより確実な成果が得られる可能性が期待できます。

原著

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...